更衣室には着替えを置く棚があって、部屋の隅に箱が2つ、それぞれの箱にはレオタードとバレエシューズが無造作に詰め込んでありました。
お世辞にも上等とは言えない使い古したものばかり。
私は、少しでもまともなレオタードを選んでいると、ノックの音が・・
「いいかな?」
(こういうところ、先生はとても紳士で)
「あっ、はい」
先生はドアを開け入ってきました。
箱をかき回す私に優しい微笑みを浮かべながら、
「ボロばかりだろ? どれも同じようなものだから」
そう言って、無造作に一着のレオタードを取り出し、私にポン!と渡しました。
「全て脱いで、そのレオタード1枚だけを着なさい」
そう言って出ていきました。
破けたレオタードでしたが、着てみると丁度、股間の辺りが大きく穴が開いていて、乳首の辺りは生地が薄くなっていました。
「こんなものを着て、レッスンに参加するの・・」
とても、恥ずかしかった。
私は先生に呼吸法を教わるときは、全裸を条件にされていました。しかし、裸を見られるのは先生だけでしたから何とか慣れる努力をしていました。
でも、その穴の開いたレオタードで、他の女性たちとバレエレッスンに参加することには、さすがに抵抗がありました。
恥ずかしかったけど、先生には逆らえない。
スタジオに戻り、レッスンの列に加わりました。
ショパンの
ピアノ協奏曲第1番の第2楽章が流れていました。
私は、この曲を聴くと今でも濡れてしまいます。
(続きます)
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