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削除依頼
2020/04/11 17:54:10 (Gz62/q7Y)
髪をばっさり切りました。
10年以上ぶりのショートカットです。
思いきって短いヘアスタイルにした理由は、たったのひとつ・・・
でも、その理由をきちんと知る人など誰ひとり存在しません。

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投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 17:54:49    (Gz62/q7Y)
2020年1月に書いたものです。
前回投稿したものと連続して読んでいただかないと内容を理解できないと思います。

かなり長いですので、いくつかのパートに切ってレスに入れます。
大した内容ではありませんから、長文が苦手な方は読むのを遠慮してください。

3
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 17:56:06    (Gz62/q7Y)
髪をばっさり切りました。
10年以上ぶりのショートカットです。
思いきって短いヘアスタイルにした理由は、たったのひとつ・・・
でも、その理由をきちんと知る人など誰ひとり存在しません。

職場でも、みんなが驚いていました。
ぱっと見だけでも、かなり大きなイメチェンになったからです。

「失恋でもしたの?」

中年以上の男性社員たちときたら、みながみな口を揃えて同じ冗談ばかり・・・
でもまあ、そんなのは軽く受け流すまでのことでした。

「いえいえ、そんな」
「ちょっと気分を変えてみようかと思っただけです」

あの先月の旅行のことを思い出すたびに、耳まで『かーっ』と熱くなる私・・・
男性たちの前で、
(ひいいいい)
お湯を流したカランの下に頭を突っ込んだあの場面・・・
四つん這いのお尻を晒してみせた羞恥の興奮を忘れることなどできません。

「ショートにしたの、久しぶりだなあ」
「ちょっと首もとが寒いんですよね」

あれからずっと、
(そんなとこ見ないでえ)
もういちど同じ場面を『夢見る』ようになってしまっていた私でした。
それこそ来る日も来る日も、毎日自分のベッドの中で・・・

「似合ってますか?」
「この髪型」

目の前にいるこの楚々とした女に、まさかそんな裏の顔があるだなんて・・・
おそらく想像もできていない職場の男性同僚たち・・・

(髪が短いほうが)
(あの体勢でもシャンプーを流しやすい)

信じてもらえなくたって構いません。
長年のセミロングをショートカットに変えたのは、ただそれだけが理由でした。
われながらどうかしてると思わなくもありません。
でも、後悔なんてありませんでした。

それに・・・
自分で書けばまた反感を買うのもわかっているけど・・・

こうして鏡に映ったショートカットの自分を見てみると、
(可愛いじゃん)
以前よりもフェイスラインがはっきり出て・・・
自分で言うのもなんだけど、とても『キュート』な感じに見えます。
特に、すっぴんのときは20代後半だと言っても完全に通用する気がしました。

予約は取れています。
12月の半ばに泊ったのと同じ宿でした。
その日が来るのを心待ちにして・・・

(本当に来ちゃったよ)

ついに私は、再びこの地に立っていました。
旅館にチェックインしたのは、まだほんの1時間ほど前のことです。
さすがに部屋でちょっと一息つきましたが・・・
そのあと、すぐに袋を持って宿の玄関を出ていました。
ノーメイクの『すっぴん』です。

(どきどきどき)

あの公共温泉を目指して歩いていきます。
なんてことのないこの細い道のすべてに見覚えがありました。

(あれから1ヵ月か。。。)

まだそれほど月日が経ったわけでもないのに・・・
なんだか、とても懐かしい気持ちがします。

(どきどきどき)

やがて、遠くに建物が見えてきました。
曲がり角は何ヵ所かありますが、このあたりからは基本的にずっと1本道です。
前後には、まったく人の姿がありませんでした。

(どきどきどき)

寂れた町のはずれを、ひとりぼっちで歩いていきます。
どうしよう・・・
(誰もいなかったら)
この日を夢見て、わざわざ訪ねてきたのに・・・

あのときの管理のおじさんの言葉を思い出していました。
1日の利用者は、30人ぐらいって言ってた・・・
でも、あれだってもしかしたら適当な数字を口にしていただけかもしれません。

最後の角を曲がって、建物の入口も見えるところまで来ました。
胸が破裂しそうになりながら、
(私は、悪くない・・・)
心の中で、とにかく勇気を奮い立たせます。

(私は、お風呂に入りに来ただけ)

自分にそう言い聞かせていました。
実際、人に咎められるようなことをしているわけじゃありません。
だってここは、
(もともと混浴なんだから)
私が入浴したって何の問題もない『公共』の温泉でした。
プレッシャーは尋常じゃないけど・・・
客観的には、実はリスクの少ない安全なシチュエーションとも言えます。

(あああ、混浴か)
(嫌だよ・・恥ずかしいよ)

建物に入って、脱いだスニーカーを上のほうの靴棚に置きました。
他に靴が3足あります。
それは、
(中に3人いる)
すでに先客がいるということを示していました。

(ひいい)
(がんばれ、私・・・)

左手の戸を開けます。
どきっ!
いきなり目が合いました。

(ひいいん)

そこにひとりでいたのは、50代ぐらいの『中年男性』です。
足がすくみそうになるのをこらえます。

(あああ・・・)
(なんで)

脱衣スペースに入りました。

(なんでお年寄りじゃないの)

そのおじさんが、
『まじかよラッキー・・・』
そんな驚きの表情で私のことをみつめています。
いきなり若い女が現れたことに、半ば呆然としている様子でした。

(どきどきどき)

私のほうも、
「こん・・・にちは」
やや戸惑ったような表情で挨拶をしてみせます。

「どうも」

脱衣場にふたりっきりという、きまずい空気がありました。
緊張しすぎて、
(どきどきどき)
私はすでに死にそうな心境です。

勇気を出して、
「混んでます?」
相手に尋ねながら、ダウンコートを脱ぎました。
目の前の棚の、脱衣カゴに突っ込みます。

「あ・・・いやそれほど」

おじさんは・・・
お風呂上がりで、もう服を着た状態でした。

(あああ・・・)

決して自意識過剰なんかじゃありません。
はっきりと感じ取っていました。
いま相手のおじさんは・・・
明らかに私の容貌に目を奪われています。

(ぜ、ぜ・・・ぜったい無理)

あまりにも酷でした。
こんな見られている状況で、はだかになるなんて・・・

(どきどきどきどき)

パーカーを脱ぎます。
ブラまる出しになった私に、おじさんが息をのんでいるのがわかりました。
そして、なにやら荷物を整理しているようなふりをしています。
完全に時間稼ぎの態勢でした。

「このあたりの方ですか?」

ジーンズをおろしながら、にこにこ尋ねる私・・・
相手が、
「いえ、九州のほうから」
私の下着姿に釘付けになっていました。
言われてみれば、確かにこの人の荷物はボストンバッグです。

「あなたは?」

今度は、逆に質問返しをされていました。
靴下を脱ぎながら、もっともらしく嘘をつきます。

「実家がこの近くで」
「ここ、子どものときからよく来てるんです」

「へえー・・・」

そのまま、
「ひさしぶりだなー」
すっと背中に手をまわしました。

(イヤあぁ、無理・・・)

「ここのお湯、熱くなかったですか?」

会話を続けながら、お互い完全に目と目が合っています。
おじさんの喉仏が上下していました。
ホックを外して、
「昔からいっつも熱いんですよ」
あたりまえのようにブラを取ってみせる私・・・

(ひゃああああ)

おっぱいまる出しでした。
袋の中から、
(むり・・無理・・・)
タオルを取り出します。

(見ないでえ)

完全に限界でした。
なんとか平静を装ってはいますが、下までは絶対に無理です。
パンツをはいたまま、タオルを腰に巻きました。
横で結んで・・・
ミニスカートのようにしてから、タオルの中に手を突っ込みます。
そして『するするっ』とパンツをおろしました。

(ばくばくばくばく)

目の前で見ているおじさんの興奮が手に取るように伝わってきます。
腰にタオルを巻いただけで、
(ああああああ)
あとは、もう何も身に着けていない『私』・・・
そのタオルも、股下の長さが超ぎりぎり状態でした。
おじさんの視線が、せわしなく上下に動いているのがわかります。

(ばくばくばくばく)

入口横の料金箱に、
「ぼとっ・・ぼとっ・・」
決められた額の小銭を入れました。

(恥ずかしいよう)

おじさんが、私の胸を『ガン見』しています。
お風呂ポーチを手に持ちました。
自然体の雰囲気で、
「じゃあ、どうも」
ちょっと恥ずかしそうに会釈をします。

(ばくばくばくばく)

浴場へと続く、曇りガラスの引き戸に手をかけました。
中には、
(ふたりいる)
靴の数から計算しても、そのことは確実です。

前回のときの記憶が瞬間的にフラッシュバックしました。
プレッシャーで息がつまりそうになります。

「ザシャーッ」

戸を開けて中に入りました。

4
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 17:56:53    (Gz62/q7Y)
と・・・
おじいさんふたりが、ちょうど目の前まで歩いてきていました。
私を見て『おっ?』という顔になりますが・・・
そのまますれ違って、浴場から出ていきます。

引き戸を開けて、
「ザシャーッ」
ふたりとも脱衣場へと消えていきました。

(え・・・)

タイミングのあやとしか言いようがありません。
無人の浴場に、ひとりだけ取り残される『私』・・・

(しまった)

ひとりっきりの浴場で、
(ばくばくばくばく)
なぜか、勝手に心臓が破裂寸前になっている私・・・

(だいじょうぶ)
(落ち着いて)

桶を拾ってかけ湯をしました。
腰のタオルを外して、湯船に入ります。

(だいじょうぶ)

次に誰かが現れるのを待てばいいだけのことでした。
肩までお湯につかって、
(落ち着いて)
なかなか収まろうとしない胸の鼓動を静めます。

(ばくばくばくばく)

当然ながら、まったく落ち着きませんでした。
異様に緊張しています。
だって・・・
次にどんな人が来るのかなんて、すべては運でした。

(ばくばくばくばく)

もし男性だったら、
(ああん、どうしよう)
ひとりでお湯につかっている私を見るなりきっと内心で歓喜するはずです。
これでも外見の容姿にだけは、いまでも自信のある私でした。
その私が、素っ裸でいるのです。
入ってきた男性は、その感情を表には出さずとも・・・
超ラッキーとばかりに、ヌードの私を目で追い回そうとするはずでした。

(あああああ)
(怖いよ・・・)

お湯の熱さに、のぼせてきます。
男の前で、
(あのポーズ・・・)
もう、できる気がしませんでした。
前回のときのあのシーンを思い浮かべます。

(あのときは)
(男が4人も・・・)

湯船の中を、
「ざぼっ、ざぼっ」
洗い場側に近いところへと移動しました。
湯船のへりに顔を置きます。

(ああああ・・・けっこう近い)

すぐそこの壁に、洗い場のカランがあります。
距離としては、せいぜい2~3メートルぐらいでした。
シャワーの設備はありません。

立ち上がって、
「ざばぁっ」
湯船から出ました。
あのときのように・・・
カランの前で、両ひざをついてみます。
レバーを押しました。

「じゃー・・・」

蛇口から水があふれ出ます。
温度調節をして、
(ひいいいん)
洗い場の床に両手をつきました。
這いつくばるような体勢で、流れ出るお湯に頭を近づけます。

「じゃばじゃばじゃば・・・」

まさに、この格好でした。
真後ろから見られたら、死ぬほど恥ずかしいこの姿・・・

(あああああ)
(こんなの無理だよ)

数十秒で自動的にお湯が止まりました。
立ち上がって、再び湯船に入ります。

(どきどきどき)

待ちました。
・・・お湯につかったまま、激しい葛藤の気持ちとともに。

(やっぱりできない)
(できないよ)

お湯が熱いので、肩までつかったり湯船のふちに腰かけたりを繰り返していました。
待ち受けることの緊張に、
(ばくばくばくばく)
胸が張り裂けそうなプレッシャーが続きます。

15分か、20分ぐらい待ち続けたでしょうか。
やがて、
(ひいっ)
脱衣場のほうに明らかな気配を感じました。
人の声が確かに聞こえてきています。

(ばくばくばくばく)

でも・・・

(もしかして・・・)
(ああ、だめか)

聞こえてきているのは、子どもの発する嬌声でした。
がっかりする反面、どこかで『ほっ』と胸をなでおろしている自分がいます。
数分して、
「ザシャーッ」
引き戸が開きました。

予感的中です。
浴場に入ってきたのは、おばあちゃんと幼稚園児ぐらいの子どもでした。
お湯の中から立ち上がった私は、湯船から出ます。

(心臓が耐えられない)
(帰ろう)

助かったというか、でも悔しいというか・・・
複雑な心境でした。
いずれにしろ、もうこの場に留まり続けるだけの気持ちの余裕はありません。
おばあちゃんと会釈を交わして、私は浴場を後にします。

「ザシャーッ」

無人の脱衣場・・・
あらためて『ほっ』としていました。
緊張感から解き放たれて、思わず涙があふれ出してきます。

「ぐずっ」

われながら矛盾した感情でした。
それを夢見るほどのわきあがる気持ちで、はるばるここまでやって来たのに・・・
チャンスを得られなかったことに、むしろ安堵している自分がいます。
いったい自分がどうしたいのか、今となっては自分でもよくわかりませんでした。

(髪型まで変えて)
(馬鹿みたい)

スポーツタオルでからだを拭きます。
実感していました。
どんな人がいるのか予測できない『混浴』は、やはり私にはハードルが高いのです。
パンツをはこうとして・・・

(あ・・・)

ありませんでした。
脱衣カゴの中から、パンツとブラが無くなっています。

(さっきの・・・あのおじさんか)

悲しすぎて、何も感じませんでした。
ただ、ただ・・・みじめな気持ちだけがいっぱいです。

下着なしで服を着て、宿へと戻る『私』でした。

5
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 17:57:52    (Gz62/q7Y)
時間が経つのを待っていました。
夕食を終えて、なおもしばらく・・・

(そろそろだな)

たしか・・・
これぐらいの時間帯だったはず・・・

お風呂道具一式を詰めた袋を持って、宿の玄関を出ます。
1本道をたどっていました。

そう・・・まさに、万感の期待を込めて。

凍てつくような寒風に、ダウンのジップを首まで上げています。
ようやく見えてきました。
昼間も来たあの建物が。
同じ建物でも、夜の暗さのせいでまったく違う景色のように感じます。
明かりはついていませんでした。
あのときと同じです。
私の狙いどおりなら・・・

(そのうち、管理の人が掃除に現れるはず)

前回と同じ人であってくれと願いました。
そうならば、
『また、来ちゃいました』
そのひとことで、すべて済ませられるはず・・・

建物の入口に踏み入ります。
左手の戸を・・・

なのに、
『ガッ・・・ガッ』
そこには、もう鍵がかかっていました。

(だめか。。。)

もう掃除は終わってしまったのでしょう。
もしかしたら、前回とは違う人が担当(?)だったのかもしれません。

ノーチャンスでした。
虚しさにつつまれながら、無人の1本道を戻っていきます。

(だめだな)

前にも後ろにも、人はいませんでした。
温泉町のはずれを、ひとりぼっちで歩いている『私』です。
左右の頬を伝い落ちる涙・・・
拭きませんでした。
たとえ泣き顔がみっともなかったとしても、どうせ私以外には誰もいないのだから。

6
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 17:58:48    (Gz62/q7Y)
旅館に戻って、寝る前にもういちど宿のお風呂に入りました。
何の変哲もない、よくある普通のお風呂です。

虚しさと寂しさで、気持ちが『無』になっていました。

洗い場のイスに腰かけて、備え付けのボディソープを手に取ります。
アンダーヘアに泡立てました。
わき用の、T字カミソリを当てます。

生涯、初めてでした。
無心でアンダーヘアを剃り落としている自分がいます。
もともと、私はかなり薄いほうでした。
それがつるつるになるまで、すべて丁寧に剃ってしまいます。

シャワーを浴びて、湯船のお湯につかりました。

別に、なんの感慨もありません。
本来あるべきものがないという違和感があるだけでした。

お風呂を上がって、脱衣所の鏡の前に立ちます。
不思議な感覚でした。
まるで洋服屋のマネキンでも眺めているような、無機質な気持ちです。

自分の部屋に戻ってから・・・
長い夜を過ごしていました。
なんだか、ぜんぜん寝付けません。
ひとりでビールを飲みながら、いろいろ考えていました。

将来のこと・・・
そして、これまで歩んできた自分の人生(?)について・・・

考えたところで、もちろん答えなど出るわけありません。
ビールの酔いに誘われて、
(私って、なんなんだろうな)
いつのまにか眠りについていた『私』でした。

7
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 17:59:31    (Gz62/q7Y)
翌日・・・
宿をチェックアウトしてから、しばらくドライブをしていました。
行き先のあてなどありません。
ただの時間つぶしです。

朝、起きたときから自分の中で何かが吹っ切れたような気がしていました。

(帰ろう)
(自分ちに)

そう・・・何の変わり映えもしない、日常の生活に。

でも、
(その前に・・・)

待っていました。
あの公共温泉がオープンする時間になるのを。

(だめで、もともと)

オープンと同時ではなく、その30分後ぐらいのタイミングを狙っていました。
以前にも使った同じ駐車場に、運転してきたレンタカーを停めます。
お風呂道具の入った袋を持って、あの『混浴』の公共浴場へと歩いていきました。
人通りの少ない、町のはずれの方角です。

(ただお風呂に入るだけ)
(なんでびくびくしなきゃいけないの)

心の中で必死に強がってみせてはいますが、すでに心臓はばくばくでした。
建物が見えてきます。

(けっきょく)
(また来ちゃった)

脱衣スペースに入りました。

(どきどきどき)

でも・・・誰もいません。
使用中の脱衣カゴはありませんでした。
引き戸を開けて浴場の中を確認しますが、やはり誰もいません。
私ひとりでした。

(どうする?)

ちょっと迷いました。
・・・が、お風呂に入って浴場で待つのはやめておきます。
この脱衣場で誰かが来るのを待つことにしました。
もし現れたのが、多少なりともリスクを感じさせるような人だったら・・・
そのまま、さっと帰ればいいからです。

(どきどきどき)

脱衣場にひとりで立ちつくしたまま、胸苦しいような緊張感と戦っていました。
1分が、10分にも感じられるような感覚です。

(ああ、どうしよう)
(男の人が来ちゃったら)

それを望んでいるくせに・・・
一方では、そうなることの重圧に耐えられない心境の自分がいます。

(ああ・・・)
(だめだ・・・)

待ち受けることのプレッシャーに押しつぶされていました。
たぶん15分ぐらい粘って・・・
でも、それが私にとっての精神的な限界でした。

(無理、無理、無理)

持ってきた荷物を抱えて、スニーカーに足を突っ込みます。
そして、
(もう帰る)
打ちひしがれたような気持ちで駐車場に戻る私でした。

8
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 18:00:24    (Gz62/q7Y)
諦めました。
虚しい一泊旅行の終わりです。

レンタカーのハンドルを握って、帰途につきます。
心の中が空っぽでした。
しばらく走ったところで、ロッジ風のドライブインが見えてきます。

なんとなく、
(コーヒーでも飲んでいこう)
そんな気分でした。
長時間のドライブを前にして、頭をしゃっきりさせておきたかったのかもしれません。
車を停めました。

入店した私は、窓際のカウンター席を選んでコーヒーを注文します。
窓ガラスの向こうに、荒涼とした冬の森が広がっていました。

(なにやってんだ)
(いったい私は)

せっかくの週末を無駄に費やしてしまったことの虚無感・・・

こんなことでいいんだろうか・・・
自分という人間の存在に、なんの意味があるんだろう・・・

昔からの友人のほとんどは幸せな結婚を果たして、それぞれ素敵な家庭を築いています。
その多くは子どもも得て、みんな絵にかいたような幸せをつかんでいるのに・・・

とりとめもなく自分の人生について考えてしまっていました。
子どものころから周りの期待に応えようと一生懸命頑張ってきたつもりです。
大人になってからだって・・・
私は、
(いつも真面目にやってきた)
でも、今の自分にはたして何が残っているのだろうかと考えると・・・
何もありませんでした。

結婚の失敗・・・
ひとりぼっちで、先の見えない将来・・・

それでも無職でないだけまだマシです。
昨年の夏に、ようやく再就職を果たした私でした。
無意識に、
(明日はまた会社に行かなきゃ・・・)
ひとりでため息を連発してしまっている自分に気づきます。

けっきょく真面目に日々を送るしかない、つまらない私の生き方・・・

(このコーヒー、美味しいな)
(どうやって淹れてるんだろ)

店員さんが、ちょうどお代わりを注ぎに来てくれました。
お礼を言って、カップを差し出します。
2杯目を味わいながら、
(こういう景色も嫌いじゃないな)
のんびりと窓の外の風景を眺めていました。

寒々しい幹色をした原生林(?)が、広大な森を形成しています。
その1本1本が、必死で冬の冷気に耐えているかのように私の目には映って見えました。

もし写真撮影するなら、
(あっちの角度からがいいかな)
なんとなく構図を考えて、頭の中に空間を組み立ててみたりしてみます。
興味がわいてきました。
華やかな風景もいいけれど、こういう寂しい景色を撮るのもいいのかもな・・・

(景色っていうのは)
(あるがままなのがいいんだよな)

コーヒーの香りに、つかのまの幸せを感じます。

(空っぽだなあ)
(私の毎日って)

意識の中で、何かが『すとん』と収まった気がしました。
残りのひとくちを飲み干します。
会計をして、店を出ました。
バッグの中から、レンタカーのキーを取り出します。

(帰ってたまるか)

フラットな気持ちでした。
この感覚を文章で説明するのは難しいのですが・・・
主観ではなく、客観で物事を考えることのできる冷静な思考モード(?)に切り替わっています。

(行こう)

車に乗りこみました。
エンジンをかけて、のろのろとスタートします。
そしてハンドルを切りました。
ここまでずっと走ってきた、もとの方向へと戻る側に・・・

躊躇いはありません。
これがラストのチャンスでした。

再び、あの温泉町へと戻っていきます。
明日のいまごろは・・・
きっと会社で慌ただしく仕事に追われているはずの『私』でした。
でも、
(それは明日のこと)
今日じゃない・・・

9
投稿者:恭子 ◆vA7figsdCM   berrywine1984
2020/04/11 18:01:50    (Gz62/q7Y)
駐車場に車を入れて、ひとりで歩いていきます。
昨日からこれで何度目でしょう。
この1本道を行き来するのは。

また空振りになるかもしれません。
それでもかまいませんでした。

(今度こそ)

もしかしたら・・・
私と混浴になって喜んでくれる男性がいるかもしれません。
それだけで、じゅうぶんでした。

(どきどきしたい)
(あの胸苦しい緊張感で)

建物が見えてきています。
深呼吸しながら近づいていきました。

(私は・・・)
(お風呂に来ただけ)

やましいことなんて、一切ない・・・

建物に入りました。
まず、靴をチェックします。

(いる・・・3人だ・・・)

でも、ひとつは子ども用でした。
昨日の展開が記憶によみがえって、ちょっとだけ悪い予感がしてきます。

戸を開けて脱衣スペースに入りました。
脱衣場には、誰もいません。

(どきどきどき)

浴場に続く、曇りガラスの引き戸に忍び寄りました。
ガラスなのは上半分だけなので、しゃがんで近づけば中の人に気づかれることはありません。
引き戸のサッシを、
「ズ・・・ッ」
慎重に、ほんの2cmぐらい開けました。
その隙間に目を寄せて、中の様子を確かめます。

(やっぱり3人だ)

おじいちゃんと、たぶんそのお孫さんと思われる小さい男の子・・・
そして、50代ぐらいの印象のおじさん・・・

『3人組』というわけではなさそうでした。

そっと引き戸から離れます。
使われている脱衣カゴの位置を確認しました。
やはり・・・ひとつだけ、他の2つとは離れた棚のものが使われています。

確信しました。
あの50代おじさんは、おじいちゃんたちと家族ではないとみてよさそうです。

一瞬で真っ裸になっていました。
料金箱に、
「ぼとぼとっ・・・」
コインを投入します。
腰にタオルを巻きました。
からだを洗う用の、普通の小さなタオルです。

(どきどきどき)

尋常ではない緊張を覚えていました。
でも・・・
昨日だって12月のときだって経験したプレッシャーです。
袋の中からお風呂用のポーチを出しました。

(私は・・・)
(悪くない・・・)

実際、悪くありません。
普通に料金を払って、公共のお風呂に入ろうとしているだけのことです。
ただ、それが『混浴』だというだけ・・・
やましいことはないのです。

(どきどきどき)

気を強く持ちました。
見られたところで、
(どうせ赤の他人・・・)
凛とした表情をつくってお澄まし顔になります。

(こんどこそ)
(行くぞ)

覚悟を決めました。
なんら後ろめたいことなどないと、自分自身に言い聞かせます。
引き戸に手をかけて、

「ザシャーッ」

浴場に入りました。
おじいちゃんがチラッと目線を向けてきています。

(ひいっ)

50代おじさんは、こちらに背を向けるかたちでお湯につかっていました。
薄毛で頭頂部が禿げています。
気配を感じたのか・・・
ぱっと振り返るようにこっちを見ました。
引き戸を閉めている私に視線が釘付けになったまま、目が見開いてしまっています。

(きゃああああ)

最初からおっぱいまる出しでした。
私はけっこう痩せていて、ほっそりした体型です。
平然とした顔で、
(きゃああ、きゃあああ)
すーっと湯船に近づいていきました。

(ひいいいん)

股には毛がありません。
腰に巻いたタオルの位置が高すぎて、つるつるの『縦の割れ目』が見えています。

われながら堂々としたものでした。
大人2人の視線を一身に浴びながら、桶を手に取ります。
しゃがみこんで、
「ざばっ、ざばーっ」
2度、3度とかけ湯をしました。

(見ないでえ)

自分の目線をどこに持っていけばいいのかわかりません。
内心、とんでもない恥ずかしさでした。
湯船に入って、
「ざばっ、ざばっ・・・」
おじさんからいちばん離れた対角の位置までいきます。
お風呂ポーチを湯船のふちに置きました。
腰タオルを取ってお湯につかります。

(ばくばくばくばく)

すでに泣きそうになっていました。
男性に混じって、わたしひとりだけ『女』がお湯につかっています。
泣きそうなのに興奮していました。
ついに・・・ついに・・・
私は、正々堂々と再び混浴を体験しています。

(ああああ。。。)
(恥ずかしいよ)

おじさんのいやらしい目が、ものすごいプレッシャーでした。

(ひいいん)
(たすけて)

いちばん向こうがおじさんで、湯船の中ほどにおじいちゃんとちびっ子・・・
そしてこちらに『女』の私、というような位置関係です。

ちびっ子は、湯船のふちにちょこんと腰かけていました。
とっくにお風呂に飽きてしまっている様子が、ありありと見て取れます。

(ばくばくばくばく)

おじいちゃんは何歳ぐらいでしょうか。
けっこうなお年寄りですが、チラチラとこちらを見てきます。
でもそこに、さほどいやらしさはありませんでした。
見慣れないヤツだな・・・
どちらかというとそんな感じで見られている目です。

強烈なのはおじさんでした。
明らかにいやらしさでいっぱいの目を、じろじろ私に向けてきています。

無理もありませんでした。
わずか数メートルのすぐそこで、自分と同じお湯につかっている女・・・
地元のおばあちゃんではありません。
自分で言うのもなんですが、こんなにも容姿端麗な女です。

(ばくばくばくばく)

禿げているのは頭頂部だけでした。
口ひげが、なんともいやらしい印象を醸し出しています。
ニヤニヤ顔で、
「こんにちは」
おじさんが声をかけてきました。

私は、湯面に落としていた自分の目線を『すっ』と上げてみせます。
ちょっと戸惑ったような表情で、相手の目をみつめました。

なおも、
「おひとりですか?」
いやらしそうに話しかけてくる、口髭のおじさん・・・

「Eu finjo não entender as palavras(言葉がわからないふりをしてやるよ)」
「Porque você é tão lascivo(このスケベおやじ)」

たたみかけるように外国語をまくしたててみせました。

平然とした顔で、
「Não fala comigo」
日本語がまったく通じないふりを演じます。

「・・・・・・」

私が黙り込んでしまうと・・・
もうそれ以上話しかけてこようとはしませんでした。
おじいちゃんも『この子、日本人じゃなかったのか』という感じの、ちょっと驚いたような顔をしています。

(ううう。。。)

お湯が熱くて、長くはつかっていられませんでした。
口髭おじさんも、おじいちゃんも・・・
さっきからお湯につかったり湯船のふちに腰かけたりを繰り返しています。

(熱い。。。)

お湯そのものは無色透明でした。
おじさんの視線の容赦のなさがハンパではありません。

(かわいそう)

自分で演じている『この子』が、あまりに不憫でした。
本人は、いたって平然とした物腰で・・・
動じることもなくあたりまえにお湯につかっています。
でも、
(ああん、かわいそう)
実際には、おじさんの視線の餌食になっているも同然の状況でした。
口髭がじっと目を凝らすように、湯中に揺らぐ私のヌードを見ています。

(イヤあ)
(耐えられない)

なんで、
(私が)
こんなおじさんなんかに・・・

それでも私は、楚々としてみせていました。
静かな佇まいのまま、
(恥ずかしいよ)
古い建物の内観を、物珍しそうに見渡しているふりをします。
この女の美貌を、じっくり口髭おやじの脳裏に刻み付けさせてやりました。

(ひいいん、このオヤジ)
(目がいやらしい)

ちびっ子が、
「もう熱い、帰る」
駄々をこねはじめています。

「じゃあ、ゆっくり10数えたら」

「イヤだ!熱い!」

おじいちゃんが、幸せそうに目を細めて孫の世話をやいていました。

(あああああ)
(もうだめ)

もう、のぼせる寸前です。
意を決して、
「ざばっ」
私も湯船のふちに腰かけました。

(ひゃああああ)

表面上は、凛としてみせています。
でも、
(イヤあああぁ)
本当は泣きそうでした。
お互い真正面に向き合うかたちのまま、もろに口髭おやじの視線を浴びまくっています。

(いやんいやん見ないで)
(恥ずかしい)

口髭にガン見されていました。
おやじ本人は自分の股にタオルを置いて、真ん中が見えないようにしています。
想像せずにはいられませんでした。
もしかして・・・
あのタオルの下では、お○んちんがカチカチに膨らんでいるのでしょうか。
こうして、オールヌードの私をじろじろ眺めながら。

(ああああ)
(恥ずかしいよ)

一瞬にして自虐的な気持ちがわきあがっていました。
よこしまな気持ちが、
(やめて、やめて・・・)
まるで黒い雲のようにもくもくと心の中を埋め尽くしていきます。

おまえなんか・・・
このオヤジに見られちゃえよ・・・

からだが勝手に動いていました。
完全にリラックスした表情を浮かべている演技をします。
湯船のふちに腰かけたまま、
(あっ・・ああ・・)
さりげなく、揃えていた左右のひざをゆるませていました。
太ももが少しだけ開き気味になります。

(イヤあ・・だめえ)

内股の奥の『割れ目』が、おじさんの目に入っているはずでした。
まるでその一点を見据えているかのように、口髭の目線がまったく動きません。

(あああああ)
(死んじゃう)

「きゅーう・・・じゅう!」

頭の中が真っ白になりそうでした。
おじいちゃんが、
「ほれ、いくぞ」
ちびっ子とともにお湯から立ち上がります。

(あああ、待って)
(ふたりっきりにさせないで)

たとえ言葉が通じなくても・・・
ふたりきりになった途端に、また口髭が話しかけてくるかもしれない・・・

そんなの、まっぴらごめんでした。
望んでないし、余計な煩わしさは重荷でしかありません。

(いま・・・)
(行くしかない)

「ざっば」

私もお湯から立ち上がっていました。
口髭から話しかけられてしまう前に、お風呂ポーチとタオルを持ちます。
前も隠さずに、
(ひゃぁあああ)
すっぽんぽんのまま湯船から出ました。

(ばくばくばくばく)

シャワー設備もなければ、洗面器すら置いていない洗い場です。
古びたカランが、壁に3つ並んでいるだけでした。
前回のときと同じく、真ん中を選んでプラスチックイスに腰かけます。

(ばくばくばくばく)

向こうで、
「ザシャーッ」
引き戸の音がしました。
おじいさんとちびっ子の姿が、脱衣場へと消えていきます。

(ああああ)
(今ならやれる)

わずか1時間前・・・
ドライブインで窓の外の景色を眺めていた自分が嘘のようでした。
虚無感に包まれていたあのときの自分が、まるで遠い別世界のことのように思えます。
最高でした。
いま私は、こんなにも刺激的な場面の真っ只中にいます。

(男がいるのに)
(裸だよう)

カランのレバーを押しました。
蛇口から、
「じゃーーー」
勢いよくお湯があふれ出てきます。
ツマミで温度を調節しました。
少し時間がかかりますが、ちょうどいい湯温になってきます。

(ばくばくばくばく)

いよいよでした。
何度も『夢見た』あの瞬間が、再び現実のものになろうとしています。
後ろが気になってなりませんでした。
目の前の壁鏡は、老朽して曇ってしまっています。
でも背後のおやじの様子をぼんやりと窺うのには、かえってそれが好都合でした。

(ばくばくばくばく)

思ったとおりです。
お湯につかったまま・・・
私のすぐ真後ろに位置する場所に、おじさんが忍び寄ってきていました。
背を向けている『この女』との距離は、2メートルぐらいしかありません。

(あああ、いっしょだ)
(このあいだとまったく同じ)

恥ずかしすぎて、自尊心が打ち震えていました。

(できないよ)
(人前であんな格好)

洗面器のない私は、
「ざばざばざば」
左右の手のひらを重ねるようにして、蛇口から流れ落ちるお湯をすくいます。
そして、頭にかけました。

「じゃぱ」

何度も繰り返して、
「じゃぱっ」
おおむね全体的に髪を濡らします。

(ばくばくばくばく)

お風呂ポーチの中からシャンプーのミニボトルを出しました。
適量を手のひらに取ります。
多少泡立ててから、その手を頭に持っていきました。

「しゃかしゃかしゃか」

ああ・・・
(絶対嫌だ)
こんなオヤジの前でなんて・・・

いつまでたっても胸の鼓動がぜんぜん落ち着こうとしてくれません。
緊張しすぎて、
(ばくばくばくばく)
息の吸い方がわからなくなってしまいそうです。

たちまち弱気が起こって、
(やめて、やめて・・・)
やっぱりやめて・・・

こうして洗い場にいるのを見られているだけで、泣きそうに恥ずかしいのです。
それなのに・・・

髪にまんべんなくシャンプーが泡立ちました。
再度レバーを押して・・・
蛇口から、
「じゃーー」
お湯が流れ落ちます。

(からだが動かない)
(無理だよ、できないよ・・・)

お湯を手のひらですくって、頭にかけました。
2度、3度・・・
「ぱしゃっ、ぱしゃ」
当然ながら、そんなのでは到底シャンプーを洗い流せるはずがありません。

(男がいる)
(後ろで私のことを見てる)

きっと、舐めるような目で凝視しているはずでした。
プラスチックのイスにちょこんと腰かけて・・・
全裸のまま黙々と髪を洗っている、この女の華奢な後ろ姿を。

おまえなんか・・・
見られちゃえよ・・・

正真正銘すっぽんぽんでした。
心臓をばくばくさせながら、
「カカッ」
腰かけていたプラスチックイスを横によけます。
両ひざ立ちになっていました。

このオヤジを喜ばせてやれよ・・・

もういちどカランのレバーを押してから、
「じゃーーー」
両手を前につきます。

日本人らしからぬ振る舞いなのは、承知のうえでした。
だからこそ、最初から・・・
日本の浴場に無知な、外国人のふりをしてみせていたのです。

(お願い、やめて)
(わたし耐えられない)

床面から50cmぐらい(?)の高さしかないカランでした。

蛇口からあふれ出るお湯で直接シャンプーを流そうと・・・
四つん這いの頭を低くして、その下にもっていきます。

「じゃばじゃばじゃば」

溢れ出るお湯が、勢いよく頭に当たります。
自虐の極みでした。
いやらしい口髭おやじが見ている眼前で・・・
どうぞ『ご覧ください』と言わんばかりに、私のお尻が左右に開き切っています。

(ああぁぁ。。。)

脳がとろけるような快感に打ち震えていました。
首を左右にねじりながら、
「じゃばじゃばじゃば」
まんべんなく髪にお湯を当て続けます。

(ああん、おじさん)
(どんな眺め?)

四つん這いの私の股間を、後ろから見放題でした。
1本も毛のない『つるつる割れ目』が、完全にお披露目状態です。
きっと今この瞬間も、このエロおやじの目は・・・

(あああ、死んじゃう)

思いっきりサービスしてやりました。
その格好のまま、
(ひいいいいん)
片手でレバーを押し続けます。

(気持ちいい。。。)

ひじまでべったり両腕を床につけました。
あたかも、
(いやんいやんいやん)
土下座のような格好で、無防備にお尻を浮かせている格好です。

「じゃばじゃばじゃば」

頭に当たるお湯の衝撃で、周りの音は聞こえません。
心の中で、
(もうだめ・・死んじゃう)
泣きべそをかきそうな気持ちのまま、身悶えていました。
懸命に、お尻の穴を『きゅっ』とすぼめます。
いくらそんなことしたって・・・
人様に、肛門まで見られているという事実は変わらないのに。

(そんなとこ)
(見ないでえ)

「じゃばじゃばじゃば」

あまりの快感に、
(あああ、気持ちいい)
羞恥の興奮を噛みしめて・・・

(もうだめえ・・・だめ・・・)

限界でした。
あまり時間が長くなりすぎると不自然に思われかねません。
なんでもないふりをして姿勢を戻しました。

「カカッ」

イスを引き寄せて、再び元どおり腰かけます。

(ばくばくばくばく)

恥ずかしすぎて泣きそうです。
でも、もちろんそんな感情は態度に出しませんでした。
このオヤジに疑念を抱かれることのないように・・・
あたりまえのように洗顔料のチューブを取って、なおも洗い場での演技を続けます。

(イヤあ)
(後ろを振り向けない)

とにかく自然体を装うしかありませんでした。
手のひらの中で泡立てた洗顔フォームで、そっと顔を洗います。

(もうだめ)
(死ぬほど恥ずかしい)

カランのレバーを押して、
「じゃーー」
手のひらにお湯をためました。
肌の表面を撫でる感覚で、やさしく顔をゆすぎます。

(どうするの)

必死に計算していました。
演技だったとバレないまま、この状況からうまくフェードアウトしなければなりません。

(からだも洗ってから)
(そのあと帰ったほうがいい)

ボディソープをポーチから取り出して、タオルになじませました。
首から洗いはじめます。

そのときでした。
不意に、
「ざばっ」
後ろでお湯からあがる気配がして・・・
反射的に胃が『きゅっ』となります。

(ひっ)

心臓が縮みあがりそうに緊張しました。
おじさんが近づいてくるのがわかります。

(ばくばくばく)

私は、3つ並んだカランの真ん中を使っていました。
口髭おやじが、
「・・こらしょっと」
右隣のカランの前でイスに腰かけています。

(ばくばくばく)

横目に、ニコッと会釈されました。
私も、
「Como está」
にっこりと微笑みを返してみせます。

(ばくばくばくばく)

おじさんは自前の洗面器持ちでした。
蛇口から出たお湯をためて、
「じゃばじゃば」
ざっと顔を洗っています。
そうかと思えば・・・
タオルを使わずに、手の中に握った石鹸で直接からだを洗いはじめていました。
横目でチラチラ私のことを見ています。

(あああん)

超どきどきしました。
お風呂の洗い場で、見知らぬおじさんと横並びになっているのです。
当然ながら、瞬時に見破っていました。

(この人は・・・)
(からだを洗うために来たわけじゃない)

はだかの私を少しでも近距離で見ようとしているだけです。

(もうイヤあ)
(ゆるして)

再び昂ぶってくる自虐的な感覚そのものが、このうえなく快感でした。
隣のこの男は、ほんの2分前に私の股間を見たばかりです。
タオルでからだを洗いながら、
「Está muito perto」
そのいやらしいおじさんに、私から話しかけてやりました。

「Você é erótico?」

もちろん通じません。
わからないながらも、お互いになんとなくの雰囲気で微笑み合うだけです。
もはや、ニヤニヤがとまらないこのおじさん・・・

(ばくばくばく)

素っ裸で、
(いやんいやん)
すぐ横に隣り合わせ・・・
恥ずかしいなんてもんじゃありませんでした。
だってこのオヤジ、私の乳首を盗み見ながらニヤニヤしてるのがわかるのです。

「Não olhe para mim」
「mim porque é embaraçoso」

屈辱的でした。
真横から見られていますから、実際にどこがどの程度見えているのか定かではありません。
でも、とにかくすごい近さでした。
手のひらで股を洗う仕草を、横目でチラチラ見られています。

(あああ、もうだめ)

私からも見えていました。
オヤジのお○んちんが、そそり立つように上を向いています。
想像はついていたはずなのに・・・
実際に目にしてしまうと、それはそれでやはり衝撃です。

(ひゃああ)

ひととおり全身を泡だらけにしたところで、プラスチックイスから立ち上がりました。
洗面器を持っていない、この女・・・
湯船へと歩み寄って、かけ湯用の桶を拾いあげます。

(恥ずかしいよ)

湯船のお湯をすくいました。

「ざぱーっ」

からだにお湯をかけてボディソープを流します。
何度も、
「ざぱーっ」
お湯をすくっては、からだにかけました。

そして、
「じゃぼっ」
あらためて湯船に入ります。
が・・・同時に、

(あっ・・・)

脱衣場のほうに、人の気配を感じていました。
一瞬にして、
(ばくばくばくばく)
またも胸の鼓動が跳ね上がります。

(嘘・・・)
(嘘・・、嘘・・・?)

激しい緊張に襲われて、生きた心地がしませんでした。

迷っているヒマはありません。
あらたに、別の誰かが浴場に入ってくるのは時間の問題でした。
このまま待ち受けるか、ここから去るか・・・
瞬時に決断を迫られます。
正直、頭の中がパニック寸前でした。

(どんな人なのかわからない)
(何人いるのかもわからない)

じゅうぶんです。
もう、死ぬほど堪能しました。
だったら、このタイミングで帰るほうが安全です。

「ざばっ」

お湯の中から立ち上がりました。
タオルを腰に巻きます。
お風呂ポーチを手に持って、湯船から出ました。

(あああ、怖い)
(怖いよ・・・)

脱衣場のほうへと歩いていきます。
もう口髭おやじのことは頭にありませんでした。
そんなことより、
(ああ、やばい・・怖いよ・・・)
曇りガラスの引き戸の向こうにどんな人がいるのかが、とてつもない恐怖です。

(ああ、お願い)
(変な人たちじゃありませんように)

祈るような思いで、
「ザシャッ」
曇りガラスの引き戸を開けます。
緊張の一瞬でした。

(ばくばくばく)

腰タオル1枚の格好で脱衣場に入ります。

そこにいたのは、おじいさんでした。
はだかの私を目にして『おっ!?』という表情を向けてきています。
正直、
(助かった)
心底ほっとしていました。
いたのは『お年寄り』が『ひとりだけ』だったからです。

(ばくばくばく)

じろじろ見られていました。
おじいさんなのに、いやらしい顔をしています。
もう心の余裕がありませんでした。
もはや、一刻も早くこの場から立ち去りたいという気持ちだけです。

(ばくばくばく)

意識しないようにしました。
見られていることを考えないようにして、そそくさとからだを拭きます。
手早く服を着ました。
ダウンコートを羽織って、荷物を持ちます。

おじいさんが、にんまりと私のことを見ていました。
その満足げな視線に・・・
なんだか妙にみじめな気持ちにさせられます。
よくわからないけれど、まるで自分が負け犬になったような気分でした。

浴場へのガラス戸が開いて、
「ザシャーッ」
私を追ってきたかのように、口髭おやじも脱衣場に現れます。
ほぼ同時に、その場から立ち去る私・・・
目を合わせないようにしている自分がいました。
スニーカーをはいて、相手より一足早く建物から『脱出』します。

(ばくばくばくばく)

後悔はありませんでした。

じわじわ押し寄せる自己嫌悪の感情と・・・
でも、いまだ冷めやらぬ興奮の余韻・・・

(だいじょうぶ)
(私は、悪いことしてない)

複雑な感情の渦に涙をぽろぽろこぼしながら、駐車場へと戻る私でした。


(PS)
長文にお付き合いくださってありがとうございました。

10
投稿者:ジュニア ◆7j3XM2vCaw
2020/04/11 20:09:32    (oaQGBW5I)
ステイホームに最適な読み応えのある体験談でした。
パイパンの描写と勃起の描写が最高です。
風邪やコロナに気を付けて露出をして下さいね
今回も素敵な体験談ありがとうございました。
11
投稿者:   031825
2020/04/11 22:02:12    (Rp2z9vV6)
お元気でしたか?
コロナのことがあったので、とても心配しておりました。
今回の露天風呂での体験も、読んでいて心臓がズキズキし、心拍数が上がりました。至近距離で美しい裸を堪能するおじさんに対する、恭子さんの心中の葛藤がたまりません。
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