師走である。師走と言えば酔っ払い。そして深夜ともなれば千鳥足が繁華街を徘徊するものであるが、その中には単独の♀がいたりするものである。いや、滅多に居ないから期待をしてはいけない。期待しては居ないものの仕事帰りの小生はそれでも深夜の街をパトロールするのだ。
その晩、やや足取りの不審な単独♀を発見しすぐさまパトロールカー(笑)を回り込ませ様子を伺う。異常に移動速度の遅いその単独♀は立ち止まり、立ち止まり…携帯片手にこちらに向かってくる。小生は車を安全な場所に停め、徒歩に切り換える。そして周りから不自然に見えない様に気を付けながらターゲットの確認に移る。ほどなく擦れ違うと不二家のペコちゃん似(どんなんだ)のかわいい子である。夜目にもアルコールで上気したほっぺたが赤く染まっているのがわかる。擦れ違い様、上目使いにこちらを見るターゲットの口元が微妙に綻んでいるのが分かった。かなりご機嫌の様である。久々のチャンス到来に小生は期待に股を膨らましつつ…その実、寒さで縮こまっているのであるが…ターゲットの進路を確認しつつ、周りに人が居ないのを確かめ今度は背後から追い越す。相手は千鳥足であるからして普通に歩いてても容易に追い越せるのだ。♀との距離を開けつつ手頃なRポイントを物色し、とあるマンションの入口に入り込む。中は明るく、外からは丸見えである。そこで初めて後方を振り返り…???…居ない…。
来た道を戻ると近くの駐車場に停まっている車の助手席に乗り込むターゲットの姿が!
がっかりしつつもさりげなく中を伺うが様子は分からない。♀同士か、はたまた一人で車の中で寝込むつもりなのか…。いつまでもうろうろしていると不審人物になってしまうので已むなく車に戻り、諦めて帰路につくと車を降りたのであろう先程のターゲットが運転席に居たのであろう♂と歩いていく所であった。やはり……と思いつつも今晩も千鳥足を求めてパトロールは欠かさない…事はない。
この話しはフィクションである。良い子は真似してはいけない。