何年も前のことです。秋くらいのまだ暑さが残っている頃。私は一人旅行に行きました。旅館は山というんでしょうか。大通りから少し外れて木々の中を登って行った先にありました。
チェックインした時に、その日泊まっているお客さんが他にいないことを聞いた私は、夜中に少しはめを外しました。
22時頃。お風呂に入った私はそのまま体を拭いたあと浴衣を着ずに廊下に出ました。
お風呂は23時まで開いていると聞いていたので30分ほど旅館を歩き回って、また体を洗ってあったまってから出ようという計画です。
従業員さんも数人いるだけだった為、誰かに会うこともなくお風呂場に戻りました。
そのまま更衣室に入ろうと暖簾をくぐったところでガチャリと更衣室の扉が開きました。中から女性が。私は走って近くの階段まで戻りました。その女性がいなくなったことを確認した私はお風呂場へ。体を洗って部屋に戻りました。
おそらく従業員の方もお風呂に入りにきていたのでしょう。何か言われるかなとか警察とか呼ばれたらとか思っていましたが、いつの間にか寝ていました。
そして次の日、朝食を持ってきてくれたのがその女性でした。結局何も言われることなく旅館を後にしたのですが、観光場所を教えてくれている間もずっと気まずかったのを覚えています。