前に書いたような無言電話をかけてきたのは、不良刑事の単独犯行
に間違いない。
ただ所在確認のために警察が電話してすぐ切るということは、
実際にやっているようである。
その男はそれに紛れてやったのであろう。
それとは別の話である。
私が露出の疑いをかけられて職務質問されてから半年がたった。
私は不安な日々を送りながら会社に行っていた。
そんな土曜日の午後のことである。
当時は交代で隔週の土曜休みをとっていたので、その日出勤
し、そのあとで大学のゼミの同窓会が都内の某所であった。
ゼミの同窓会などどうでもいいのだが、少しは気が紛れるかと
思い出席した。
そのあと、同期で二次会をするために小さな喫茶店のような
ところにいった。
それも1階が混んでいるので、2階に行った。
私は黙っていたのだが、突然、横の席のほうから、
若い男が”露出狂?”と声を発した。
そっちを向くと、その男の前に座っていた若い女が、私
を睨み付けていた。
私は目をそらした。
その女は、デートを打ち切って、帰っていった。
私が露出をやめてから半年たっているし、その喫茶店の場所は
私が露出していた場所から電車で15分以上離れているのである。
私は自分の不運を呪った。
それからちょうど1週間後、会社を休んでいた私の耳に、
隣の家の玄関先から、”こんにちは!警察のものです”という
声が聞こえた。
私は慌てて窓から覗いた。
見ると、コートを着た若い男(無言電話をかけたのではない)
が、ヘラヘラ笑いながら帰っていった。
門の前で”警察のものです”と大声を出されれば、誰でも
嫌に決まっている。
追い返されたのであろう。
しかし、あれからちょうど1週間後にこういうことが起きたのは、
偶然ではあるまい。
おそらく、私を露出狂だと気付いた女は、帰っただけでは腹の
虫が収まらずに、警察に電話したに違いない。
だが、露出したのは喫茶店とは全然違う場所である。
警察は露出行為を見た場所を聞き、私を割り出したが、
確たる証拠がないので、隣家に行ったのだろう。
もちろん、私は隣人のような知り合いに見せるようなヘマ
はしていない。
それから、うちの勝手口の前に深夜の間に煙草の吸殻
が大量に捨てられていたことがあった。
当時は、ポイ捨ては禁止されていない。
よく見ると、缶コーヒーのフタも3つあった。
これはおそらく、近所に露出行為をするものがいたので、
帰ってきたところを抑えようと、刑事が3人、張り込みを
したのであろう。
もちろん、それは私ではないのだから空振りである。
だが吸殻を掃除しなければならなくなった。
さらに時効寸前に、警官がうちに来て、”車庫ありますか?”
と聞いてきた。
見ればないことは、誰にでもわかる。
しかも、”ない”と返事をしたにも関わらず、
”こちら、○○の交番です。今、車庫の調査してるんですけど、
ありますか?”と電話で聞いてきた。
これは確か時効の2週間ほど前であった。
警察の組織的な嫌がらせは、時効とともに終わったが、
無言電話は時効になったあとも執拗に続いた。
無言電話をかけていた刑事を尾行していて気付いたのだが、
この男は無意味にクビを振る。
これはチックという神経症の症状である。
その男は背が高く、一見強そうに見えるから採用
されたのであろうが、とんでもない非行野郎を
採用しているものである。
なお、この刑事は、家に帰るときは尾行に気付かなかった
が、別の場所から警察署に帰るときは、私の尾行に気付き、
帰宅中の女性警官との立ち話をやめて署内に入った。