露出人
このごろ前腹や脇腹のたるみが気になりはじめたこともあって、気が向くと深夜に近くの畑道を
歩くようになりました。ただ歩くのではなくて素っ裸で歩くのですが、これが適度に腹に力が入っ
て良い感じなのです。
はじめはわずか1~2kmほどの距離を隠れながら歩いていたのですが、回を重ねるごとに大胆
になってきて、4~5kmも徘徊するようになっていました。
そんなある夜、いつものように2kmほど歩くと喉が渇いたので、畑道脇にある自販機でジュー
スでも買って飲もうと道に出ようとしたところ、車のライトが目に入り、慌てて隠れました。その
時は何とか見つからなかったので、その車をやり過ごした後そのまま自販機でジュースを買ってい
たのですが、その時、先ほどの車がUターンして来たんです。
慌てて隠れるにもジュースを取り出すのに手間がかかってしまい、自販機から離れた時には既に
100mほど近くにまで車が迫って来ていました。
車のライトは自販機から素っ裸の私が離れる姿を映し出していたに違いありません。もちろん運
転手にも見えていたでしょう。
するとその車は自販機の一本手前の脇道に停車し、慌ただしくドアを開けて人が降りて来たので
す。
ここで他人に、こんな姿の私を捕まえられたらウン十年の生活基盤が・・との恐怖心からガクガ
クする足を引きずるように葡萄園に逃げ込みました。
その夜はほぼ満月で、素っ裸の私の姿は月明かりに照らされて遠くからでも見えてしまうほどで
したから、棚のある葡萄園に逃げ込んだのは慌てていたとは言え的確な判断だったようです。
車から降りた男は2人。「そっちの方から・・」とか「オレはこっちを・・」とか言っていまし
たが、身じろぎせずに隠れている私を見つけられず、とうとうあきらめて車に乗り込んでしまいま
した。ホッとして・・それでも用心深く帰路についたのですが、しばらく行くと先ほどの車が別の
位置にライトを点けて停まっているではありませんか!
ここでもまた葡萄園の奥の草の生い茂った場所に隠れて、車がいなくなるのを待ってから再び草
むらを探してはその中を通ってやっとの思いで帰宅したのでした。
いつもなら僅か1時間ほどの裸散歩のはずが、その夜は2時間半もかかってしまい、せっかく
買った冷えたジュースは飲む事も忘れて温まってしまいました。そして最悪なのは、草むらや畑の
中でジッとしていた為に、体中数十ヶ所も蚊に刺されてしまったことです。
こんな時期に深夜素っ裸で徘徊していては蚊に刺されて当然ですよね。でも見つからなくて良
かった~。けど痒い!(苦笑)