深夜全裸で自宅玄関から100m位先の通りまで往復した。
これまでに女性用下着にウイッグ、Tシャツにレギンスで夜間散歩をしたことはあったが、全裸は初めて。
女装散歩中、人がいない場所では、レギンスを下げてプチ露出をしながら歩きそれだけでもとても興奮したが、何気に深夜の全裸散歩の投稿を読んで、やってみようと思い立った。
そもそも私は誰かに見せたいわけではなく、普通脱がない場所で脱ぐ、ということ、脱いだ時、外気に晒した時の開放感が高揚するのであって、見られちゃうかも止まりのびびりマンである。
しかし、全裸は女装散歩の比ではなかった。ウィッグも下着もマスクもなし、まして、自宅周辺である。
見つかったり、人感センサーの付いているお宅の前では、ドライブレコーダーや防犯用に録画されているかもしれない。
即通報、警察でのお説教は免れない(もちろん、場合によってはお説教では済まない。)。
それよりも近所中に知れ渡り、社会的に抹殺されてしまう。
そんなことになったら、大変だから、もっと遠くでやりなさい、という声がする。
でも一度妄想したら頭から離れない。それにあくまでお試しだから。悪魔の声が囁く、私をそそのかす。
でもいきなりは危険すぎる。そこで、これまで余り気にしていなかった近所の路地をGoogle地図で確認、見当をつけて着衣で下見してみる。
この家は人感センサーでライトが点くな、防犯カメラはなさそう、など。
そういう目線で散歩をするとただ散歩をするのと違って、着衣でもドキドキする。ドキドキだけなら良いのだが、どこかでワクワクしている自分がいる。
深夜、風呂上がりで体が温まっている間に、夜気に触れたくなり、決行することにした。
午前零時は回っているが、まだそれほどでもない。玄関の鍵を開けるのに玄関の電気は点けないほうが良い気がして、暗闇に目が慣れるのを待って開けようとするが、チェーンやサムターンの音がとても大きく感じ、また、手が震えてうまくチェーンロックが外せない。
やっと外し、そうっとノブを回して、外の様子を窺う。
街灯や駐車場の常夜灯がとてつもなく明るく邪魔である。
向かいの家の窓は真っ暗だが、中から誰かが覗いているような気がしてならない。
ええい、駐車場まで出て、ヤバければ戻って来ればいいと腹を決めて外に出る。
夜気が体を包んで、とても清々しい。
玄関の鍵をかけて、門扉を開けてそうっと閉める。駐車場まで出て、隣の家と斜め向かいの家の様子を窺う。
真っ暗である。そうっと通り過ぎ、次の家に。あと1軒で交差点。交差点の向こう角の家は、下見の時に家人が玄関でタバコを吸っていた。
いわゆるホタル族で、タバコを吸いに外にいるかもしれない。暗くても安心はできない。
靴はトレーニングシューズでゴム底なので、足音はしない。大丈夫そうなので、角を曲がって、大通りの方角に進む。
街灯が非常に小まめに設置されているため、とても明るい。せめて、一本置きにしてほしい。
大通りまではあと一区画越えなければならない。
そこも越えて、団地のメインストリートに出た。といっても、片側一車線の道路であるが、とても広く感じる。
通行している車はなく、急いで向こう側に渡る。
反対側は街路樹が茂り、影が多い。また、空き家もあるため、そこの駐車場にしゃがめば車をやり過ごせるからである。
渡った。
行き交う人はなく、車の通行もない。
なんということだ。全裸でこんな所まで来てしまった。
戻ろう。
帰り道も誰もいない。
最後の角を曲がるときは、もう終わりかと、ちょっと残念な気持ちになったが、無事に自宅に辿り着いた。
玄関の鍵を開ける時、全裸を後ろから見られているような気がして焦ってしまい、なかなか鍵穴に刺さらない。
何とか開錠して滑り込んだ。
こんなやばいことはやってはいけない。もっと賢くならなければ。
そう、今度はもっとうまくやろう。
やめようとは思っていないのであったのだった。