私はある特定の地方へ出張した際には、予定には入れていないが訪問する場所がある。
宿泊したビジネスホテルから予定の訪問先までの道中は自転車だ。
最近は経費削減と経理が厳しく、レンタカー代やタクシー代の精算に手間が掛かる。
しかし最近のホテルは自転車まで貸し出してくれるため、私はこのホテルをよく利用する。
天気が良かったため風を切りながらペダルを漕いでいる時でした。
ふと、記憶の片隅に残っていた事を思い出した。
(あれ・・・そう言えば、この辺りって)
私は自転車の進路を変え、ホテルへ戻る道から外れた道を選んだ。
この地区は住宅街と工場が混在しているエリアだった。
恐らく先に工場が建っており、その周りに有った空き地に住宅が次々と建ち、
最後に区画整理事業などで道路やバイパスが開通したのだろう。
大きな道路から脇道に入り、進んでいった中に私の目的地はあった。
さほど大きくない工場。入口付近には従業員と来客用を兼ねた駐車場。
その傍にはプレハブ二階建ての会社事務所、そして奥に向かって現場作業ができる大きな工場がある。
昭和に建てられた、住宅街の中に残る典型的な町工場でした。
(良かった、今日はお休みじゃなかった)
私がこの町工場に寄った理由。それは過去に訪問した際、偶然起こった出来事でした。
数年前、ここで午後から一時間の予定だった打ち合わせが思いのほか、時間が掛かり4時間近く掛かってしまった。
この後、予定が無かったため問題は無かったが私はホテルへ帰る前にトイレを借りたです。
「あ、すみません。トイレお借りしたいのですが」
「それなら、工場入って左の方へ行って下さい」
私はそう言われた通り一度プレハブ事務所を出て工場へ向かった。
工場で作業をしていた人達は帰り支度を始めており、現場も片付け途中の様です。
私は作業の邪魔にならないよう、作業員さん達の間を通り抜け言われたトイレへ向かいました。
そして見つけたのは、見るからに昭和に作られたトイレ・・・
遠目に見てそのトイレは何となく、女性が近づき難い雰囲気を感じる。
私はこれまで何度もトイレを覗かれた経験がある。
正確に言うなら覗かれることが解っているトイレを何度も使って、そして覗かれているのです。
ここも妖しい雰囲気が私のセンサーに反応するものがあった。
明るく、綺麗で、女性が安心して・・・では決してない、得体の知れない怪しい魅力。
このトイレからも自分でもよく解らない胸のざわめきを感じる。
そして興味を惹かれ始めていた。
私は傍に居て比較的、声が届きそうな従業員の方に声を掛ける。
「あの、トイレってここだけでしょうか?」
「そうですよ」
男性従業員の回答は素っ気無いものでした。
私はトイレに向かいつつ、足元に置いてある鉄筋の束に躓いた振りをした。
ガシャン!
「きゃっ!」
鉄筋がずれて大きな音を立てると同時に私も小さな悲鳴を上げる。
(みんな、私のことに気付いた・・・よね?)
ここに居る男性達に私の存在とこれからトイレに入る事を印象付けるための演技だ。
これで女性のトイレに興味がある男性は十中八九覗きに来る。
そしてこの様な古い造りのトイレは、かなりの確率で男女共同のトイレなのだ。
私はそのまま進んでいく。この時、実は遠くから誰かに見られていた事に全く気が付かない振りをしてトイレに入っていった。
意外だったのはトイレの入口が男性用と女性用でちゃんと二手に分かれていたことだ。
左側の女性用に入ると個室が二つ有ったのだが、そのうちの一つに『故障中使用禁止』と
ドアの真ん中に張り紙が貼られていた。
張り紙がされているが、それでも私は念の為、『故障中』の個室に入ってみる。
そこは和式便座の個室。故障とあったが試しに水を流してみたが、水は流れない。
やはり故障しているのか、今は完全に使えないようだった。
和式便座の中は乾燥しきっている。長い間、水が流されていないのでしょう。
もう一つの個室は板壁で遮られているがその板壁の向こうは男性用トイレ。
私は個室に入ると鍵を掛けて便器を跨いだ。そしてショーツを下ろすと一気にその場にしゃがみ込んだ。
正面の壁には防水テープを巻き付けた配管が天井から床までクネクネと曲がりながら取り付けられている。
個室の床にも隙間は無く覗かれる事も無い造りだ。
(ん〜、私の思い過ごしかな?取り敢えずおしっこ、おしっこ)
緊張感で全身に力が入っていたが、一息つくと脱力感と同時におしっこが出始める。
やがておしっこの勢いは無くなり、雫がお尻を伝って下の便器に落ち始めた時です。
カタンッ!
壁の向こうから物音が聞こえた。
(ん?・・・向こう側に誰か居る?)
不穏な空気を感じた私は急いでトイレットペーパーを手に取り、おしっこが終わった瞬間に股間を拭いてショーツを履いた。
そして慌てて個室の外へと出た。
(今、誰か居た?)
トイレから外に出た私は、恐る恐る男性用トイレに誰か居ないか覗き込む。
期待とは裏腹に、そこには誰も居なかった。
(今、私、覗かれるのを期待してた・・・?)
手を洗っていなかった事を思い出した私は再び女子トイレに戻った。
妙な胸騒ぎを感じながら手を洗っている時、個室の中をもう一度まじまじと眺めていると
壁に不審な光を見つけた。
その光は壁を這う配管と床の僅かな隙間から漏れ、反対側の壁を照らしている。
(もしかして!)
私は配管の下を覗き込むように、顔を近づけて光の元を確認した。
そこには横幅10㎝ほどの穴の様な割れ目が有った。
(え!もう一回ちゃんと見てみよう!)
そこには幅10㎝、高さ3㎝ほどの小さな穴があった。
小さな穴というよりは、何者かによって開けられた大穴が空いている。
経年劣化や悪戯で開いたものでは無く、工具を使って人の手で開けられた様な感じだ。
私はもう一度男性用トイレにこっそり戻ると個室に入っていく。
そして個室の壁を見ると、向こう側で見つけた穴はこの個室へと繋がっている。
しゃがみ込んで穴を覗くと女子トイレの便器も個室全体が良く見える・・・
壁は完全に空洞になっておりスマホのカメラを向けたら完全に丸見えです。
そして女子トイレに戻ってもう一度個室を確認します。壁を這う配管がちょうど女子トイレ側からは穴が見えない様に設置されています。
しゃがんでおしっこをしていてもこの穴は私の位置からは見えません。
「あ・・・あ~・・・」
(ま~ここまで手が込んでたら、使った人はみんな覗かれてるわね)
これまで来客でここを使った女性、ここで働いている女性たちも恥ずかしい姿を見られているでしょう。
取り敢えず、今日見たことは心の奥にしまってホテルに戻る事にした。
翌日、私は昨日の打ち合わせで決められなかった事を詰めるため再び町工場へ向かう。
話し合いの途中、普段は飲まないが出されたコーヒーを飲む。
それも事務員さんが丁寧にお代わりまで用意してくれたのです。
今日打ち合わせに参加した人は話好きな人でした。話していて面白かったけど、雑談的な内容が多く仕事に関係する話はほとんど出なかった。
予定の時間を超えてしまいましたが、それでも今日の目的は達成できたかもしれません。
(さてと、次行くか)
今の私の気分としては、次の場所へ移動する前にちょっとトイレに行きたい。
だけど途中のコンビニのトイレには寄りたくない。
夜、予定が全て終わってホテルに帰るまで我慢できれば良い。
だけど、もし我慢出来そうになかったら、その時は・・・
ここにある『トイレ』で済ませておけばよいだけのことなのです。
「あの、すみません。トイレお借りしていいですか?」
私は事務員さんに声を掛け、工場へと向かう。昨日も通った場所だ。
場所は解っている。工場に入って左だ。そこには一応女子トイレが有る。
今の私は、凄くおしっこがしたい気分です。夕方まで我慢出来ない事もないが、やはり我慢は身体に良くない。
先程、お代わりまで飲み干してしまったコーヒーのせいもあるでしょう。
私は工場内にある機械を避け、足元にある資材を跨ぎながらトイレに向かう。
工場内に相応しくない服装で歩く私は非常に目立つ。
作業をしている人達の視線を感じながら私はトイレに辿り着いた。
昨日誰かに『覗かれたかもしれない』というのは、私の勘違いかもしれない。
(みんな私に気付いたよね。中には・・・誰も居ない・・・よね?)
誰もいないかも知れないし、もしかしたら偶然、誰か来るかもしれない。
不安と同時に感じる期待、そのどちらが良いのか、答えは解りきっている。
もしも今、後ろを振り返ったら私を見ている誰かと視線が合うかもしれない。
でも私は一切背後を確認せず、トイレへと入っていく。
今の私は『おしっこを覗かれる事に気づいていない女』なのですから。
トイレに入ると二つ有る個室の一つには昨日と同じ『故障中使用禁止』の張り紙が。
それを確認して敢えて個室にドアを開け中へ入る。昨日と同じように水が溜まっていない和式の便器が有るだけで、
当然、水を流そうとしても流れない。
これではおしっこをした後に、流すことができない。ずっと便器に私のおしっこが残ってしまうのではないか。
(どうしようか・・・・なんてね)
言い訳じみた事を考えながら、私は時間稼ぎをした後に隣の個室トイレに移動する。
例の配管の下に隠れた穴を見る。やはり壁は繰りぬかれ薄暗い個室に男子トイレ側からの光が漏れてい来る。
(もしも、今日もここでおしっこをしたら)
昨日ホテルに戻った時から、私の頭の中はこの妄想でいっぱいでした。
男性に向かって晒される私の女性器。
そしておしっこ・・そして、もし万が一、それをここで働いている誰か、覗いている人が居たとしたら。
カタンッ!
「ひっ!」
物音が壁の向こうから聞こえた。人の音かは解らない。
もしかしたら工場の作業の振動で何かが揺れただけかもしれない。
それでも、今の私を戦慄させるには充分過ぎた。
(やるんだよね?久美子)
自分に問う。先程までは尿意にまだ余裕があったが、今はもう限界に近い状態になっていた。こうなる事が解っていて、
自分で自分を更に追い詰めた結果だ。
(さあ、やるよ!久美子)
ドクンッ、ドクンと響く自分の心音を耳にしながら、私はスカートを捲り下ろしたショーツを膝で一度止めたが、
足首まで下ろしそれを脚から抜き取った。
それを貯水用の薄汚れたタンクの上に投げ出した。
これで躊躇しても後戻りは出来なくなった。
今私は、ノーパンのまま便器を見下ろすように跨いで立っている。
このまましゃがみ込んで、もし向こうに誰か居て顔を近づけて覗き込まれてしまったら、スマホなどで動画を撮られてしまったら、
剥き出しの割れ目を見られてしまう。
緊張で喉がカラカラになる。胃酸が上がって来るような感覚に襲われ気分が悪くなる。
(やばい・・・。けど)
だがこれで終わりではない。私はそのままゆっくりと便器の後ろの方へしゃがみ込む。
ちょうど、向こう側から覗かれ易い位置に自分の股間が来るようにして。
風の流れを無防備な股間に感じる。
僅かに入る隣からの光が私の性器を照らしているようだ。
カサカサとまた音がする。何かが動く様な感じ。
穴のすぐ向こう、私からは決して見えない位置。
もし向こうに人が隠れているなら私からは決して見える事無く、私の股間は見えるような位置に居る。
聞こえてきた音に、私は予想をたてた。
しかし緊張してなかなかおしっこが出ない。じれったい時間が続く。
私は転ばないように壁に手を着いて両脚を大きく開く。股関節の柔らかさがそれを可能にしてしまう。
穴の向こうからは股間が更に見易い格好になってしまった。
そうしておしっこが出ないせいで、その間ずっと割れ目を向こうに晒してしまう。
そして・・・ついに。
(あ・・あ、あ、おしっこ出ちゃう)
誰かがすぐそこで覗いているかも知れない、そんな想像を働かせながら、私の尿道口からはついに飛沫が飛び出す。
チョロ・・・シャァ~ブショォォォ
零れ落ちたおしっこは勢いを増し、あの音を立て放物線を描きながら便器の中に落ちていく。おしっこを飛ばしながら、
私はぶるっと身体を震わせた。
(ああああ、やっちゃった・・・)
まだ雫を滴らせたままの性器を晒しながら、束の間の放心状態。
しかしすぐに、勢いでやってしまった自分の行動に理性が追い付いて来る。
(もしも本当に誰か覗いていたら、ヤバいよね?)
取り敢えず開いていた両脚を閉じてペーパーを取り始める。
それと同時に、壁の向こうでまた何かの動く音。
それは静かにトイレから立ち去っていくような気配と音。
どのくらいの時間が経ったのだろうか。
自分では一時間、嫌それ以上に感じていたが、時計を見ると三分も経っていなかった。
(外で待ち伏せされるたら嫌だな・・・)
そう思って暫く個室の中で息を潜めていると、工場内のプレス機やグラインダー作業の騒音がここまで響いていた。
どうしてこんな騒音の中で向こうの微かな物音が聞こえたのか不思議でした。
しかし、何時までもここにいる訳にもいかない。
貯水タンクの上に置いたショーツを鞄にしまうと私は意を決してトイレの外に出たが、
トイレの外は数分前と同じ従業員の人が工場内で忙しなく作業をしている姿しかなかった。
そもそも覗かれていたのは私の勘違いで、本当に人が居たのかも実際には解らない。
(じゃあ、なんであの穴は開けられたの?)
私は疑問を感じながら工場を後にした。