梅雨が明ける7月下旬の福岡、夜なのに気温は30℃近く寝苦しい夜です。
睡眠時間が足らず、日中は正常な判断ができない日が続きました。
寝不足が続くと人は食欲旺盛になり太りやすくなるそうですが、私は少し違うのです。
日中の仕事中も眠いのに何故か、頭では厭らしい事を考えてしまいます。
寝不足と仕事のストレスがコップに貯まる水の様に徐々に水面が上昇し、そして溢れ出してしまった瞬間、
私のタガは外れ事に及んでしまうのです。
どうしてこんな場所に地下道が有るのか?その理由は解りません。
交通量は多く渋滞の多い幹線道路でしたが、深夜は静まり返りほとんど通る車は有りません。
しかしその幹線道路の下には、役目を終えた様な地下道が通り、誰がここに入口が有るのを知っているのか、
とさえ思う場所に薄暗く地下への口を開けていました。
私は地下道入り口の傍にある神社の駐車場へ車を停め外の様子を伺います。
深夜の住宅街、入口までは人が通れるほどの道幅しかない狭い通路。
私は車の窓を5cmほど開けたまま、鍵を持ち地下道入り口に向かって進みます。
夢遊病者のように入口へ吸い込まれた私は数十秒で反対側の入口に立ちました。
(この辺りに隠せそうな所は、と・・・)
傍にある街路樹の根元に私は車の鍵を隠すと先程来た道を戻ります。
歩く距離は往復で200mに満たない程度でしょうか。
私は車の傍まで戻るとドアがロックされているのを確認しました。
ー今夜のルールー
駐車場を出発して地下道を通り反対側へ行くだけ。
ただし・・・出発する際に着ている衣服を一枚ずつ脱いで開けておいた車の窓の隙間から
中へ入れる、これだけだ。
今私が身に着けている衣服は上はパーカー、タンクトップ、キャミソール、
下はショートパンツ、ショーツの五枚だけ。
そして脱ぐ順番は・・・
1 パーカー
2 タンクトップ
3 ショートパンツ
4 ショーツ
5 キャミソール
この順番は守らなければならず、走ってはならない。
そして車の鍵は全ての衣服を脱ぎ終えて帰って来る時にしか持って帰れない。
このルールは厭らしい私から与えられた最高の罰(ご褒美)なのです。
一往復目
私は羽織っていたパーカーを脱ぐと窓の隙間から放り込み早速通路を進む。
まだ心も身体も余裕が有り、落ち着いていました。
二往復目
熱帯夜で汗ばんでいたせいかタンクトップは肌に張り付いていましたが、脱いだ時の解放感で気分が高揚していました。
脱いだタンクトップをパタパタと数回振ると私はパーカーと同じ様に窓の隙間から放り込みます。
三往復目
次はショートパンツ。これを脱いでしまえば残るのは心許ない下着だけとなってしまいます。
パンツのウエストに指を掛けて下ろす時、やはり躊躇してしまいます。
(もしも下着だけの姿で誰かにみつかったら)
そう思うと身体が硬直し動けなくなってしまいます。
(1、2、3でいくのよ、久美子)
「1・・・2・・・3!」
小さな声で呟いて一気にショートパンツを足首まで一気に下ろします。
下ろした後は足首から抜いて、無造作に車の窓から放り込みます。
そして暗い通路へ向かいます。
下着姿で夜の地下道を歩くのは、異常な行為であり普通の精神状態なら耐える事は難しいでしょう。
アルコールの力を借りられれば良いのですが、ここまで車を運転して来ているためそれは叶いません。
もしも通路の前から誰かが歩いて来て鉢合わせしてしまえば、逃げる事も隠すことも服を着る事さえ出来ません。
(お願いだから誰も来ないで・・・・)
走り出したい衝動を押さえながら歩いていると、ショーツの中に湿り気を感じ始めていました。
お尻の割れ目には汗をかき、布地が食い込むほど貼りつき、クロッチ部分には汗とは違う粘り気のある粘液が感じられたのです。
反対側に到着した私は踵を返し元来た道に戻ります。
四往復目
車まで戻った私は、ショートパンツを脱いだ時のような迷いはもう有りませんでした。
暑さのせいなのか、露出行為による羞恥のせいなのか、その両方のせいなのか、身体が火照り意識が朦朧とする。
ショーツに指を掛けると迷うことなく下ろしていきます。
脱ぐ時にあそこから溢れた粘液が糸を引きながら股間から伸び、汗で貼りついていたショーツは脱ぎづらかったせいで丸まり、ただの布の塊と化していた。
地下道ではキャミソールの裾を下へ引っ張り、陰毛とお尻を隠そうと無駄な努力をする女が一人歩いていました。
肩紐が千切れそうになるほど裾を引っ張っても、お臍の下までしか届かないキャミソールでは裸とさほど変わりません。
五往復目
唯一身体に纏っていたこの肌着は何の役目を果たしていたのでしょうか?
私は最後の一枚を脱ぎ捨てると、車の窓から車内へと放り込んだ。
(これで最後よ・・・)
(嫌、最後じゃない・・・)
私はサンダルを足元へ揃えて置くと、五回目の通路へと進み始める。
一歩また一歩と進むたびに、足裏に刺さる小石の感触が今夜の罰(ご褒美)が現実であることを脳裏に刻み、過去の体験を思い出させる。
小学五年生の晩秋の季節に、私は担任の先生から言われ上半身裸、裸足で校庭を走らされたことがありました。
私達が小学生の頃は今ほど、性犯罪や児童ポルノについて騒がれることも無く、私は違和感も疑問も抱かずに、クラスの男子児童と一緒に上半身裸、裸足で校庭を走っていました。
鮮明に残っているのは足の裏に刺さる小石がとても痛かった事ぐらいです。
(あの頃は恥ずかしいなんて思わなかったのに、何で今は・・・)
私の下腹部は足裏の痛みとは正反対に快楽を得ていました。
そして全裸のまま地下道の反対入口に到着しました。
最初気付かなったが、入り口から鍵を隠した街路樹を見ると意外とその辺りは明るい。
そして街路樹は道路に近く、もし車が通れば見つかる危険性もある。
しかしここで気後れしたら、車までは戻れない。戻ったところで鍵の掛かったドアは一生開かない。
覚悟を決めた私は、暗い通路から飛び出し街路樹を一目散に目指す。
そして鍵を拾った時、車のライトがすぐ傍まで来ていた事に気が付いた。
(!!!)
走って地下道に戻るか、このまま街路樹の陰に隠れて車をやり過ごすのか、一瞬で判断と決断を下し行動に移らなければならない・・・が私にそんな器用な事は出来ない。
木の陰で動けず硬直していると、車は猛スピードで道路を通過する。
深夜で信号も無い場所だったため、制限速度を超えて走っている車は一瞬で走り去った。
(良かった・・・・見つからなかった)
鍵を手に取った私は何も考えずただ車まで戻る事に集中する。
静まり返った地下通路には、私の歩くペタペタと足音だけが響き渡る。
そして車まで戻ると私は躊躇することなくエンジンを掛け駐車場を離れました。
私は自宅の駐車場まで戻るとすぐさま衣服を着て部屋まで戻りました。
部屋に戻りシャワーを浴びている時、いくつのか後悔をしていました。
どうして地下通路でおしっこをしなかったのだろう・・・
どうしてあそこでオナニーをしなかったのだろう・・・
どうして帰り道に全裸ドライブを愉しまなかったのだろう・・・
どうして・・・が頭の中を駆け巡りそして一つの結論を導き出した。
(罰として今度は、もっと酷いことをするのよ)
翌日、私は昨夜の地下通路の入口をスマホの画像に収めると近所のドラッグストアに向かいます。それはもっと酷い事をするための準備のために・・・