どうして前のサービスエリアで行っておかなかったんだろう・・・
後先考えない自分の軽率な行いを後悔しながら、私はぴっちりと太腿を閉じる。
事故渋滞のため高速道路上の車はこの1時間ほとんど進んでいない。
目的地にいつ到着するのか解らない苛立ちから胃が痛む。
胃の痛みはやがて他の場所へ移動して私に不快感を催させる。
やがてそれは時間の経過とともに私の生理現象を促すように向っていくのです。
運転席と助手席に座る同僚は今夜楽しむ予定を想像して会話が弾んでいましたが、
私はハイエースの後部座席でぼんやりとただ外を眺めていました。
それからしばらくして、前の二人が愉しそうに騒ぎ始める。
二人の話題の方を凝視すると高齢の男性が路側帯で自動車に背を向けて立っているではありませんか。そして、その足元からは、キラキラと光る透明な筋が伸びている。
ピチャピチャという水音が聞こえる筈はないが、私の脳と耳は勝手に水音を造りだし、次のサービスエリアまで耐え切れずに立ち小便に行きついたのだろうと決めつけてしまう。
「爺さん、ここでするなよ」
同僚が心無い批判の声を上げるが私は心の中で同僚に対し怨嗟の声を上げていた。
男性は、いざとなれば外でおしっこが出来るが、女性はそうもいかない。
もう少し、他人のことを気遣ってあげられないものか、と思う。
しかし、誰も男性の味方をしようとはしない。可哀想ですが私にはどうする事も出来ない。
何せ、私もおしっこを我慢しているのですから。
男性が車内に居るのに、私はさり気なく脚を組み替えたり、ぎゅうっと前を押さえて尿意を堪えている。
「あ、俺もトイレ行きてぇ~」
運転している同僚が小さく呟いた。
次は同僚か私なのか・・・見えない緊張感が車内に漂い始める。
少しだけ進み、停車する、を繰り返す自動車の揺れが膀胱に刺激とストレスを与え続ける。
そのせいで私は、何度目かの尿漏れをしてしまった。
(次は私かな・・・)
そう心の中で弱音を吐いた時でした。
前方を進むワンボックスカーのスライドドアが開き、女性二人が飛び出してくる。
その女性の一人が小さかったので親子なのでしょう。子供は小学生低学年くらいでしょうか。子供が道路脇にしゃがみ込むと母親が素早く子供を見えないように覆い隠す。
子供の足元には小さな水溜まりがみるみるうちに出来上がり、ここでの出来事を無言で
周囲に物語る。車内で限界に達した子供を母親が見るのを見かねての行為でしょう。
車内で漏らすよりは子供なら外で済ませた方がましだと選択したようです。
この光景には、先程まで文句を言っていた同僚も毒気を抜かれたのか、何も言わずに目を逸らし、横目でチラチラと私達の顔色を窺う。
「お、俺もトイレ行きたくなってきた」
彼の告白で私も少し気持ちが軽くなったので私も告白した。
「あ、私も行きた~い」
「もう限界来そう、ちょっと運転変わってくれ」
「そうだ!」
すると、毒づいていた同僚が思い出したとばかりにダッシュボードの中を探り始めて
コンビニのレジ袋を探し出した。レジ袋から出来て来たのは携帯トイレ。
以前、誰かが購入してダッシュボードにずっと入れていた物だ。
同僚は携帯トイレがここに有る事を思い出しドヤ顔で語りだしたが、私は彼に対して感謝の気持ちなど微塵も感じなかった。
それよりも、我先にと携帯トイレを奪い取るのに必死だったからです。
幸い、携帯トイレは三人分以上あったが、やはり女性がここでおしっこをするのは難しい。
せめて、車内が区切られていれば話は違ったかもしれないが、そんな物はこんなハイエースのバンには有るはずがない。
それからしばらくしても、車は進まず運転席にいた同僚が「ちょっと運転頼む」と声高々に宣言し、車を降りると高速道路の路側帯へ走り去った。
どうせ車は進まないのだから、どうにでもなるのですから。
(男は、いいわね・・・)
私は携帯トイレのパッケージの裏に書かれた説明書を読みながら思った。
『女性、子供でも使いやすい設計』と書かれてはいるが家族でもない異性がいる車内で
下着を脱いで下半身を晒して、おしっこが出来るはずがない。
嫌、家族でも無理か・・・・
数分後、車外へ飛び出していった同僚がスッキリした笑顔で戻ってくる。
「久美子さん、トイレ大丈夫ですか?」
「私はまだ我慢できるから大丈夫」
・・・嘘だ、そんなわけがないだろう。
今すぐにでもおしっこがしたくて堪らないというのに、私は自分の心も誤魔化せない様な出来の悪い嘘をついた。
後部シートの後ろに回って、二人から隠れて携帯トイレを使うにしても車外からはガラス張りで丸見えなのです。加えて男性が居る所で下着を下ろしておしっこをするなんて、
耐えられるはずがない。私は携帯トイレの使用説明書を読みながら、想像してみる。
シートの裏に隠れてまずパンツとショーツを脱ぐ。そして股間の下に携帯トイレを当て
おしっこを始めると絶対にあの恥ずかしい「しゅぃぃぃ」という音が響き始める。
ここは密室です。どんなに音を抑えようとしても、意味はない。全て二人に丸聞こえです。
二人には私が下着を脱ぎ、下半身を晒している事が容易に想像され、車外から覗き込まれたら丸見えなのです。
そんな事をするくらいなら、先程見かけた親子のように外でした方が何倍も良いにきまっている。
時間の経過に誘因される形で、私の膀胱は収縮を始める。
「っ!」
少しではあるが、また漏れてしまった。きっとショーツのクロッチ部分にはおしっこの染みが出来てしまっているでしょう。
そんな状態で立ち上がることなんてできない。
この渋滞に並んでいる車内にいる女性の多くは、私と同じ様に誤魔化しようがないくらい漏らしている人が大半でしょう。私の場合、黒いスカートなのでちょっとくらい漏らしても、
周囲には解らないが、薄い色のスカートやパンツスタイルの女性はそうはいかない。
立った瞬間に、おしっこが漏れて変色しているのが周囲に解ってしまうからだ。
そんな私に残された選択肢は、このまま座席に腰掛けたままお漏らしをするか、車が動き出すまで耐え抜き、バレずに車から降りサービスエリアのトイレに駆け込むかだ。
そして私は後者を選んだ。
(次のサービスエリアまで・・・1㎞弱か)
車列は全く進まない。
おしっこが漏れそうになるが、これ以上漏らしたら、もう抑えが効かなくなってしまいそうだったので、どうにか耐え忍ぶ。
車はいつ進むのか?
サービスエリアに着いて女子トイレにすんなりと入れるのか?
きっと、私と同じ境遇の女性がいっぱい居たら並ぶことになる。行列に並んでいる間もずっと耐える事ができるだろうか?
(この距離なら歩いてでも行ける!!)
そう考えた私は二人に「歩いて先に行く」と伝え、車から飛び出していました。
新鮮な外の空気を肺いっぱいに吸い込みながら、おぼつかない足取りでサービスエリアのトイレを目指す。
(我慢しすぎた・・・痛くて歩けない)
路側帯を歩くと前方のガードレールを乗り越えていく若い女性の姿がありました。
「嘘、でしょ」
私は、思わず心の声を漏らしてしまった。
きっと彼女も私と同じ境遇で同じことを考えていたのでしょう。
(このまま歩いても無事な保証はないし、あの子供の二の舞になるだけだ)
そう判断した私は”仕方”なく、ガードレールを乗り越えると人目につかない場所を探した。
今はいけないことだとは解っていても、そうする以外に方法がなかったです。
人の居ない雑木林の陰まで来ると、私はスカートをたくし上げて濡れたショーツをその場に脱ぎ捨てました。ずっと張り付いていて気持ち悪かったショーツを取り払ったことで、
解放的な空気が私の陰部を撫でていく。
「あっ・・・」
開放的な刺激に喘ぎ声に似た声を漏らしながら、私は放尿してしまった。
大きな放尿音を響かせながら、おしっこが勢いよく噴き出す。
それは雑木林の地面に打ち付けられて、びちゃびちゃと汚らしい音を立てた。
白い泡の浮かんだ水溜まりが広がっていく光景を呆然と見つめながら、私は快感のあまり身をよじる。
「はあぁぁぁっ」
我慢に我慢を重ねたためか、とても長い長いおしっこでした。
やがておしっこが終わると、おしっこ塗れになったお尻と下半身をティッシュペーパーで拭い、スカートを下ろして何事も無かった様にその場を逃げるように立ち去る。
開放感で鼻歌まで歌いながら、車に戻ると同僚が声を掛けて来た。
「久美子さん、早かったですね」
「うん、そこの林でしてきた(笑)」
二人の目が点になっていました。