忘年会の三次会。
終電を過ぎたカラオケは、酔っ払いが始発を待つ時間稼ぎ。
トイレに行った私が、扉を開けると見知らぬ男が順番待ちをしていた。
「アナタ、私がオシッコをしているのを覗いていたでしょ?」
と、因縁をつける。
「覗いてません」
と言い張る男に、私は酔っ払ったフリをして詰め寄る。
「この変態!」
「女がオシッコしているのを見て、興奮してたんでしょ?」
大学生風の男は、オドオドしながら
「違います」
と言い張る。
一目で男はMだと気づいた。
「本当に違うって言うなら、証拠を見せなさいよ」
と絡む。
男からスマホを取り上げて、画像や動画を確認する。
盗撮はしていないみたいだが、裸の女の画像が、たくさん保存されていた。
「いやらしいわね?」
「私のオシッコの残り香を嗅ぎながら、オナニーしようとしてたんじゃないの?」
「正直に認めなさいよ!!」
と、恫喝すると、男は泣きそうな顔で
「違います」
「信じて下さい」
と、切羽詰まった顔で私に懇願してきた。
「だったら、証明して見せなさいよ」
と言って、私は男を個室に連れ込んで、男の股間に手を伸ばした。
「ほら、やっぱり」
「おちんちんが、硬いじゃないの」
と言って睨むと、
「違います」
「オシッコしに来ただけです」
「お願いです」
「信じて下さい」
と涙目で訴えてきた。
「じゃあ、私の見ている前で、オシッコしてみなさいよ」
と言って、男にペニスを出すように促した。
「早くしないと、誰か来ちゃうよ?」
「友達の前で痴漢がバレても良いの?」
と言うと、男は恥ずかしそうにズボンとパンツを下ろした。
便座に座ったまま男は、オシッコが出なくて困っていた。
「お願いします、出て行って下さい」
「見られてると、オシッコできません」
と、言い訳し始めた。
「それって、女が男に言うセリフでしょ?」
「男だったら、痴漢じゃないなら、オシッコして証明しなさいよ」
と絡むと、男は自分のペニスを両手で隠すようにしていた。
「ほら、やっぱりアンタは痴漢だった」
「覗き魔」
「変態」
と罵声を浴びせた。
「違います」
「本当にオシッコしたかっただけです」
「信じて下さい」
と言い張る声が、だんだん泣き声混じりになる。
見てみると、臨界点に達してるペニスの先端から、透明な粘液が糸を引きながら、便座に滴っていた。
「楽になりたい?」
私は男の耳元で囁いた。
黙って男は頷いた。
私は男のスマホに保存されていた動画を再生して、男に返した。
「正直に、ぼくは痴漢です、って言いながらオナニーしなさい」
と言うと、私は狭い個室の中で、スカートを捲り上げて、パンツを見せた。
男は敗北を認めて、
「ぼくは痴漢です」
「お姉さんのオシッコを覗いて、興奮してました」
「あぁ、出る、出るぅ、」
激しくペニスを擦る男は、溜まっていた精液を床や壁に飛び散らせて果てた。
「ほら、やっぱり痴漢だったでしょ?」
「もう二度としちゃダメよ?」
と、私は勝ち誇ったように捨てゼリフを残して個室を出た。
時間にして30分ほどだったはず。
私が手を洗っていると、背後から溜め息と、男のオシッコしている音が聞こえてきた。
酔っ払いの、ささやかな悪戯。
カラオケの個室に戻ると、歌い続けていた部下の膝枕で、一眠りして時間を潰した。
他愛もない非日常のイタズラ。
行きずりの相手が、どんな顔だったかも忘れた。