1項,2項の罪が成立するためには,
構成要件上,
「第三者が撮影対象者を特定することができる方法で」
公表することが必要です。
「第三者」が特定できる方法なので,
本人にしかわからないというのはダメだということになりますが,
本人以外の者がわかればよく,
たとえば,
同僚や友人が見てAさんだとわかる画像であれば,
「撮影対象者を特定することができる方法」
で公表したと言ってよいと思います(当職見解)。
それから,
公表の方法を制限していないことも注目されます。
インターネット上の画像流出はもちろんのこと,
写真をばらまく,多くの人が見る場所に貼り付けることも,
この法律で処罰されます。
ストーカー行為等の規制法等に関する法律
(以下,「ストーカー規制法」という。)との対比で言えば,
この法律の活用領域が広いと思うのは,
次の2点です。
第1に,「恋愛感情・・又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の情」
といった行為者の主観・感情に左右されることなく,
ただ“行為”のみをもって,
構成要件の認定が可能だということです。
「リベンジ(復讐)のつもりではなかった」と
弁解したところで,この法律の適用においては意味をなしません。
第2に,現在のストーカー規制法では,
いわゆるソーシャルネットワークサービスによる
攻撃が対象からはずれていますが,
この法律は前述のとおり手段を限定していません。
たとえば,画像を拡散させるつもりで,
LINEで知人に,元恋人の「私事性的画像記録」を
提供するといった行為は,3項の処罰対象となってきます。
なお,日本人のAが,外国のPCを使って,
Bの「私事性的画像記録」を拡散させた場合も
処罰対象となります。
いわゆるリベンジポルノの被害は,
時に,身体に対する攻撃以上に,
被害者に対し,精神的に,
また,社会的に深刻なダメージを与えるものです。
法治国家では,復讐を権利として認めておらず,
リベンジポルノを正当化するものは何もないはずです。
一般人から考えて,
およそやってはいけない行為を規制し,
かつ,構成要件を明確にして
これを規制しやすくしたという意味において,
この法律は評価に値するものと思っています。
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