炎天下の季節…
初夏の陽気と陽炎のたつビル街…行き交う人々は皆時間を惜しむように足早でございます。
社会人になって間もない若者、精子君…
夏をまだ知らない精子君は、カラダにまとわりつくような女性の視線にも戸惑う若者でございます。
春先にあたたかくなると、釣竿を車に積んで海にゆく精子君…。
はじめての愛車…四年払いの小さな車…精子君のおやすみには、かかせない愛車でございます。
精子君の夏…夏祭りとかは行かない…浮世離れに地味なタイプなので…
お盆に実家に帰っても…親父や兄貴たちと釣りにいくか…ウチでテレビをみてるだけの夏…。
お盆休みの入りに夕食の後…精子君は親父に聞かされた話…
『精子、お盆の間海に出て漁をしちゃなんねえ…お盆の海には、マダムが出るだぁ』
『はぃ?…舟幽霊じゃなくて…マダム?』
『そうだお。お盆に海に出るとマダムに…』
精子君は、スイカを食べながらも…蚊取り線香の煙にちょっとむせてしまった。
精子君のウチは、海辺の小さな集落…
お盆の迎え火も海に皆にゆく…
つづく
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