車の中からは、彼女のせつない声が時折きこえる。男は、どうだ。彼氏とは別れて、俺と付き合わないか?俺のデカイこれで、気持ちよくしてやるぜ。どうだ気持ちいいんだろ。彼氏は嫌です。絶対嫌です。会話も途切れて、車が激しくキシミだした。明らかに彼女は感じている。切ない声も段々と大きくなる。やがて、あっあっ。ダメ。いくーいくー。彼女の声が途切れた。車は二度三度大きな揺れのあと、静かになった。かすかだか、彼女の荒い息がきこえた。その後、男が降りて、おれの耳元で、彼女さん逝ったぜ。と言い、仲間と急ぎで去って行った。俺は後ろ手に括られたまま、彼女の所に行き、紐をといて貰い、彼女を抱き寄せた。彼女は涙を流していた。
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