高校時代友達に父を紹介しても父親と聞いて驚く場合が多く、決まって親戚の誰かだと思われるパターンだった。
確かに父は高身長で筋肉質で贅肉というものが付いていない。
家に居る時でもきちんと服を着ていて、なにより若々しかった。
次第にそれが嬉しくなって、父が居る時を狙って友達を呼んだりしていた。
そんなことを思い出しながら大学の授業を受けていました。
地方都市の田舎なので一人に車一台大学も車で通えます。
友達とのお茶も早めに切り上げ家に帰ると、父の車がある。
平日は午後9時辺りまでは帰ってこれない事が多いのに…。
テラスでトレーニングでもしてるのかもと思い、庭の方に回ってみた。
居たのは母だった。
今晩父と食べようと思ってたローストビーフを食べながら何やら読んでいる。
昔から母は肉を食べてる印象しかない…。
「……」
「あらお帰り。」
「…父さんは?」
「居ないわよ車借りたの。あの人の車の方が近いんだもの。」
そう言えば、父と母は職場が近い。
「今日は何?」
「書類を取りに来たのよ。」
「…」
確かに母の実家やうちの税金や権利関係とかは全部母が見てる。
「久しぶりなのに愛想悪いわね。ここも土地は私の名義なんだから来てもいいでしょ?
土地と家は別なのが日本なんだから仕方ないじゃない。」
「…使ってなかった家リフォームしてどう?」
「なあにぃ?帰れっていうの?たまにはあんたの顔見ようと思ったのに~!」
「…◯希は元気?」
「ええ、期末試験も終わって、今日も部活よ。」
「そう…」
「…部活でクタクタなのに、毎晩私の中に注ぎ込むのよ男子高校生ってすご…」
「やめてよ!!」
「あらら、じゃあねそろそろ帰るわ。あなたも頑張ってね~!」
「…」
飄々とした母は昔から苦手だった。
だから最初父に犯された時も、母が弟と関係を結びたいが為に父をけしかけたのだと思った。
実態は父と母は互いに全く干渉しない対等の関係だと分かったのだがそう信じたかった。
丁度父と母はガレージで鉢合わせして車を交換して母は帰っていった。
「ただいま。キーは無いわ車は無いわで慌てたよ。代わりに◯◯子の車のキーが置いてあったから分かったけど…」
父を見て私は感極まって泣き出してしまった。
「ああ母さんに何か言われたのか…仕方ないやつだなぁ」
父は決して母の悪口は言わない。
「さあ夕飯にしよう」
私の頭を撫でながら父は言う。普段の父は本当に優しい。
あんなことをされてもやはり自慢の父なんです。
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