私の股間に苦悩を察してかS先生は続けた。
「あの書類で君を脅せるのもあと少しの間や。年度末になったら、全ての決済は終わる。その後、過去のことでと学部長が理事会に申告したら古い物まで調査が入るからな。そうなったら一番ヤバイのは学部長や。4月までうまくかわす。その間に可能ならええネタを掴めたらラッキーやけどな。結構、ガード固いからな…何か考えやんとアカンな」
自宅の近くまで、送ってもらい、車を降りた。奥さまが「ありがとう、良かったわ。おやすみなさい」と言った。
S先生も「ありがとう、またな」とおっしゃった。私は丁重にお礼を言って自宅に向かって歩いた。
外はまだ寒く、一瞬で体が固くなった。
帰宅すると妻はまだ起きていた。
妻「おかえりなさい、遅かったなぁ、誰と?」
私「卒業生、2年前に出た子達。風呂入るわ。寒い~」と言いながら風呂場に向かった。本当は早く奥さまの匂いを消したかった。匂いが着いていたかどうかは正直分からないが、妻に悟られたくなかった。
湯に浸かりながら、妻をうらぎってしまったことで自己嫌悪に陥った。それとは別に、あんなことが自分に出来たことにも嫌気がした。
風呂から上がると妻は「大丈夫かな!?大学の方は…」と聞いた。
私は「明日、学部長に恥をかかせたことだけは謝罪してくる」と伝えた。
妻は同席しようかと言ったが、まずは様子を見てくると伝えた。
ベッドに入ったが眠れなかった。
このまま、S先生を信じて良いかどうか
今の状況も学部長の書いたシナリオなら…
しかし、打つ手だてはない…
堂々巡り…
私は眠れぬ夜を過ごした。
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