翌朝、シャワーを浴びてきあいを入れて家を出た。妻は出掛けに「無茶はしないで…」と一言付け加えた。
研究室に鞄を置き、話の順序を考えた。
何から話せば良いか…迷いながらも時間だけが過ぎた。
兎に角、私に掛かっている疑いをはっきりさせよう。今まで金には綺麗に生きてきた。祖父の遺言だった。
仕事ができないとか研究成果が無い等と言われるのなら未だしも、金のことは許し難い。
ましてや それをネタに妻を。
S先生の部谷をノックし、中に入った。
私「おはようございます。少しよろしいですしょうか!?」
S先生「おはよう。どうしたん!?朝から。えらい恐い顔しとるで。」
私「昨日のことも含め、私の名誉の話です。お時間をください。」
S先生「わかった。今夜、からだ、空けときよ。五時にここへ来てよ。」
私「承知致しました。」
私は部屋を後にした。
夕方予定の時間より5分早くS先生の部屋を訪ねた。
S先生「よし、いこうや」
私は黙って後ろを歩いた。
S先生は自分の車を乗り込み、私を促した。
私「どちらへ!?」
S先生「まあ、ええやん。恐いとこ、ちゃう。それより、どこまで聞いた!?」
私「私の使い込み疑惑の件を」
私は喉から絞り出すように言った。
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