一時間目の講義が終わり、妻にメールをした。
先ほど、ホテルに到着したらしい。
女性スタッフが対応してくれているという。
私は妻を疑って、学部長の車を探した。
学内の定位置に停まっていた。
加藤に電話した。加藤によると今日は3時で学内にいるらしい。
S先生は二時間目に講義があるはずだ。
ホッとした。
帰宅すると妻はいつもと変わらぬ様子で台所に立っていた。
夕食を取りながら、どんなドレスにしたかを尋ねた。スタッフの方のお奨めにしたらしい。黒のロングドレスらしい。ドレスは当日、ホテルで着用するらしい。その方が返却も楽だと言っていた。靴も全てレンタルらしい。私は 安堵した。
いよいよパーティー当日、手早く昼食を済ませ、妻はスーツで出掛けて行った。
私は どうしても妻の姿を確認したかったが、なす術もなく悶々と待つしかない。
息子と二人で、キャッチボールをしたりゲームをしたり、何とか気を紛らわしたかった。
19時頃、妻が帰ってきた。
私は「お帰り。お疲れさん」
妻「ただいま、シャワーにするわ」
私「ご飯は!?」
妻「あとで食べるわ」
妻の様子がおかしい。
私たちが夕食を終える頃、シャワーを浴びた妻は黙って寝室に入った。
息子が追いかけて、明日友達と遊ぶ約束をしたことを嬉しそうに妻に報告するのが聞こえた。
服をクローゼットに直し終えた妻はリビングに入ってきた。
私「なんか飲むか!?」
妻「ビールちょうだい」
私は冷蔵庫からチーズとビールを取り出し、妻に渡した。
疲れた様子だった。
私「何かあったか!?」
妻は子どもに宿題をするように促し、子ども部屋に入れた。
そして、戻ってきて「あとで話すわ、ちょっとだけ待って…」そう言うとビールを飲んだ。
私は了解し、自分もビールを飲んだ。
妻はテレビを見ながら黙ってビールを飲んでいた。テレビは眺めているだけに見えた。
私は風呂に入った。妻の口からどんな話が出てくるか、ドキドキしていた。
風呂から上がり、リビングに行くと妻はワインを飲んでいた。
もうすぐ9時になる。
子どもを呼び、歯磨きをさせて寝るように言った。
「ママ、おやすみなさい」
息子の言葉に笑顔で返していたが、ヤッバリおかしい。
しばらくして、妻がグラスのワインを一気に飲んで「アァ~もう全部言うわ」と言って、私に向き合った。
ついにきたか…私の緊張は一気に高まった。
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