ファイル12
シーンが替わり、車両前方の通路に立つ妻の全身が映し出された。
レースクィーンだ。
車内が歓喜に包まれる。
しかも一昨年 宴会で着てた様なパーティーグッズではない、へそ上丈の襟
の付いた白いノースリブと白と青のチェックのミニスカート、スポンサー名
も入っている。
恐らく高価なレプリカ衣装だと思われる。
安くはない筈のこの衣装を 柴田が自腹で買う訳はない、社員旅行の積立金
の一部で購入しているのか、社内でカンパでも募るのか、いずれにせよ反対
す者はいない筈。
妻としても着ない分けには、いかないのかもしれない。
妻はメモを見ながらマイクで諸連絡や日程などの告知をして席に着いた、
カメラも席に戻る、
画面が切り替わり、アップで柴田のおばちゃんが映る、小声で「これ宴会の
時景品にしな」と紙袋の中を見せる。
一瞬だがパンストとブラが入っていた様だ。
カメラがチラリ妻を映す、
窓の外を見ていて柴田の悪行には気付いてなかった。
シーンが替わり 一ヶ所目の見学地にバスが止まる。
カメラの前を 皆がぞろぞろと下車して行く。
最後まで残った妻と柴田をカメラが捉える。
「私 待ってますから、行ってきてください」と 妻が嫌がるのも無理はな
い、
ハーフコートを羽織ると 脚だけが露出し、異様に卑猥に見える。
更にシーンが替わり、酒蔵?みたいな所の敷地内、抵抗空しく妻の姿が在
る。
妻の周りの同僚が「記念写真撮らせてよ」と 集まっている。
妻は数組とスナップを撮っていたが、次第にう「上着脱いで欲しい」と言わ
れ
渋々人気のない方へ 移動して行く。
木陰に移動し 妻を中心に6人の男性社員が取り囲んで記念撮影、1~2枚撮っ
た時事件が起こった。
妻の背後に居た男性が、ミニスカートを一気に引き下ろした。
艶のあるパンスト超しに見事な、白いハイレグ(いつもの透けパンぎみのレ
ースのヤツ)が露になる。
ウエストのくびれた所にちょうどパンストのゴムがきていて 足が長く見え
る。
性悪女の柴田が親切にアンダースコートなど用意する訳もなく、自前のパン
ツを晒し者にされている。
三十台半ばの女が公然とセクハラ・・いや調教に近い事を 公衆の面前で行
っている。
「エロい」我妻でなくてもこんなエロスは他にはない。
スカートを抜き取られ、妻は急いで上着を羽織る、「ほんと、外は止めて
よ!」
「他の旅行者がいるだろ!」と妻は怒り散す。
居合わせたメンバーがパラパラ解散しながら、一人が「旅の恥はかき捨て、
って言うじゃん」と吐き捨てて行った
。この2日間「旅の恥はかき捨て」この言葉が皆のキャッチフレーズになる。
「ちょっと、スカート何処!」
置き去りにされた妻が映った、元々上着を羽織るとスカートは見えなかった
ので違和感はなかった・・・・
シーンは再び走る車内、妻のアップが映る、「池上、スカート何処」真顔で
妻が
詰め寄る。
「誰か判んないけど、後ろのバスの連中ですよ」とカメラマンが返す。
妻は「え~!マジ~?」と落胆の様子。
「え、由美ちゃんスカート取られたの?」クスクスと柴田が会話に 加わっ
てきた。
「でも上着着てりゃ、バレないって」とご満悦の様子だ。
後ろの方から「ビ~ル~、ビールくれ~」と声が聞こえる。
柴田が「由美ちゃんよろしく」と言うので妻が前の冷蔵庫から数本缶ビール
を抱えて、柴田の前に差し掛かると、
柴田は急に真顔になり「あんた、上着ぐらい脱ぎなさいよ」と
強烈な命令、(この女悪魔だ!)旅はまだだ始まったばかりなのに・・・・
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