記憶を頼りに道を歩く。
男の腕を支えながら歩いた道を。
見覚えのある看板。
見覚えのある建物。
『あ…あそこを曲がれば…』
男の家に向かう最後の曲がり角。
『あった…あれだ』
たぶん、あれがそう。
もう少し近くまで…
男の家に向かおうとした。
動かない…
足が重い。
上手く前に踏み出せない。
膝が笑う。
『なんだこれ?』
恐怖心が込み上げてきたという感じではない。
感情は至って冷静だ。
心拍数が上がってる感じもない。
ただ足が進まない。
『なんだこれ?』
フラッシュバックに襲われた訳でもない。
ただ、無理に進もうとすると転びそうになった。
こんなことあるのかな?
私は進む事を諦め、来た道に向き直し、歩を進めた。
膝の震えはピタッと止まり、すんなり足が出る。
『なんだかんだビビってんのかな?』
情けなくなった。
家路を急ぐ。
家に着くなりシャワーを浴びる。
あの日のように。
シャワーの湯を顔面に浴びながら考える。
『私はどうしたいんだろう』
『これからどうすべきなんだろう』
答えなど出る訳もなく…
一通り洗い終えて風呂場を出て、濡れた髪のままベッドへ入る。
スマホを開く。
私のスレ…たくさんの書き込み。
『爆弾が投下されてる』思わず苦笑。
『何この追加レス…』軽く苛立つ。
煽る名無し『でもいい事も言ってるな』と。
『160の子、一生懸命怒ってるな』可愛くさえ見えた。
『吉沢くんは相変わらず、のほほんとしたレスを…』と、あの時の笑顔を思い出した。
『28♀さん、こんなに真剣に書いてくれて…』と切なくなり。
『名無しが面白いこと言ってるな』と飽きれ。
新たなレスに対して『また28♀さんがレスしてくれてる…』と心震える。
ヤスヒロさんは場を和ませようとしているのか『くだらないことを…』クスッと笑った。
また28♀さんのレスが新たに書き込みされてる…『本当にこの人は…』目が潤む。
『さて、返レスするか』
そう思って文字を入力し始めたのも束の間、スマホを握ったまま知らぬ間に、眠り落ちていたようだ。
…そんな訳で、昨夜はレスを返せなかった訳です(苦笑)
『情けない』とは思ったけど、特に感情の変化はなく…今日も昨日と変わらぬ1日を過ごしました。
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