当時、私は25歳。
どこにでも居るような普通の主婦でした。
ある日、旦那が一人の男性を自宅に連れて来たんです。
彼の名はMとしておきましょう。
Mさんは旦那の店に出入りする東京の業者(社長さん)でいかにも都会人って感じの男性でした。
私は28年間、地元を離れた事がなかったので、彼のような洗練された雰囲気のある男性が自宅にいる事にすごい違和感を感じたのを今でもはっきり覚えてます。
彼はすごい誉め上手で女性が喜びそうな事をさらっと自然体で言える素敵な男性でした。
旦那からの信頼も厚く、「Mさんはすごい信頼出来る人。彼に任せておけば大丈夫!」というような事を口にしていました。
夜も深まり、お酒も程よく入った頃、ふとMさんのプライベートに興味を持った私はなにげなく奥さんについて聞いてみたんです。
「えっと・・・実は私、バツイチなんです、」
私が変な事を聞いてしまったが為に重苦しい空気が一瞬漂いましたが、さすがはMさん。
さらっと明るく話をしてくれ、すぐもとの空気に戻りました。
以降、Mさんは旦那の店に来るタイミングでうちにも顔を出すようになったんです。
気になる存在だったMさんがどんどん私の心に入り込んできます。
ある日、三人で夕食に向かおうとした時、バイト君から連絡があり急遽旦那は店に行かなくてはならなくなったのです。
「Mさん。急用が出来ました。また今度食事しましょう!」
「仕事じゃ仕方ないですね、私は適当にこの辺で夕飯食べて東京に帰るとします」
「あら、この辺で食事されて行くなら、うちのと食べていったらどうですか?お前もおなか空いてるだろ?」
空いてなかったけど、とりあえず「空いてる」と答えた結果、Mさんと二人で夕食を食べることに。
変な噂がたつと困るからと、ちょっと離れた隠れ家的なお店に連れて来てくれたMさん。
地元でもなんでもないのに良くチェックされていて、気配りもすごい。
テンションがあがってしまった私は、普段旦那が居る前では話せないような話や余計な話までしてしまい艶っぽい雰囲気に。
これをMさんは私が誘ってると感じたのか彼のほうからお誘いをしてくれました。
これは調子に乗りすぎたと反省したふりをして、本音とは裏腹に
「あ、すいません誤解させてしまって。私旦那居るし、そういうのはちょっと・・・」
と建前を並べてみましたが、Mさんはスマートに私の建前を崩していきます。
しかし、あと一歩というところで
「これ以上、困らせてはいけませんね。またの機会があったらということでこの話は終わりにしましょう」
Mさんはアッサリ撤退。
理性が吹っ飛びかけたタイミングでお預けを食らった私はモヤモヤした気持ちを抱えたまま帰宅しました。
数日後。
理性を完全に取り戻した私は、旦那の顔を見るたびに
(ほんと勢いで抱かれなくて良かった・・・危うく家庭崩壊するところだった・・・)
安堵。
しかし、またもやMさんへの誘惑に駆られることになります。
「Mさんお前の事すごい気に入ってるみたいだよなー」
旦那から言われたこのなにげない一言にドキッとしてしまう私。
「え・・・?なんでそう思うの?」
私は出来るだけ冷静を装いながら旦那に問い返します。
「仕事中もこないだお前の事可愛いとか素敵な女性だとか言ってたし」
「ふーん・・・それから?」
「ああ、今度二人っきりでデートもしてみたいって言ってたな。離婚してから、そういう気分になれなかったし心のリハビリに丁度良いとか」
「なんか私、都合よく使われるみたいね」
「あはは、お前は人妻なんだしそのくらいの方が。本気になっても困るしね」
なんて会話をした数日後、旦那と三人でいる時にこの話題になったんです。
「そいえば、旦那さん。こないだの話どうでした?奥さんの了承得られました?」
「ん・・・?なんだっけ?あ、デートの話?あれ本気だったんですか?」
「ええ。もしお二人が良ければ・・・なんて淡い期待を抱いて待ってたりします」
私に意見を求める旦那。
「うーん・・・心のリハビリって事だったら別に私は構わないよ」
私がキッパリ断らないのが気に食わないのかちょっと不機嫌になりながらも基本Mさんを信頼している為、しぶしぶながらも了承する旦那。
結果、Mさんに連れられ東京へ遊びに行く事に。
久しぶりの東京でMさんと二人きり。
またしてもこの変な状況にテンションがあがってしまった私は調子に乗ってあれこれMさんにしてしまいました。
この日も先日の夕食同様、建前を並べる私を徐々に崩していく。
そして、いよいよってところでまたしても引くMさん。
「ではそろそろ帰りましょうか。遅くなっても旦那さん心配するでしょうから」
もやもやした気持ちを抑えつつ、私も車に乗り込みます。
前回と違うのはモヤモヤした気持ちを抱えたまま、Mさんと車の中、二人でいる事です。
地元が近づくにつれ高まる気持ち、もう理性を抑えるのも限界。
そんな私を察してかMさんがこれでもかってタイミングで誘ってきました。
この人はなんでもお見通し。
私は何も言わず無言で頷きました。
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