昔ながらの銭湯を好む私は、小さな会社を経営していた一昨年の初夏にも出張先で地元の銭湯を訪ねてみました。
どこでも銭湯を利用できるよう、旅行鞄の中には携帯用の洗顔と乳液、ボディーソープ、リンス・イン・シャンプー、ハンドタオル、バスタオルを入れてあります。
目指す銭湯は、商店街から住宅街に入った一角にありました。
入り口の扉を開けると、番台の女の人が愛想良く迎えてくれました。
銭湯なのに、乾式と湿式の2種類のサウナが完備しています。
お湯はぬるめで、熱めの好きな私にはモノ足りませんでしたが、水風呂は冷たくて気持ちが良く、サウナとの間を往復しながら結構長湯してしまいました。
入浴を終えて洗い場から出ると、「あらやだ、いつの間にか番台が男の人に交代してる!」ではありませんか。
脱衣場に目隠しや大きな衝立はありません。
女にとってはこの辺りが、スーパー銭湯では味わえない、ちょっとしたスリルですよね。
でも、番台の男の人は女湯の方を見ないようにしてくれていました。
覚悟はしていても、女性客に対する礼儀正しさと細やかな配慮は嬉しかったですね。
というのも、初めて利用する銭湯では洗い場から出たときに、向かいの番台に座っている男の人と目が合って、前も隠していない裸をジロッと見られることが多いからです…
毎日のように番台から女の裸を見ていても、「初物」だと食指が動くというわけではないようです。
だって、行きつけの二軒の銭湯でも、番台のお爺さんはよく私の方をジッと見ていますから…
たとえ番台に男の人が座っていても、私はタオルで前を隠したりはしません。
女も銭湯では素っ裸が当たり前で、前を隠すような真似は相手を異性として意識しているみたいでイヤなんです。
そもそも銭湯経営者が、番台から女性客のあられもない姿に露骨な視線を送るなんて、職業倫理の欠如した職権濫用行為ではないでしょうか?