ライブコンサートに行くため彼女と朝一で出発した。でもバスの遅延が原因で通勤ラッシュに巻き込まれてしまった。電車の混雑率は200%くらいで身動きができず手も動かせない状態だった。彼女はスカートを履いていたので心配していた。
電車が大きく揺れた瞬間斜め前に立っていた大柄な男が突然彼女との間に割り込んできた。後ろに押し出されてその拍子にかかとで足を踏まれた。男の幅広い背中で彼女の姿が見えなくなったが男の肘が不自然に動いているように見えた。不安になり彼女に小声で大丈夫?と尋ねるとうんと返事が返ってきたので少し安心した。
下車直前に男の横に隙間ができたのでそこへ体を押し込んだ。すると彼女と男が向かい合わせに圧迫されているのが見えて男の腕先が彼女のスカートの中に入っているように見えた。周りのオヤジ達はその光景を食い入るように見ていた。怒りが爆発して男の腕を掴んでお前何しとるんじゃ!!と叫んだ。男は腕を引っ込みながら何もしてねーだろうが!!と叫び返してきた。彼女のスカートは前側がぐちゃぐちゃに乱れていた。電車の扉が開き男を取り押さえようとしたが強い力で振り払い逃げられた。
その後駅員に相談して警察を呼んだが話を聞くだけで協力してくれる気配はなかった。彼女は事情聴取で下着の中に手を入れられたと話していたがなんで声を上げないのかと問い詰めてしまった。彼女は次第に不機嫌になり車内で大声を上げたことに対して不満を持ち始めた。痴漢をされたのに平常心でいられる態度に疑いすら感じた。彼女がドMであることは夜の営みですぐに知ったしかなり前に痴漢で感じている人もいるらしいと言っていたことも思い出した。彼女は毎朝電車に乗っているしすごく心配になった。
ライブコンサートは全く楽しめなかったし今でもあの男が憎いし逃げられたことが悔しい。