ストーカーの話しを聞きたいというリクエストがあったので、かなりヤバかったストーカーの話しを書く。
私は過去に、かなりヤバい事になったストーカー被害に遭ったことがある。
一度は中2。
もう一度は高2。
中2の時、高校生の男子に付き纏われた。
登下校の際に使ってた駅で会う男子だったけど、私は女子校、男子とは全く無縁だった。
しかも高校生の男子とか全く知らない。
髪を前に垂らした、暗い、いかにもネトゲーオタクみたいな風貌だった。
まあ、付き纏われただけで、大した被害は無かったのだが、怖い思いはした。
よく見かけるなーって思っていたら、私の行く先々に、その男子が居て、友達が「ストーカーじゃん。」って冗談で言ってたら、冗談じゃなくて、私の家の前にずっと立っていた。
真夏の炎天下の中、ユラユラと立っている姿は尋常では無かった。
私の部屋の窓から下の道が見えるのだが、深夜1時頃、街灯の下に立っていたのを見た時は、ゾゾォっとした。
幽霊とかより怖かった。
近所の誰かが、警察に通報したのか、職務質問を受けて以来、付き纏われる事はなくなった。
高2の時のストーカーはマジでヤバかった。
とある日曜日、私と母が家にいた。
ドアチャイムがなったので、私が出ると、見知らぬ男性が立っている。
歳の頃は二十歳くらい。
全く知らない男性だった。
が、男性はビックリする内容を私に言った。
「美羽さん、結婚を前提に付き合って下さい、母も了承してます、お父さんは何時お帰りですか?挨拶をしないと、結婚したら専業主婦で.....うんぬん。」
私は、突然の事に、頭の上に?をたくさん浮かべて、ポカーンとしていた。
男性はジリジリと玄関の中にまでにじり寄って来た。
「はぁ?あの、どちら様ですか?」
と訊くと、男性は、
「やだなぁ、僕たち結婚するんですよ。」
と、私に向かって来る。
「あの、どちら様ですか?」
と、今度は強めに言った。
男性は答えず立っている。
「あの、私、あなたを知らないんですけど、どなたかと、お間違えではありませんか?」
と、言ったら、男性は、無表情のまま、スゥとナイフを出した。
えっ?と思った。
人間、本当にヤバい時は固まる。
声も出ず、身体も動けない。
ただギラギラとした男性の眼と、無表情な顔、ナイフだけが視線の先にある。
えっ?えっ?ナニ?ナイフ?って、ナニこの人?
頭の中でいっぺんにたくさんの事がぐるぐると回った。
突然、
「ギャーッ!!」
という、母の悲鳴で我に返った。
母は慌てて警察に通報する。
「ナイフを持った男が家にッッッ!!」
と、喚いていた。
男性はジリジリと私に向かって来る。
私は初めて奥のリビングに向かって走った。
う"ーッッッ!!う"ーッッッ!!
サイレンがけたたましく鳴り響き、パトカーが三台も来た。
ぞろぞろと警察官が家に入って来たかと思うと、さっさと男性を連行していった。
ビックリするくらい、パトカーが早く来た。
助かった....。
母は台所でガタガタと震えていたが、私は、えっ?えっ?と考えている間に事が終わり、ナニが起こったのか理解するのに、暫し時間が要った。
困ったのは、警察での事情聴取だった。
「犯人とはどういうお知り合いで?」
「.....全く知らない人です。」
「そんなワケ無いでしょう?」
「.....あ、いえ、全く知りません。」
「犯人はあなたを婚約者だと言ってますが?」
「.....、誰なんですか?あの人?」
警察と全く会話が噛み合わない。
というか、誰なのかもわからない。
話しが噛み合わないまま、夕方になって父が迎えに来た。
警察署を出るまで、えっ?はっ?の連続だった。
男性の正体は後に知る事となる。
警察の話しでは、
私は男性の婚約者で、男性の母親も了承している仲だそう。
もちろん母親という人も知らない。
結婚の挨拶に来た。
なのに私が知らない人扱い(イヤ本当に知らん)して、ムッとしてナイフを出した。
将来を約束した仲なのに...。
うわーッッッ!!
ちょー怖いんですけどッッッ!!
マジ怖いんですけどーッッッ!!
私がブルっと震えたのを見た婦人警官が、
「もしかして、本当に知らない人?」
と訊いて来た。
「....ハイ。」
と、たぶん青い顔をしていたであろう私が答えたので、男性警官に耳打ちしていた。
結局、男性は銃刀法不法所持と不法侵入で逮捕された。
殺人未遂でも良かったんじゃない?と突っ込まずにはいられなかった。
後日、その母親という人が家に謝りに来たらしいが、私は学校に行ってて母から聴いた。
裁判とかなんかゴタゴタとしていたが、父が全てしていた。
もちろん、男性には私への、接触禁止令が出された。
それ以来、男性の姿を見てない。
それから何ヵ月かして、高校の二つ上の先輩が私を尋ねて来た。
開口一番、先輩は私に謝った。
「ごめんなさい、あの男、私の大学の人なの。」
「.....?はっ?それでなんで私なんですか?」
「いつか、街で偶然会った事があったでしょう?あの時に私といたウジャウジャいた知り合いの中に彼が居たのよ、で、美羽ちゃんの事、誰?って訊いて来たから、高校の後輩って答えたら....、なんか、こんな事になって。」
「そんな、先輩は全然悪く無いじゃないですか。」
「でも、私、美羽ちゃんの名前、教えちゃったから。」
「はぁ、でも、先輩のせいではないですよ。」
....とまあ、男性の正体は解った。
しかし、人間、何処で、誰に、何て思われるかわからない。
ただ、あの時、母が居てくれて良かったと思う。
私ひとりだったら、たぶん、今頃は.....。