「あなた、もう逃げるのは嫌。」そう言って主人を納得させました。
私39歳、主人40歳、子供は居ません。
7年前、父の事業の跡を継いだ主人が工場を潰してしまいました。
債権者が押し寄せ私と主人は逃げるように地元を後にしました。
工場の設備はすべて持って行かれ土地や家も持って行かれました。
仲の良かった取引先の中には、「あなたのお父さんにはとても儲けさせてもらった。だから私は催促しないよ。
いつでもいいから、、」と言ってくれる人もいました。
しかし、最後に借りた闇金業者の取り立てはそれは厳しいものでした。
1年間に3度引っ越し、そのたびに見つかってしまい元金はもとより利子や逃げて探し出した分の費用まで請求されてしまいました。
見つかったときにはすべてのお金を持って行かれもうバスに乗って逃げるお金もありませんでした。
主人はそれでも、「里子、逃げるぞ。支度しろ。」と言っていましたが私はもう逃げる気力もなくしていました。
「あなた、ここでがんばろ、もう逃げるのはいや、私なんでもするからここで暮らそう。」そう言って主人を納得させました。
しかし多額の借金はすぐに返せるものではありませんでした。
まだ数日しか勤めていなかったコンビニのオーナーにすべてを話して期限切れのお弁当を貰い家で食べていました。
オーナーにパートの前借をして持って帰ると翌日取り立て屋が来て小銭まで持って行かれました。
「奥さん、コンビニなんてチマチマしたことを言わないで、私が紹介するところで働いたら3、4年で返せるよ。この美貌なら、、」
男はそう言って私の胸を揉んでくるのでした。
しかし、私はとっさにその男の頬を叩いていました。
「あんたがたの言う事は聞かないわ。絶対に返すから帰って、、」そう言うと男たちはしぶしぶ帰っていきました。
しかしそうはいったものの帰す当てはありませんでした。
やはり風俗しかないのかしら、、そう思った時でも主人は、「あんなに言い切って、どうするんだ。」と頭を抱えて蹲っていました。