当時の私はまだ小学生でした。
学校へは電車通学で、高学年になるまでは母親と一緒でした。
私は座らせられて母が前に立っているのが毎日のことでした。
母の異変には中学年くらいから気づいていて、毎日のように母が痴漢されているのを見ながら電車に乗っているのが日課でした。
五年生の夏休み明けて間もなく1人で通学するようになりました。
その日の前の日のことが、きっかけだったって幼かった私にも判りました。
あの日の母はそれまでとは違って、いつもはホームに一緒に降りてくれていたのに、その日はそのまま電車に乗っていて、閉まったドアの窓から私を見つめながら行ってしまいました。
母はその日も痴漢されていたことはわかっていました。
でも、その母がお漏らししていたのを床を見て気がつきました。
えって思って、母の顔を見あげようとしたら、スカートがめくれ上がっていて、見たこともない透け透けで前も半分くらいしか覆ってない真っ白なレース編みの小さな布に細い紐がついているだけの、やらしい下着が目に飛び込んできました。
母の周りには男の人達がいて、いやらしい下着の奥深くまで代わる代わる手が出入りしてました。
慌てた私は、見て見ないふりをしながらも、横を見るふりをして母の顔を見て、目を閉じて口が開いたり閉じたりしていたのを見てしまいました。
あの時は、見てはいけないものを見てしまった気がして、意識して下を向いたり目線を動かしていたのを覚えています。
私の横に座っていたおじさん達はニヤニヤして母のことを見続けていました。
次の駅を知らせるアナウンスが流れて、母の周りの男の人達がザワザワと動きだして、母から手を離していきました。
1人や2人ではなかったことが判りましたし、後ろに回していた母の手には後ろに立っていた男の人のおっきくなってたオチンチンを強く握りしめていたのが見えてしまいました。
母の横にいた男の人は、母の耳に口をつけていて目を閉じていた母が何度も頷いていました。
帽子の中で寝たふりをしていた私を、起こすように声を掛けてきた母は震えていました。
1人で行くように促されて、ホームに降りてから振り返った時には、ドアが閉まって母の周りにはまた男の人達がいて、母の顔はあにか呆然としながら、私を見つめていたのです。
あの日の光景は忘れられなくて、私は歳を重ねながら自身の体験を含めてあの時の母のことを今までに数えきれないほど回想してしまっています。