ついさっきの事
(このままシャワー浴びちゃうわね~ッ)
「ん~ッ」
日課のウォーキングから帰った妻が玄関を入ると
そのまま脱衣室へと入ったようでした
僕はリビングの続き間の和室に寝転がって
TVを見ながらボ~ッとしていました
シャワーの音が止み、それから数分後
突然、脱衣室から叫ぶ妻の様子に
慌ててリビングから廊下へと行こうとすると
引き戸のスリガラス越しに
誰かが玄関から出て行くのが見えました
以下は妻の話を要約しました
少し蒸し暑い日ですが風も有り
気持ち好いのでウォーキングに出掛けました
数分歩けば農村地区で田畑や雑木林で
気持ち好く一時間ほど歩いて帰宅して
そのまま浴室へ入りシャワーで汗を流しました
スッきりとして脱衣所でミルクローションを
全身に塗っていて、ふと洗面台の壁鏡を見て
私は凍り付き身動きが出来なくなりました
廊下の方から、ドアから半分だけ
覗いている男の顔が見えたのです
私は大丈夫、そんな時には大声が出せる
そんな気持ちが有りましたが
現実には声も出せずジッと身動きも出来ず
バスタオルを取り裸身を隠す事も出来ず立ち竦んでいると
ジャージズボンから逸物を引っ張り出して
自身で握りながらニタニタとして
男は脱衣所に入ってきました
い、嫌だ、犯される
そう思っても声が出ずにいると
愛猫が何時ものように浴室に入りたいと足元に寄ってきて
ハッと正気に戻り頭の中が動き始め
(お、お父さんッ、お父さん助けてッ)
何とか叫ぶと男は焦った様子で小走りに出て行きました
「何だ?、どうした?、誰が出て行った?」
玄関が閉まる音と夫がリビングの方からドアを開けて
入ってくるのが同時で、私はその場にヘタリ込んでいました
「何?、どしたの?」
(はあ~ッ、もう~ッ)
「何よ?」
事の顛末を話すと夫は直ぐに外へ出て見た様子ですが
勿論、もう男の姿なんて無いし誰だったのか分かりません
多分、肩掛けのバッグを提げていましたから
新聞の勧誘員か何かです
お隣に訊きに行ったらその頃に来たと言っていました
何にしても覗かれただけで済んだので書きました
勿論、直ぐに小売店に抗議の電話をしましたが
何せこの辺りのは性質が悪くて
その辺りを回っていた者に訊いたが
そんな事はしていないと言っていると逆切れする始末でした
鍵を掛け忘れた妻も妻ですけどね
開いてたからと黙って入ってくるのもね
困ったもんです
何にしても妻の窮地を救った愛猫に
好物の甘エビをお皿一杯あげました