忘れられない体験

ある地方都市に住む内科医の妻です。
私達夫婦はボランティアやゴルフのコンペに参加するグループを作ってアクティブに活動
しています。
毎月、このグループの中で参加者を募り、二人でコンペに参加していますが、そのなかにN
さんという人がいます。
彼は私より１０歳年下、３３歳の外科医です。
主人は医師会の理事をしているのですが、彼はその下で医師会の仕事を手伝っているので
す。ゴルフの時には彼は何かと私の面倒を見てくれますが、主人との関係から私に気を遣
ってくれているのだろうと思っていました。

　昨年の秋、コンペに参加しようとしていた時、主人が用で参加できなくなりました。
私は車が運転できないので、欠席するしかないなあと思っていたのですが、Nが「自分が
送り迎えをするので是非参加してください」と言ってくれたので結局参加することにしま
した。
ゴルフ場でも宴席でもいつも彼は紳士的でスマートです。
ゴルフも終わり、約束どおりに彼は自宅まで送ってくれることになりました。
夫以外の車の助手席に乗ることはほとんどなかったので、妙な高ぶりを感じていたのは確
かです。
そのゴルフ場からの帰路にモーテルが集まっている場所があるのですが、そこまで来ると、
お互いに妙な空気を感じ、ちょっとの間の沈黙がありました。
とその時、彼が「この辺りのモーテルに入ったことありますか？」と尋ねて来ました。
私はそもそもそんなところに行ったことは一度もないので「あるわけないでしょ！」と強
く答えました。すると、
「それじゃ、一度入ってみましょうか？」と彼が急にハンドルを切り、モーテルの門をく
ぐってしまったのです。一番シックな感じのモーテルでした。
彼の奥さんとは医師会の婦人部で何時も一緒に活動をしている間柄です。
私は「こんなことしてはだめよ！」と言いましたが、その声に拒否の意思は入ってなかっ
たと思います。
それを察して、「以前から奥さんのことが好きでした。この日を待っていました」と言って、
彼は部屋に通じるパーキングに車を滑り込ませました。
私は、頭が真っ白になったまま、部屋に入っていく彼についていきました。
今思うと、少しは期待していたように思います。
二人とも、ゴルフ場で入浴を済ませていたので、部屋に入るや否や彼は私に抱きついてき
て、ベッドに押し倒しました。アッと短く叫びかけましたが、彼の激しいキスで声はかき
消されました。
彼は、主人とは違い、体格も立派でとても精力的です。彼が私の中に入ってきた時は、思
わず叫んでいました。主人のことも子供のことも忘れ、思いきり女に戻ったようでした。
彼は何度でも元気になり、私たちはお互いに数度果てるほど激しく燃えました。
思えば、私は見合いで夫と結婚しましたが、今までに夫以外の男性を受け入れたことはあ
りませんでした。
夫は私を愛してくれて浮気もしたことがないのに、私がこのような行為を働いてまことに
懺悔の気持ちで一杯です。
帰りの車の中で「今日だけの一回きりにしましょう！」と彼に言って別れました。
しかし、四十代も半ばになり、もう女性としての気持ちを捨てかかっていた時に、彼の若
い肉体を味わったことで一回きりで終わる自信も揺らいでいるのが正直なところです。
しかし、私たちは地方の医師界という狭い世界に住んでいるので、噂にでもなったら取り
返しのつかないことになります。
今のうちにやめておかないといけないんだろうなあと思っています。