小2の時母が亡くなったため、父と二人で暮らしていました。
小4になったある日、父とスーパー銭湯に行きました。
当時の父は仕事と家の事で毎日忙しかったため親子で出掛ける事は滅多になく、私もそれは分かっていたのでワガママを言いたくても我慢していました。
なのでスーパー銭湯とはいえ、ひさしぶりの父とのお出掛けに私は助手席でウキウキしていました。
着いたのは家から車で一時間ぐらいの所にあるスーパー銭湯でした。
もっと近くにもあるのに何でだろうと思い父に聞くと、「少しでも遠出した方がお出掛けらしくていいだろ?」と言われ私も何となく納得してなかにはいりました。
本来は4年生の私は女風呂に入らないといけないんですが、父に「空いてるみたいだし、一緒に男湯に入っちゃえ」と言われました。
少し恥ずかしかったですが、せっかくのお出掛けなのに父と離れるのは寂しいので私は「うん」とうなずいて男風呂に入ることにしました。
更衣室で服を脱ぎタオルで前を隠しながら風呂場に入ると、父の言ったとおり空いていて五人ぐらいしか人がいませんでした。
ホッとした私は洗い場に座り、父の背中を洗ってあげたり頭を洗ってもらったりしてから一緒に湯船につかりました。
お湯の中で父とくつろぎながら、私は学校の事などの話をいっぱいしました。
父はそんな私を優しい眼差しで見つめながら、頭を撫でたり膝の上に乗せて抱き締めたりしてくれました。
しばらくすると父が「トイレに行ってくる」と言って立ち上がりました。
「すぐ戻るから大人しくしてなさい」と言って父が風呂場を出ていくと、私は少し心細くなりながらも言いつけ通り大人しくお湯につかっていました。