20歳の大学生です。
週に3日程ですが、料亭でアルバイトをしています。
そこそこ金額の張るお店ですので
ほとんどが会社関係の方達の接待の場として利用されているのですが
そういう大企業とか御金持ちの人だからといって
決して紳士な方ばかりではありません。
御客様にとっては、お酒の席での冗談であったり
まだ学生で半人前な私をからかって愉しんでいるだけなのかも知れませんが
結構卑猥な言葉によるセクハラがあるんです。
つい昨夜も、担当した御座敷に牡蠣をお出しした際に
御客様から
『お嬢ちゃん、牡蠣は栄養満点だから“海のミルク”って言われてるの知ってる?』
私もあまり詳しくはないのですが、分かる範囲で応対していると
『お嬢ちゃんも随分立派に実ってるけど…もうミルクでるの?』
「いいえ、私はまだ結婚していませんので‥」
自分の顔が熱く紅潮してくるのが恥ずかしい程に判ります。
困る私を見兼ねて、誰かが止めてくれる訳でもなく、むしろ便乗して
『栄養満点な良いミルクが搾れそうだねえ』
下品な高笑いに、イヤラシイ視線に
身の置き場もありません。
『最近の若い娘は“小尻”なんて流行ってるけど…やっぱり女は、こんな風に お尻も大きい方が、こうして着物を着ても似合うんだから』
その人達だって普段は、おそらく自分の会社にいる女子社員達には
こんな事は冗談のつもりでも、決して言えない筈です。
『まあ、お嬢ちゃんも良いミルクを出す為には…先ずその前に、男の人にミルクを注いで貰わないとね!判る?』
プライベートだったら絶対に無視したい‥!
でも…お仕事だから‥
本当は上手な作り笑顔で、巧く躱したいけれど
恥ずかしさで顔が引きつって、とても笑顔なんか作れない。
それがとても悔しくて‥
(色んな癖のある御客様がいらっしゃるけど
それを楽しめて、逆にそれをあしらい操る事が出来れば
この道のプロにもなれるし
何処に行っても通用する―)
面接の時に、女将さんに言われましたけれど
私には、その素質は無い様です。
でも…
その場ではありませんが
こうして家に帰り、その日(あるいは過去)に
御客様から言われた様々な卑猥な言葉や
その時の目付きとかを思い出すと
誰にも言えない感覚が、身体の内に沸き上がってくるんです‥