売れない演歌歌手でドサ周りしていた頃の話で
す。ある日、地方企業の忘年会に呼ばれ歌を披露
する事になりました。しかし、そこはいわゆる企
業舎弟だったのです。
男性のマネージャーと共に宴会場に入ると、恐ろ
しい方々が大勢いました。既に皆相当酔っ払って
いるようでした。私はなんとか落ち着き払って歌
い始めました。そのうち何人かが近寄って来て歌
っている私にちょっかいを出してきました。腕や
脚や腰を触ったり…。そして一人が私の背後から
両手を回し、抱きしめるようにして私の胸を揉ん
できたのです。私は、きゃー、と声をあげてしま
いました。すると、ちゃんと歌え!、と徳利が飛
んできて、私の頬をかすめました。私は怖くてガ
クガク震えながら、歌いました。胸を揉まれなが
ら。さらに別の男が私の正面至近に座り、私のス
カートの中に手を入れてきました。マネージャー
が止めに入りましたが、違う男に殴られて倒れ込
みました。男はさらに私の脚の間に顔を突っ込
み、下着の上から私の秘所を舐めるのです。私は
もう自力で立つことが出来ず、後ろの男に持たれ
かかるような格好となりました。歌え!、悶え
ろ!、…、怒声が飛び交い、私は号泣しながらな
んとか声を出しましたが、とても歌にはなりませ
ん。胸に、首筋に、あそこに、恐怖と羞恥の複雑
な刺激を感じ、私は身悶えしました。そんな様子
を他の男がビデオに撮っています。情けなかった
です。マネージャーは呆然とそんな私を見ていし
た。
9曲セットのカラオケが終わると、私はようやく
開放されました。バタッと畳の上に倒れ、尚もひ
くついている私を見て、男達は大笑いしました。
おい姉ちゃん、えらい感度いいな、気に入った、
新年会にも来いや!そんな声を聞きながら、私は
泣きながら服を調え、マネージャーと抱き合うよ
うに、会場を後にしました。
今思えば強姦されなかったことだけでも幸いな状
況でした。その事件を機にマネージャーとは公私
とものパートナーとなりました。私を救えなかっ
たこと、私がイッてしまったこと、それぞれの弱
み、秘密を共有することで、なんだか変な連帯感
が生まれて…。あの会社には感謝すべきなのかも
知れません。