彼と温泉に泊まった時の事です。
宿のお部屋に通された後に
『夕食前に一風呂入ろうか!』
という事になり
時間を決めて、互いに男女別の内湯に入りました。
待ち合わせの時間に女湯から出ていくと
彼は既にイスに座って待っていてくれたのですが
見ず知らずの男性数人と話をしており
しかも、その人達と一緒に
彼の手にも、飲み慣れない筈の缶ビールが持たれていました。
そして、その男の人達の風貌は…おそらくヤ○ザだったのかも知れません。
大きな体と声に囲まれている彼の姿が、一際華奢に目立ち
不自然な構図は一見すると
まるで絡まれているかの様に見えなくもありません。
(無理矢理付き合わされていたのでしょうし)
「アッ君‥? お待たせ‥」
私が心配して声を掛けると
『あっ、優美‥!』
と気付き、少しフラ付く感じで立ち上がり
『じゃあ、僕はこれで…(ビール)ご馳走様でした』
と去ろうとしました。
その時、その男性達が彼に向かって
『なんだ?お前には勿体無いくらい良い女じゃねぇかよ!』
『今夜は何発ブチ込むつもりなんだよ?』
『結構おっぱいデカイじゃねぇか!お前には不釣り合いだろ?お前のアノ小さいのだと、全然イカせらんないだろ!』
響き渡る大声で、そんなコトを言い放ちました。
彼は、酔いで赤みが差した顔(頭)でペコペコしながら
『はぁ‥』とか『いえ…』とかしか言えなくて
私も、恥ずかしかったですし
何より(お酒に弱い彼を、早くお部屋で休ませないと‥!)
と思って、彼の手を引いて歩きました。
そんな私に対しても
『お姉ちゃん、そんな体してたら、彼氏のじゃ物足んないでしょ?』
『“もっと大きなマツタケ”しゃぶりたくなったら、後でオジサン達の部屋においで…太くて硬いので一晩中、朝までタップリと可愛がって上げるから!』
『彼氏に聞けば判るよ…オレ達みんな、お姉ちゃんの彼のモノより、ずっと大っきいから(笑)』
恥ずかしさで、その場から消えてしまいたかったです‥。
その日の御夕飯は、部屋食でしたので
それ以降は、二人お部屋で過ごしましたが
事前に計画していた
『誰もいない夜中に、二人一緒に露天風呂に入ろうか!』
という案は、万が一を恐れて止めにしました。
そして、その夜は
“お酒のせい”でしょうか…彼は頑張れませんでしたので
私は、今でも耳に残って消えない
あの男性達の卑猥な言葉に苛まれながら
少し頼りない彼と同じお布団に包まれました。