「今日も来いよ!? 心配するな 誰にも言わないから」 Y君が、にこやかに言いました。 童貞を捨てて、気分が良い様です。
「・・」
腹が立ちましたが、昨夜の事をバラされたく無く、黙って頷くしかありませんでした。
私が中学校3年生の、夏休みの時の事でした。
野外活動に参加し、2・3年生男女50人程、引率の先生、父兄数人と、キャンプに来ていました。
慌ただしく一日目を過ごし、宿舎に戻り消灯時間になりました。
同部屋女子は、昼間の疲れも有ってか、お喋りもしないまま、スヤスヤと寝息を発てていました。 私も直ぐ眠くなりましたが、暫くしてトイレに行きたくなり、他の子を起こさない様に部屋を抜け出て、廊下のトイレに向かいました。
トイレの前で4・5人の男子が固まり、お喋りしていました。
「あれーっ!」 「何ぃ一つ!」 「素敵じゃん!」
思わず隠れる様に駈け足で、急いで通り抜けましたが、直ぐに見つかり、歓声を上げられ、逃げる様にトイレに滑り込みました。
私は、下着の透けてしまうくらい、薄手のパジャマを着ていました。
騒がれましたが、嫌な気はしませんでした。 けれどもトイレを済ませた後、恥ずかしくて直ぐには、彼らの前を通って部屋には戻れず、(どうしようかな?)と思いながら、手洗い場の窓から広がる星空を見上げていました。
かなり長い時間、澄んだ星空を眺めていたと思います。
暫くして「ギィーッ」と、トイレの入り口の扉の音がしたので、見ると(ギョッ)としました。
一人の男子が扉を開け、女子トイレの中に入って来たのです。
咄嗟に個室に逃げ込み、隠れようとしましたが、隠れるところを見つかってしまい、引きずり出されてしまいました。
続けて2・3人が入って来て、最後の一人が、「バタン」と扉を閉めてしまいました。
廊下でお喋りをしていた男子達らしく、全員私の方を見ています。
同じクラスのY君も居ました。 運動も出来、頭も良いし、顔もそこそこなので、数名の女子には本命的な存在でした。 私も好意を抱いていました。
廊下の男子達の前を通過したのも、中にY君が居たからで、もし居無かったら、違うトイレに行ったと思います。