もともと身体が弱く、病気がちだった私は、常に顔色が青白く元気な時でも病
人のようだった。
高校に入学した時、まだ出血が止まっていなかった私は、いつもの顔色に輪を
かけて青白く
まるで死人のようだった。
担任がよく私に声をかけた。「具合悪いのか」と。
私は突然倒れたり、貧血でフラフラになったりした。
アルバイトは辞めさせてもらうつもりだった。
でも店長に「今辞められたら困る」と言われた。
次の子が決まるまでちょっと待ってくれと言われた。
毎日のように入っていたシフトを少し減らしてもらった。
社員さんと顔を合わせたくなかった。
怖かった。
当時の私は、彼等に何をされたのか理解できなかった。
とにかく怖かった。痛かった。血が止まらなかった。
社員さんに近寄りたくなかった。
心配かけたくなかったので、親には黙っていた。
ある日社員さんに呼び出された。
私は怖かったけれど、断ることができなかった。
断ったらもっと恐ろしいことになりそうな気がした。
社員さんの車の中で、私はまた彼に犯された。
私の股奥は腫れ上がっていて、血が溢れていた。
余りの恐ろしさに足がガクガク震えて立てなかった。
声も出なかった。
社員さんはおもむろに私にポケットベルを手渡した。
「誰にもバラされたくなかったら言うこと聞け」
ベルを鳴らしたらこの場所に来るようにと言われた。
バイトは辞めていいと言われた。
その代わり他にやってもらうことがあるからと言われた。
ベルは授業中でも容赦なく鳴った。
その度私は「具合が悪い」と言って早退した。
先生方は誰も疑わなかった。
顔が常に青白い私だったから。
家には帰れなかった。
学校を早退してどこかに出かけるなんて親にバレたら大変だった。
あの道を左に曲がって、そして右へ曲がる。
彼の車が止まっている。
はじめのうちは、彼にホテルに連れ込まれた。
私はよく倒れた。
血が足りなかった。
下腹もずっと痛かった。
でも誰にも言えなかった。
誰にどう相談すればよいか分からなかった。
そしてそのうち相手が変わった。
ベルが鳴る。あの道を左に曲がる。そして右へ曲がる。
彼の車が止まっている。
助手席には彼ではない男が座っている。
私はその男とホテルに連れて行かれた。
2時間が経過すると、外に彼の車が待機している。
男は彼に現金を手渡していた。
同じ男が何度か彼と共に車に乗ってやって来た事もある。
知らない男が入れ替わり立ち代わりになった事もある。
外で待機している彼は、必ず私とホテルに入った男から現金を受け取ってい
て、
何かボソボソと話していた。
その金は彼の懐にばさばさ入っていった。
私の身体はいよいよ限界にきていた。
出血も止まらず、食事も喉を通らなかった。
常にフラフラし、震えが止まらず、ベルに怯えていた。
どうしようもなくなって、クラスメートに相談をした。
「誰にも言わないで」私はそう懇願した。
次の日、教室に入ると、私の机がなかった。
「汚ねぇんだよ、便所」
「臭せぇから出てけ」
「こんなトコ来てないで金稼いで来いよ、売春婦」
話したことのないクラスメート達に次々とそんな事を言われた。
意味が分からなかったけれど、約束は破られたと思った。
打ち明けた友達を見ると、友達は視線を逸らした。
私は汚くて臭い奴なんだとその時思った。
黒板消しを投げつけられ、私は教室を後にした。
そしてまたベルが鳴った。
そんな高校生活が3年続いた。