昔は今みたいに「個人情報保護法」なんてなくて、雑誌や新聞に住所や名前を載せてもOKでした。そんな頃の話です。
中一夏休みの事です。私はある番組を見忘れて「ビデオを貸してくれる人いませんか?」と地元の新聞に投稿しました。その日から、住所から電話番号を調べて電話をかけてくる人が沢山いました。
その人から電話があったのは、共働きの両親が出掛けた後だから10:00くらいだったと思います。「○○あぅちゃんいますか?」声の感じからして30代くらいの男性でした。「私です」と言うと「新聞に載ってたビデオの件で電話したんだけど…もぅ手に入りましたか?」「まだです!持ってるんですか?」悪戯電話やナンパ目的の電話ばかりだったので『やっとビデオが手に入る♪』と喜びました。「うん。あるんだけどね、あげる代わりにちょっとお願い聞いてくれるかな?」男は自分がカメラマンでモデルを探してる事、モデルになってくれたらビデオとモデル料を出すと言いました。「でも…親に聞いてみないと…それに私、可愛くないから…」とためらっていると「あぅちゃんはもぅ中一でしょ?自分で決められるよね?いぃ話だと思わない?ビデオも手に入って、おこづかいも貰えるんだよ?」モデルになりたいし、ビデオも欲しいし、おこづかいも欲しい……私はうっかり「行きます」と言ってしまいました。それから悪夢が始まるとは知らずに…。「じゃぁ12:00に駅前まで来れる?お昼ご馳走するよ」「はい♪」ビデオにおこづかいにお昼までご馳走になれる…おまけに私がモデルなんて…一人でニヤニヤしながら家を出ました。