これは私が28歳の時の話です。
当時の私は宮城県北の〇館中学校で音楽を担当する教師でした。
10代の生徒達にとって音楽の時間というのは休憩時間と同じ感覚なのか、真面目になど受けてはくれません。
いつも虚しさを感じながらの日々でした。
その日も居眠りをしたり、雑談をしたりと、授業は成り立っていませんでした。
ところがです、ある一人の生徒が私に質問があると言うのです。
その生徒は3年生の佐〇君でした。
彼は校内の不良のリーダーの様な生徒だったので、私は不審に思いながらも、教師として嬉しさを感じながら、彼の席へと向かいました。
「佐〇君が質問なんて珍しいわね。何を聞きたいの?」しかし彼は無言でした。
ニヤニヤと笑みを浮かべて。
すると背後で嫌な気配を感じ、振り向くと、一人の生徒が鏡を使い、私のスカートの中を覗いていたのです。
「なっ…何してるの!」思わず声を荒げてしまいました。
たちまち教室内は静まりかえりました。
その生徒は「やったぁ!白だ!純白チャンだ!」と大声で笑いました。
すると、静まりかえっていた室内は爆笑の渦につつまれたのです。
佐〇君は最初から私の注意を惹く為に質問があると嘘をつき、私を呼んだのです。
「ちくしょ~絶対ピンクだと思ったのになぁ!」佐〇君はそう言って笑いました。
私は除かれた事よりも、騙されて笑いものにされた事が悔しくて我慢出来ませんでした。
初めて生徒に手をあげてしまったのです。
佐〇君の頬を平手で打ち、そのまま教室を出てしまいました。
それがあの、恐怖と屈辱に満ちた出来事に繋がる等とは思いもしないままに。