2025/10/11 10:37:38
(s35qk0nt)
オープンしたばかりの居酒屋チェーンはガラガラで、奥まった目立たない席を選べたが、学校の最寄り駅からは離れたので誰かに見つかることはなさそうだ。
先生との家は私鉄の沿線で四つほどしか離れていなかったから、そこから一番近いターミナル駅に移動したのだ。
ちなみに中学は電車通学だった。
晩酌はしないが飲めるという先生はわりと早いピッチで飲んでいた。
飲めば強いタイプなのだろう。
それと、やっぱり元とはいえ生徒と飲むのは初めてなようで、緊張をほぐしたかったのかもしれない。
その飲むピッチが遅くなったのは、自分が例の話を切り出したからだ。
こっちもホロ酔い程度には飲んでいたから、そんなに力まずスルッと話せた。
また、先生も興味津々だったのか聞き上手で、そこまでは言わなくてよかったとこまで口を割っていた。
そこまで話してくれたから先生も正直に言うとね…
そう秘密話をするように先生が話してくれたことによると、やっぱりゴミ箱から消えたストッキングのことは気づいていたらしい。
そりゃそうだろうなと改めて思った。
生活習慣からしてズボラなタイプではなさそうだし、気づかない方が不自然だ。
で、たぶん自分だということも。
ただ、騒ぎにするつもりはなかったが、単純に捨てた物だから恥ずかしかっただけらしい。
まあ、その女性心理もわかる。
実際には使い古した感はなくてまだ新しかったと言うと、伝染しちゃったからまだ新しくても処分したらしい。
下着ならもっと恥ずかしかったかもしれないがストッキングだしと自分に言い聞かせていたそうだ。
それに、どういう意図で持ち帰ったのかを考えると、やっぱり少しは気になってはいたそうで、そこら辺の少年心理も話してあげた。
先生はあくまで女性が履くモノだからと解釈していたようだから、その辺も恥を忍んで告白した。
やっぱりあの頃は大人の女性に惹かれる年代だしとオブラートをかけながら、先生も女性としてそういう魅力があったのだと伝えたつもりだ。
でも、先生はあの頃で30とかだよ…
中学生からしたらおもいっきりオバサンじゃないの?
人の趣味にケチをつけないでくださいと笑いをとり、でも、現実問題としてそれは全く気にならず、むしろのちにも影響を与えたような気がします。
なんというか、先生の歳が知らず知らずに女性の基準になっていたというか…
同級生とかだと若すぎるとか思っちゃってました。
先生はそうした発言を真剣に聞いていた。
ちょっと違う例えかもしれないけど、雛が最初に見た鳥を親だと思い込むようなものなのかしらねぇ…等と分析までしていた。
でも、今つきあってる子はいないの?
そういう相手は歳の近い子なんでしょ?
確かにその当時は年相応な相手がいたが、正直一途に操をたてられてはいなかった。
どうしても、もっと年上の女性が欲しくなるのだ。
その辺から恋愛相談になってきてしまったが、
実は…
初めての女性は先生よりも歳の離れた人でと、初めて他人にバラした。
先生は心底驚いた様子だったが、
だから、あの頃の先生より今の先生の方がいいと告げたら、コップの残りのサワ~を一気に飲み干していた。