病みつきになっちゃってました。ちょっと前までオモチャって実際には見たことも触ったこともなかったの。
オナちゃんは物心ついた時から日課のようにしてたし、興味もないわけじゃなかったんです。
小学から大学まで自宅にいたあたしは、家にあった両手で持つ四角くて重たいマッサージ器を使ってしてたことはありました。
ただそれは、父親が何処からか貰ってきたもので、数回使っただけで屋根裏にしまわれていたものを偶然見つけたものでした。箱は埃だらけでした。
両親の居ない時にしか使えなかったのと、気持ちよすぎて使う度にお洩らししゃうから準備にも後片付けにも時間かかるから大変でした。
家を出て1人暮らしをしてからは、オモチャもマッサージ器も使うことなく、おばさんになりました。(笑)
子供が中学生になってから、暇になる時間が増えて寂しい気持ちになることをオナちゃんして紛らわすようになってました。
特別にえっちな気分じゃなくても、普通に手があちこち触ってて、その気になってから本気になってっちゃうって感じだから、本気になっちゃう前ならいつでも途中でやめちゃってたし、いつでも始めていつでも中断ってしかたです。
二年前の春に近所の緑道にある公衆トイレに入った時のことでした。まだ比較的新しくて汚くはないトイレなのに、個室内の壁やドアにやらしい落書がいくつかありました。その中にもう消え掛かってたんですけど、あたしと同じ字の名前を見つけたんです。そこには◯乱◯妻◯◯ってあってその横に、数字とHZって書いていて、その下には何人かが書いたみたいなツイートっぽい書き込みもありました。変な落書って思ったけれど気にしてなかったんで、すぐに忘れてました。今年になって新しくできたスーパーへの近道に明るいうちは緑道を通るようになってました。家はすぐなのに、鍵を開けて買い物袋を自転車カゴから降ろしてなんて余裕がなかった日に、またあのトイレを使ったんです。
ドアが開いてた個室にそのまま入って、間に合ってホッとした時に目に入ってきた落書が、ご自由にお持ち下さいって言葉でした。
荷物置き用の小さな棚には紙袋があって、用を足しながら手を伸ばしてみました。
その中には、えっちな本が何冊も入ってたんです。
パラパラ見てから、その中の官能小説がものすごくやらしくて、ついつい読んでました。
ムズムズしてきちゃったから、身支度してお持ち帰りしちゃったんです。
その日以来、あたしは緑道を通るたびにトイレに寄りました。3つある個室のうち、真ん中の個室にだけ窓下に棚がありました。持ち帰れないような本もあって、そこで見ちゃうだけの日もあらました。
何回目かの日、紙袋の中にえっちな本はなくて、種類の違うオモチャが2個入ってたんです。
あたしは小さい方の一つをバックに入れて帰っちゃいました。物凄く悪いことをしてる気がしてドキドキしてました。
真新しいそれは、可愛いイタリアントマトみたいのがスイッチを入れたら振動するようになってました。
結構音が響くのと、手が痺れてくるのにびっくりしました。でも気持ちよかった。
その日の夕方に、ふらっともう一度行ってみたら、紙袋の中は空でした。
数日後、袋の中には一回り小さな手提げの紙袋に、吸盤のついた大きなおちんちんが中の見えるケースに入ってました。先の方は赤紫色で、あとは焦げ茶色。初めてみたグロテスクなオモチャ。ちょっと怖くなって、そのまま外にでたのに、戻って貰ってきちゃった。
それからあとは、本だったり、えっちな下着だったり、真っ黒いお団子の長いのでスイッチで動くのとか、いつ行っても紙袋にいっぱい入ってたんです。
少しづつ貰ってたら、いっぱいになっちゃった。
久しぶりに月曜日に行ったら、1番奥の個室の落書にまたあたしと同じ字の名前と数字が新しく書きなおされてて、二年前のことを思いだしちゃいました。
前の時は、名前と数字の下に、本当だったとか、なんだかよくわからない、繋がりのない落書だったんです。
今度のは、鉛筆書きで小さく書かれてた文章を読んで、頭から血がサーって引いて貧血みたいになりました。
あたしと同じ名前じゃなくて、あたしの事が書いてあったんです。
いつから?少なくても二年以上前からなのは確かです。何人もの筆跡で、詳細が掲示板みたいに書いてたんです。
慌てて主人にも内緒で、業者さんに連絡しました。
家の中に盗聴器が3つと、カメラが2台見つかりました。
あたしは何人もの人に、生活全部を聞かれたり、見られたりしてたみたいです。