あたしもときどきオナニーする。
夢見が悪かった朝などは、なぜか体が熱くなる。
今朝の夢は最悪。
彼氏の二股なんて、普段想像もしないことなのに。
積極的に彼を繋ぎ留めるための行動が苦手なあたし。
きっと、どこかで強い不安を抱えているのかもしれない。
しばらく呆然としたあと、あたしはベッドから立ち上がり。ショートパンツを脱ぎ捨てた。
薄暗い部屋。
立ったまま、Tシャツの上から自分の胸を揉みしだいた。
時々、乳首を指が掠めるように。
欲しがれば、遠のき。
痛みを感じるごとに、さらに荒々しく、あたしは揉んだ。
ベッドの上に右足を載せ、左手を背中へ回した。
肩甲骨の下、痛みを感じるくらいに手首を持ち上げると、前屈みになる。
そう、あたしは今縛られている。
見えない誰かに、後ろ手にされ、足を滑車で吊られている。
不快な夢の残像を打ち消すように、必死に想像した。
身体が熱くなり、喉がかわく。
右手指で、あたしはあそこをまさぐる。
上、下、上、下、
時に小さな円を描きながら、あたしの指が這うたび、薄紫色の下着に皺が浮いては消える。
最初は、布の擦れる音だけ。
やがて、かすかに卑猥な音が混じるようになった。
縛めの姿勢
息が苦しい。
膝が震え、崩れ落ちそうになる。
緩やかに登っていたはずの快楽の坂
突然、小さな頂に達して、あたしは思わず声を漏らした。
急激に勾配を増す、快楽の坂。
もはや何も考えられない。
頭の中が乳白色に染まるあの感じ。
眼を閉じる。
腰に埋まっていた何かが破裂したかのように、
あたしの身体は、何度か爆ぜて、
再びベッドに揺蕩った。
しばらく後、カーテンの間から差し込む光で、
あたしは、彼氏との待ち合わせ時間に間に合わないことを理解した。
あと一回だけ、オナニーしたら、
LINEに謝罪文を送って、シャワーを浴びよう。