「なあ、俺は先寝ていいかな。役員と一緒に飯なんて食べても食った気がしないし。もう疲れた。」
と、父親は台所に来て料理をつまみ食いをしてビールを一気飲みして寝てしまったのである。
(情けない人。内弁慶の典型ね。さてと。)
「ご飯出来ましたよ。」
と母親は僕の部屋に聞こえるように大声を出した。
「あーお腹空いた。勉強したら余計に減っちゃた。ペコペコだよ。」
母親は、息子がさっきよりなんだかスッキリした顔をしているようにみえた。
「息子さん飲み込み早いですわよ。私の教える事直ぐ理解して。ウフフ。アハハ。まあ!美味しそう。家庭料理なんて久しぶりだわ。いただきまーす。」
(何何、なんかこの女もスッキリした顔して?さっきより髪の毛が乱れてる。間違いない。息子を食ったんだわ。)
「ママ?どうしたの。顔が怖いよ。おねえさんの事睨んで。」
「そんな訳ないでしょ。ちょと疲れただけよ。パパも疲れて寝ちゃうしね。」
「あちゃー!」
と、突然彼女が大声だしたから、
「おねえさんどうしたの?」
「ビール飲んじゃった。私今日車だったわ。どうしよう。」
彼女は父が置きっぱなしのビールを飲んでしまったのである。
慌てて父が出て来て、
「申し訳ございません。私が置きっぱなしで。おい、お前が運転して送りなさい。」
「そんな悪いです。電車で帰りますわ。車は明日祝日で休みだから改めて取りにうかがいます。」
「そんなの二度手間だから、おねえさんウチに泊まればいいじゃん。そしたら勉強の続きできるし。一石二鳥だよ。」
「そうしましょう、そうしましょう。ボロい社宅ですが。いけね。素晴らしい社宅。」
「パパ、本当にクビになっちゃうよ。」
と、僕が言ったら、又全員大爆笑して父は寝室に消えたのである。
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