空想・幻想小説

某企業の広いエントランス………。

気がつくとその入口に立ち尽くす自分がいた。

どうやってここへ来たのか覚えていないのは、死んでからまだ日が浅い影響だろうか……。

何だか見覚えがあるような気がするが、思い出せない。

あの受け付け案内のカウンター、案内係りの制服を着た可愛いお姉さんたちも見たことがあるような気がするが………。


思い出せないものは仕方がない。
とりあえず人々の群れに混じって、満員となったエレベーターに乗り込む。

体の実体のない自分が乗り込んでも、重量オーバーのブザーが鳴らないのは少し寂しい………。

どういうわけかここ、そう感じた階で降りる人に重なって一緒に降りる。

ある大部屋のセクションに辿り着く。
何だか無性に懐かしいような……。

でもそれほど日にちは経っていない……。
なぜだか不意にそう感じたのは、何故だろう……。

顎に手を当てて考えていると、目線の先に一人の女性が目に入った。

肩にかかる程度の黒いストレートヘアに艶があり、同じ前髪を額の中央から分けている……。

年齢は見た目からして、２０代後半から３０代前半くらいだろうか。

クリっとした目が印象的で、ディスクから立ち上がると快活に動き回っている。

グレーのパンツスーツがよく似合っていて、ぴったりした腰回りが堪らない……。

彼女が座ったのを見計らって、耳に息を吹きかけてみる……。

そうすると耳に被さる髪の毛がふわっと揺れて、びっくりした彼女が慌てて辺りを見回す……。

誰も自分の近くにいないと分かり、怪訝な顔をしてまたパソコンの画面に向き直る………。

いい感じだ……。

後から彼女に抱きついてみたが当然、腕も体も通り抜ける……。

もう一度、今度は自分の手だけに集中して彼女の胸に触れてみる……。

パソコンのキーを打つ彼女の指が、ビタッと止まった……。

彼女がそうなるのは、無理もない。
ブラウスの下のインナーの、そのまた下………。
乳房を包むブラジャーの下、乳房を直に手の平で包んでいるのだから……。


何ともいえない違和感に、彼女は身動ぎする…。
まだ集中力が足りないせいか、実体化し切れない自分の手がブラカップとの間にあるのだ……。

釈然としないまま彼女はまたパソコンのキーを叩き始めるが、またその指を止める……。

そう、乳首の先端を指先で転がしているのだ…。
完全に実体化していない指だから、感覚もなんとなくなのだろう……。

その中途半端な感覚ながら、続けるうちに彼女の乳首が硬く勃起をはじめてきた……。

淡い快感に彼女は周囲に気付かれないように両手を口に当てる仕草をして、実は腕を乳房に押し付けていた……。

攻めの手を止め、彼女を一旦安心させてやる…。
しばらくして気のせいだと思い直した彼女……。

三度指を動かしはじめた彼女の乳首を、今度は舌を使って転がしてみる……。

服も下着も貫通して舐めるのは我ながら妙な感覚だが、確かに舌先にコリコリした感触がある……。

肩胸は舌、もう肩胸を手……という具合に彼女を攻める……。

今日は一体、どうしたというの?………。
疑念を抱く彼女は甘い快感に、動揺を隠せなかった。


北原くんどうかしたのか?……
体の調子でも悪いのなら、誰かに代わってもらわないと………。

上司が目敏く気付いた。


北原　　いえ、何でもありません…。
　　　　アイデアを練っていただけですから……。


彼女らしい強気な言葉を上司に返し、生意気な奴だと思われないように笑顔を見せることを忘れない……。


危ない………攻め過ぎは禁物だと、肝に銘じる。
次は下半身に移る………。


パンツ、ショーツを貫通し、唇と舌が割れ目に到達する……。

彼女の座る椅子の座面、閉じて座る太腿をも通り抜けてあり得ない状態で性器を攻める……。

下から割れ目をこじ開けるように舌を入れると、濃い藻のような陰毛が生え揃う大陰唇が地割れのように左右へと開く……。

半分ほどしか実体化しない唇と舌だから、彼女もなんとなくの感覚しかない……。

けれども何かが変だと、そう感じるようだ。
都合の良いことに包皮も通り抜け、直接ピンク色の可愛い突起に吸い付いた……。

何となく、でもなんだか気持ちがいい……。
落ち着かないけれど、仕事を進めなきゃ……。

そんな彼女が己の体の感覚を無視してパソコンを弄りだす………。

だが眼鏡をかけたレンズの奥の目が、次第に潤みはじめる……。

プリンの表面を舐めるように優しく、優しく…。
丁寧に繊細に攻めていく……。

口呼吸を始めていた彼女の口が乾燥から防御しようと、唾液の分泌が顕著になった……。

口内の粘膜が潤ったのはいいが、体の別の位置す粘膜もまた潤みはじめていた……。





昼休み、彼女の姿はトイレにあった。
ショーツに染み込む分泌液をトイレットペーパーで、簡単に処理する……。

占いも幽霊も信じない現実主義の彼女は、今月は生理が早めに来るのだと自分に言い聞かせた。

排卵期ならば、おりものが増えるのは当然の生理現象なのだから……。

体が変な感じがするのもきっと、生理が近いせいに違いない。

通常よりも早いのは、最近忙しくてストレスが溜まったからにすぎない。

きっとそう………。
今月は早めに対策をすればいいだけのこと……。


涼しげな顔をした美人に似合わず、持ち前の気の強さで午後のプレゼンのことを考えていた……。



こんな美人のトイレを覗いても色気も素っ気もないが、それはそれで興味深いと思った。

俺はこのとき初めて彼女の脚の付け根に、卑猥な泣きホクロがあるのを見つけていた………。





午後一番にセクションの面々が会議室に集まり、各々が考えたアイデアを書き記した書類を手元に置いている。


この日のために温めてきたアイデアを、早く発表したくて待ち切れない想いを宥め、自分の番を待つ……。


同僚たちのアイデアはどれも物足りない、そう感じる。

次は自分の番、彼女は虎視眈々とその時を待っていた……。


そんな時、不意に違和感を感じた……。
こんな大事なときに、どうして………。

眉間にシワを寄せる彼女………。
そう、俺は彼女の膣に指を挿入していたのだ。

ユルユルと入れては抜いて、また奥に挿し込んでいく……。

先ほどまで潤っていただけに出し入れは容易で、簡単に抜き差しが出来る……。

彼女の様子が一変した……。

元来から感じやすい体質の彼女は、すぐにその甘い快感に反応しはじめた……。

そんな筈はない……。
いくらなんでもそんなの、おかしい……。

椅子に座って服も下着も着けているのに、何だか気持ちいいなんて………。

見るものが見れば彼女は一見、温泉に浸かっている時のような………。

あるいは愛猫を愛でるときのような、うっとりとした優しい表情をしているように見える………。


俺は指の２本を執拗に抜き挿しを続ける……。
スーツのパンツ、さらにその下のショーツの中で割れ目が左右に開き、指の抜き挿しする動きに合わせて膣口の肉が盛り上がる……。


ニュリッ…ニュリッ…ニュリッ…ニュリッ…………



やや俯き加減になった彼女が、音を抑えて吐息を漏らす………。


はぁ～〜………はぁ～〜………………ぁぁ…はぁ～〜……



じゃあ北原くん、貴女はどうかな?………



不意に自分に振られ、彼女は戸惑った。
俺はそこで指を抜いて、彼女の仕事を邪魔しないように真横で黙って見ていた。

それくらいの気遣いは、俺にだってある……。

ほっとしたように彼女は水を得た魚といった感じで、これまでの成果を発表していく……。

それが終わるとまたほっとしたようにして、椅子に座った。

内容はよく理解出来なかったが、周りの反応を見る限り彼女は優秀なようだ。

重要な局面は、彼女に譲った。
それでは優秀で美人の彼女をいただくとする……。

俺は椅子に座る彼女に体を重ね、勃起したペニスを膣の位置に合わせた。

その部分のみ、実体化させる……。

膣の中がいきなり違和感に染まる……。
まるで自宅の引き出しに仕舞ってあるバイブが中にあるみたいな、奇妙な違和感……。

そんな、あり得ない………。

それが中で動き出す……。
入り口付近まで抜け出て、奥まで押し広げながら突き進んでくる……。

こんなの、おかしい………。
椅子の座面を突き破って、何が入ってきてるというの………?


彼女の疑念は一部を除いて、大まかには合っていた……。

ペニスだけ実体化してるとはいっても姿形は誰にも見えず、椅子の座面を突き破っているのではなく、通り抜けている……。


今の状態になって、実に都合が良くなった。
彼女に体を重ねて膣にペニスを突き入れているのに、乳首を舐めて、クリトリスも同時に舐めているのだ……。

自分でもあり得ないと思うが、したいと思うことが出来るのだから仕方がない……。

彼女のブラジャーの下で乳首が舌に転がされ、片方の乳房が手の形に歪む……。

同時にクリトリスを吸って舐めて舌で転がして、膣の中でペニスを躍動させていく……。

恐怖が彼女の心を支配する前に、快感が先に支配していく………。

そうこうするうちにプレゼンは、終了してしまった。

急いでフラつく脚を動かして、トイレに向かう。
誰かに声をかけられたが、対応する余裕はなかった……。

トイレの個室に入りパンツを下げようとしたけれど、それすら叶えられず便座に腰を下ろす……。

自分のアソコがまるでセックスをしているときのように、ヌッチャッ……ヌッチャッ……と音がする……。

クリトリスが猛烈に感じて、急いで両手で口を覆った……。

体を前に折り曲げ、抜き差しされる深い快感に声が漏れそうになる……。


だめ……………もう、だめ……………。


髪の毛を振り乱し、頭をブンブン振りながら快感を分散しようとしたけれど………。


奥に当たる………奥に…………。

前屈みになった体の背中が反り上がる……。
握りしめた拳が白くなり、ブルブルと震える……。

声を押し殺すあまり、振り絞った息が喉の奥から断続的に漏れ出る……。

彼女の顎が、不意に跳ね上がった………。

猛烈な快感の波に飲み込まれて、便器に座る体が痙攣を起こして気を失った………。



仕方なく俺は彼女から離れたけれど、いくら射精をしても生きていた時のように満足感が得られない………。

それが不満で仕方がない………。



俺は次の女性を求め、彷徨いはじめていた………。

















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