「4歳の頃、僕はお母さんの親戚が住んでいる田舎に来ていました」 田舎の風景が紙芝居の絵に現れる。
「僕はその日、裏山を探検していました」 裏山を探検しにいくトオルくん。
「裏山に行くと神社があった他、扉が開きっぱなしの畳だけのお部屋がある建物がありました」
それは奇妙な建物だな。何かの儀式を行う祭壇みたいなものか?
「へー、和室だけの建物か。他には?」 リポーターがトオルくんに質問しながら紙芝居を続けるよう促す。
「他にはねぇ、人間のようで人間じゃない生き物もいました。その生き物は2体いて、オスとメスみたいでした」
まさかの未確認生物。しかし、俺はその生き物が描かれた紙芝居にわが目を疑った。
それはどう見ても裸の男女だった。年齢からしてどちらも10代。男のほうは17か、18ぐらいで裸の身体は筋肉質で逞しい。
女のほうは肉感的で見事な肢体だった。雪のように白い肌で身体には玉のような汗が描かれている。その理由は・・・
「2体は動物や昆虫の動画で見たことがある『交尾』をしていました。僕はそれを初めて見たのです。謎の生き物で」
俺はもちろん、リポーターも撮影スタッフもあまりの衝撃に言葉を失っていた。それは全国のお茶の間も同じだろう。
トオルくんは謎の生き物と言うが、どう見ても人間の男女の交わりだった。
男のほうは女の右足を右手で持ち上げ、左手で女の左足を押さえながら、その女体を突いていた。
女のほうは肉体を突かれる喜びに全身で感じているようで、首の角度のおかげで見える逆さの表情には笑みを浮かべている。
長い黒髪からは見事な肩甲骨と白いハート型の尻が見え、尻は畳のせいでぐにゃりとなっている。
「2体の交尾は激しく、互いに名前のような鳴き声も叫んでいました」
そう言いながら淡々と紙芝居を続けるトオルくん。人間の交尾に対して無知な子供は恐ろしい。
今度は男の上に女が乗っていた。女は男の両足に両手をつけ、白い豊満な乳房をばるんばるんと揺らしながら突かれていた。
表情はさっきと変わらず、快楽を貪っており、次の紙芝居では男の腹筋に両手をついていた。その度に汗の雫も散っていた。
女に表情を見て俺はある事に気付いた。この女の顔、どこかで・・・
「オスのほうはわかりませんでしたが、メスのほうは顔が誰かに似ていた気がしました」
トオルくんが俺の思い出そうとしている事を意図せずして当てた。
「2年前に通り魔事件がきっかけでネットで話題になった被害者の女子高生にそっくりだったのです」
通り魔事件の被害者の女子高生。その言葉に俺の頭はピーンと来た。
被害者となった女子高生はあまりに美人でネットでは1000年に一人の美少女と評判になったほどだ。
そしてこの少女がどこの誰なのか、俺は知っている。俺の高校時代の同級生の美咲だ。
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