「おーっほほほほほ..。
やはり武士の娘でも、乳に針を刺されてはたまるまいな。」
佐江の高笑いで春は失神から目覚めた。
太股から脹ら脛に掛けての生温かい水気で、自分が小便を垂れ流したのを知ったが、その屈辱は耐え難かった。
しかしそれがその日の春の苦痛、屈辱の終わりではなかった。
春は後ろ手に縛られて、別の棟の小屋に連れていかれる。
囲炉裏と灯明に照らされた小屋の中には、開墾や薬草から薬を製造する為の数々の道具が置かれていたが、そのような人にとって有意義な道具だけでなく、残酷な道具も置かれていた。
三角木馬。
尖った背に人を跨がらせて、股間を苦しめる拷問道具である。
先に左近が盗賊一味を退治したのは、実は姉の佐江が盗賊の一味の女を騙して捕らえ、この小屋で拷問をした挙げ句聞き出した情報によるものだった。
その時は二人の盗賊の妻を捕らえて交互に拷問し、下半身を血だらけにした女から盗賊の隠れ家や連絡方式を聞き出したのだが、元々佐江自身が人を責め、責められる事が好きだったのだ。
嫁いだ先で、夫であった藩の医師から調教を受けて目覚めたのだが、夫が亡くなってからは自分が責められるだけでなく、他人を、それも女を責めるのも面白い事を知ってしまったのだ。
精神的にも肉体的にも、女だから分かる女の弱点を効果的に責められて、羞恥と苦痛の中で泣きながら盗賊の妻二人は仲間を売ったのだった。
今、春の前にある三角木馬の背には、その時に二人が着けた染みが黒々と残ったままだ。
裂けた股間からの出血、苦痛で漏らした小便、股間を責められて本能的に出てしまったいやらしい粘液等が硬い木の膚に染み着いたもので、鼻を近づけたら生臭い匂いが感じられる程だった。
春はそんな拷問道具をこれまで見たことはなかったが、その恐ろしげな形から、それが自分にどう使われるかおおよその想像が出来た。
女として一番恥ずかしく痛みに敏感な箇所への拷問..。
耐えきれないかもれない..。
いえ、あの女は、今はまだ私を降参もさせてくれないつもりらしい。
降参しようにも、口には生臭い匂いのする布が詰め込まれたままだ。
その口に詰め込まれた布の正体も分かってきた。
あの女の月のもの、月に一度訪れる穢れた血を吸った布のようだ。
汚いと言う気持ちより、とにかく惨めだった。
しかしあと10日すれば、あの弟の方から討たれて死ぬことが出来る。
それまでの辛抱だ..。
春はそこまで諦めの気持ちで、自分の人間らしい心を眠らせようとした。
そして春は三角木馬に股がらされた。
腰布を奪われなかったのは、あの女のせめてもの情けだったのだろうか..。
もう一つ、春の裸体を隠してくれたのは、櫛や簪が奪われたために髷が解けて艶やかな黒髪が乳を覆い隠してくれたことだった。
長く美しい髪を乱れさせ、春は三角木馬の上で悶え苦しんだ。
股間の粘膜が裂けて出血もしたし、先ほど一度失禁したにも関わらず、木馬の上でも数回失禁している。
前に染み着いていた盗賊の妻達が着けた染みの上に、今度は生娘の春が染みを着けていた。
それでも今度は春は、針責めの時のように気を失わない。
本当は失いたかった。
いや、そのまま失ったまま..、死ねれば良かったのだが、痛みのあまり気が遠くなりかけると、佐江が強い刺激臭のする薬を春の鼻先で燻らせて気付かせるのだった。
春にとっては、永遠に続く地獄だった。
そのまま股がっているだけでも辛いのに、時々背中や太股を細い鞭で打たれるし、先ほど同様乳房に針が刺される。
そして佐江から責められて苦しみ悶える姿を、左近からじっと見つめられている。
「左近殿、もう少し我慢しておくれや。
10日したら、左近殿の太く長い槍でこの小娘を刺し貫いて口まで貫き、本当に奈落の底に落としてやっておくれ。」
佐江のそんな言葉を聞きながら、春は数度目の失神に落ち、また直ぐに目覚めさせられるのを繰り返した。
そして最後には、姉弟が自分達の建物に引き上げたにも関わらず、三角木馬の上に股がったままで放置されたのだった。
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