邪神が抜けた俺の身体はお湯に浮かぶ形で倒れた。
「裕也くんッ!!」
邪神の撃退にひとまず成功したかほさんは怪人体の変身を解除して裸で俺にかけよってくる。
「んー、やっと俺の身体から出て行ってくれたか」
どこか他人事のようにそんな感想を吐く俺。
改めて紹介するが、森の巫女かほさんと一緒に戦う俺は戦士として邪神とその眷属と戦う使命を負っていた。
そんなある時、俺は邪神に不意打ちで取り憑かれてしまったのだ。まったく情けない話だ。
そしてこの鎮守の森がある村や邪神が「俺」として楽しんできた街や人間はかほさんの親戚にして俺の親友・裕太の能力によるものだろう。
裕太の能力は時空を歪めて偽りの世界の創造なのだ。おそらく裕太がかほさんに力を貸し与えたのだろう。
実在する街や村、人間の複製体まで使うとは。偽りのモノとは言え、好き放題してもいい理由にならないし、納得もできない。
自分の不甲斐なさに静かに悔しがる俺にかほさんは心配そうな顔を見せた。
「思い上がらないで、裕也くん」
「ははっ、ごめん。かほさん」
「裕太くんに本当に助けられたわ。あとでお礼言うのよ」
「ああ、それからかほさん・・・」
「何?」
「セックス気持ち良かったけど、やり直さない?」
「もう・・・バカ」
そのセリフは肯定だと俺は判断した。
俺たちは湯の中で熱いキスをして元の世界に戻った。
※元投稿はこちら >>