その田舎の滝壺は西嶋家が管理する神社の近くにあり、特殊な結界に覆われていて、私以外のよそ者は決して入れない。
ということになっているが、より厳密にはその場所に縁がある者、あるいは結界を施した者なら入れるらしい。
そんな話を母から聞いたが、私はその話に疑問を抱いていた。結界を施したものは西嶋家の者ではないようなのだ。
私がその滝壺に来たのは14歳の時だ。滝壺には清流が流れていて、私は禊という事もあって素っ裸で滝壺を泳いだ。
水中の透明度はどこまでも高く、水温もちょうどよかった。この水が私の身も心も清めるのだ。
さらにこの滝壺は単に私の肉体を清めるだけではない。私が巫女の戦士になるためのアイテムを清める場所でもあるのだ。
そのアイテムはベルト状のツールの中央にリンゴを模した錠前をセットするというものだ。
ベルト状のアイテムは母から継承されたもので、リンゴの錠前は特殊な方法で生み出されたものだ。
リンゴの錠前はこの滝壺に生い茂る植物の果実が変身したもので、ベルト状のアイテムを持って果実に触れると変化するのだ。
この果実を生す植物もまた結界を施した者がここに植えたものだ。
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