ハルは感激した。
死刑を猶予されたことより、敬愛する王様のお慰めするお仕事に就くことが出来る事の方が遥かに意味があった。
苦しく恥ずかしい事をされると言われても、恐くはなかった。
もう、罪人として死ぬ覚悟をしていた。
自分自身を恥ながら死んでいくより、敬愛する王様のお役に立つのなら、苦しむのも恥ずかしいのも、ありがたいことだと思えた。
国民としての人権も、いや戸籍さえ無くなるのも、ハルにとっては全く関係ないことだった。
女官様に一つだけ質問をした。
「孤児院の先生達には、罪は及びますでしょうか?」
冷たい顔をしていた女官様が、初めて少しだけ、悲しそうな顔をした。
「お前以外の者には、全く類は及ばない。
ただし、お前はもう二度とあの孤児院に行くことも、先生達に会うこともあるまい。」
「それでも、結構です!
ありがとうございます!」
ハルは宮殿内で飼われることとなった。
そしてその夜、国王の私的執務室へと連れてかれた。
ラント国王は、人払いをした後、ハルに頭をあげるように命じた。
「そなたは、人間であることを辞めても良いのか?」
ハルが無言のまま再び頭を下げると、ラントは「わかった。」と言って頷いた。
「これを見よ。」
ラントはハルに、少女の殉教画を見せた。
ハルと同じくらいの年齢の少女が、ほんの僅かの布を腰に巻いただけの裸体で、首と両手首に重たそうな鉄の枷を嵌められ、鎖で刑場へと引かれて行く絵だった。
背景には、これからこの少女が加えられる筈の磔刑、絞首刑、斬首刑、火炙り刑、全身を弓で撃たれる刑、ライオンに襲われる刑等様々な恐ろしい処刑を受けている裸の女性達が描かれている。
少女はそれらの恐ろしい光景を見ながら、恐れの色は無く、むしろ恍惚とした喜びをその顔に浮かべている。
「どのように、思うか?」
ラントはハルに聞いた。
ハルは即答はしなかった。
「やはり恐ろしいか?」
重ねて聞いたラントに、ハルは
「美しいと..思います。」
と小さな声で答えた。
「この少女は、これから拷問を受けて死ぬのだ。
それでも、そなたは美しいと思うのか?」
ハルは、今度は直ぐに答えた。
「はい、王様。
私は、この女の子が美しいと思います。」
「そうか..」
ラントはしばらく息を整えると、改めてハルに話しかけた。
「余は、そなたがこの少女と良く似ていると思っている。」
「そんな...、勿体のうございます。」
「いや、良く似ている。
どうじゃ、そなた。
私にとっての、この少女になってはくれぬか?」
多分、嫌がるだろう。
仕方ないが、その時はハルを国外追放にして、今の会話を国民から封印せねば..。
しかし、ハルの答えは明快だった。
「ありがたい事です。
私でよろしければ、如何様にもお使いくださいませ。」
その顔には、迷いも躊躇いもなかった。
「分かっているのか?
裸にされて、鞭打たれて、少女にとって耐え難い恥ずかしい拷問をされるかも知れんのだぞ。」
「はい、如何様にも..」
ハルの目は、キラキラと輝いていた。
しばらくの沈黙の後、ラントはハルに命じた。
「服を脱ぐがよい。」
ハルは深く一礼すると、その場で服を脱ぎ始めた。
数分後、ラントの前には、昨夜見たのと同じ、ドロワーズ一枚の裸体の少女がいた。
恥ずかしいのか?気持ちが高ぶっているのか?
顔は紅潮している。
細い首。その下に狭く弱々しい肩。
それから伸びる細い腕。
胸は本当に薄く、両方の乳はほとんど膨らみは無い。
僅かに乳首の突起が、この少女がこれから思春期を迎えることを示していた。
もう腹部がぷっくりと膨らんだ幼女体型ではない。
臍から下を、質素だが清潔なドロワーズに覆われているが、ドロワーズの裾からは、細い、本当に細い太股が伸びていた。
肌は白いと言うより、青白い。
極め細やかなようだが、まだ女としての脂が乗ってないためか、滑らかさは余り感じない。
客観的には、決して人体美の典型とは言い難いが、ラントは感動していた。
この少女を、好きなように使って良いのか?
この無垢でいたいけな少女を、私の変質的な嗜好の犠牲に出来るとは..。
「それも..、脱ぐがよい。」
ラントは、ハルに最後のドロワーズを脱ぐように命じた。
「はい、承知いたしました。」
ドロワーズ一枚なのに、ハルは正式な国王に対する礼式をもって、膝を屈め頭を深く下げた礼をした。
貴婦人や令嬢達が大袈裟な宮殿用の衣装の着用を前提とした礼式を、ほとんど裸体の痩せたハルがしたことは、ある意味滑稽である。
しかし、ラントにとっては、その異常さが異常な性的嗜好をますます興奮させた。
ハルが、最後の一枚を脱いだ。
手早く脱いだドロワーズを丸め、先に脱いだ衣装の下に潜らせる。
そして、全裸で再び国王の前に膝まづいた。
「立つがよい!」
ラントは次第に興奮する自分を押さえられなくなった。
立ち上がったハルの裸体を、遠慮なく観察する。
下腹部のくっきりと掘り込まれたような割れ目にも、好色の視線を向けた。
「両手を頭の後ろで組むように!」
よく画家や彫刻家がモデルに要求する基本ポーズだ。
脇の下がさらけ出され、手で胸や下を隠せない羞恥を伴うポーズであるが、ある面モデルに諦めを着けさせるポーズでもある。
そのポーズを取らせたまま、ラントはハルの身体の周りを回って、隅々までハルのいたいけな身体を視姦した。
「辛いか?」
ラントの問いに、ハルは
「いいえ。」
と答えた。
どんな事をされても、そのように言えと女官達に言われているのだろう。
それとも、まだ子供過ぎて、辛いとか恥ずかしいとか感じないのかも..。
「恥ずかしくはないのか?」
このように訊ねたが、多分また同じ答えが反ってくる筈と思っていた。
ところがハルは、
「恥ずかしいです...」
と答えた。
おや?
この者、ちゃんと自分の意識も意思もあるのだな。
では、今は恥ずかしと感じているのは、多分本当なのだろう。
そんな少女を裸体にした自分の良心や罪悪感も、わずかに感じたが、今はハルにもっと恥ずかしい思いをさせたかった。
「四つん這いになれ。
犬のように!」
ハルは、敬愛する王様の命令に、黙って従った。
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