いや、下手に近臣にこの事が知れれば、警備関係者の責任が問われる事になるかもしれない。
出来るだけ穏便に..だ。
ラントは取り敢えず、泣いてる少女を自分の部屋に入れてやろうとした。
こんな通路で泣いてたら、そのうち巡回の兵士に見つかってしまう。
「立ちなさい。そんな姿では、ここは寒すぎるだろう。」
しかし少女は立たない。
「お願いです。国王様。
手紙を出して良いとのお慈悲を..」
と泣き続けている。
やむを得ない!
ラントは少女の身体を抱き上げると、一気に外階段を駆け上がった。
なんと、軽いのだ..。この少女の身体は。
そして、冷たい。冷えきっている。
兵士に見つからなくとも、危ないところだった。
ラントの私的執務室の暖炉の前に、少女をそっと下ろす。
少女は、自分の身に何が起こったのか分からないようで、しばらくキョトンとしていたが、事態が分かると、再びラントに慈悲を乞うた。
「そなたは、なぜ処刑されると思っているのか?」
「この国の、王様の大切な財産を損じました。
今日、この宮殿でお世話になって、その日の内に取り返しの出来ない失態をいたしました。
申し訳ありません..。」
漠然とし過ぎて、ラントにも何の事か分からない。
ここなら、呼ばない限り誰も来ないし、部屋の中は暖かい。
ゆっくり聞くことにした。
「誰が、そなたは死刑になると言ったのか?」
「何故、そなたは、そのような裸体でいたのか?」
「我が国で死刑になるのは、国家反逆罪と殺人しか無いと知っておるのか?」
少女が理解出来るような言葉を選び、質問を繰り返していくうちに、どうやらラントにも、この少女に起きた事態が理解出来てきた。
孤児院から来たこの少女は、名前はハル。
王室が不幸な国民に慈善の心を持っているのを全国民に知らしめるため、孤児院からこの少女を宮殿で雇うことになった。
ハルは生真面目な少女だ。
あまりに生真面目過ぎた。
初めての仕事は、単純な食器運びだったのだが、その時の監督官から
「この食器も、大切な国家の財産である!」
と言われて、緊張のあまり、皿を二枚割ってしまった。
ただ、それだけだ。
監督官も、必要以上にきつく叱った訳では無いようだ。
しかし、孤児院にいた頃から、王室に崇敬の心を持ち続けていたハルにとっては、国家王室の財産を損じた事は大罪に当たると思い込んだようだった。
孤児院にいる時、事実と違う噂話で、国家に対する罪を犯した者は、拷問の上処刑されると聞いたらしい。
裸になったのは、断頭刑になるにしろ絞首刑になるにしろ、貸与された制服や、まだ年下の子供が着ることの出来る下着を、血や汚物で汚してはいけないと、子供ながらに考えた末だったらしい。
それと、国王に手紙を書く慈悲を乞うのに、裸でなら、「もう逃げる意志はありません」と言う事を分かってもらえるかもしれない、と思ったようだ。
本当に子供なんだ..。
可愛らしいじゃないか..。
そう思うラントだが、話を聞きながら、少女の膨らむ前、正確に言えば乳首付近が突起し始めた胸に自分の視線がうろうろするのを意識してしまった。
可愛らしいが..、何故か私を興奮させるようだ..。
まだ、女にはなってないのに..。
その時になって、やっとラントはあの殉教画の少女の事が再び頭に浮かんだ。
幼い汚れない少女..。
裸体..。
拷問、処刑を覚悟して..。
これは、いかん!
ラントは自分の下半身が、自分の意志に反して硬直していくのを感じた。
少女は床に膝まずいたまま、両手を胸の前で拝むように合わせて、じっとラントの顔を見ている。
「そちを、死刑等にはせん!
その必要もない!」
思わず大きな声でそう言ったが、少女は涙を流し続けながら、首を横に振った。
「王様..。お情けは本当にありがたいです。
でも..、罪人は罰せられないと、王様の治めるこの国に悪が蔓延ると、先生から教えてもらいました。
本当に、本当に手紙を書くだけ!
それだけのお慈悲を頂けたら、私、明日でなく、直ぐにでも死んでも良いですから..」
ラントは、これまで子供と会話をしたことが無い。
この頑なな少女を、どうやって死ななくても良い、と説得出来るんだろう?
もう、家臣の手に委ねるか..。
しかし..。
ラントは、この泣いてる少女の身体に、未練があった。
国王たる者が、こんないたいけな少女の裸体を見るような機会が、これから先あるだろうか?
それに、さっき抱き上げた時の、壊れそうな感触も..。
「こちらに、来なさい。」
暖炉の前の大きな椅子に座るラントは、その少女ハルを呼び寄せた。
おずおずとカーペットの上まで来たハルに、ラントは
「立ちなさい。私に対して、それほどの大罪を犯した者を、良く見ておきたい。」
と命じた。
ハルは立った。
赤い暖炉の炎に照らされた、青白い痩せた身体が、ラントにはっきり見える。
頭から足の先まで、ラントはじっと見つめていった。
身につけているのは、子供用のドロワーズだけだが、それも地面に座っていたためか、濡れて汚れている。
あの下は、どんな様子になっているのか?
最近庶民の間で流行っている裸の写真は、ほとんどが成人した女性のものだ。
神話等で少女の裸体が描かれることも、極希にあるが、その部分は正確には描かないのが常識となっている。
私は、見たい。
このいたいけな少女の性器を..。
「それを、お脱ぎ。」
ラントは、ついにハルに命じてしまった。
嫌がるだろうか?
恥ずかしさに、また泣くだろうか?
多分、私を軽蔑するであろう。
それなら、それで良い。
その時は何か理由をつけて、この少女ここから遠い地に移すとしよう。
しかし、ハルは嫌がりも泣きもしなかった。
「王様のお気持ちのままに..」
そう言うと、ラントの目の前でドロワーズの腰の紐を解き、おへその辺りから太ももの中程までを覆う布を下ろしたのだ。
ラントは、少女の性器を初めて見た。
真っ白で何の染みも汚れもない下腹部に、くっきりと割れ目が掘り込まれたように存在している。
陰毛の繁った大人の女性の性器のような、猥雑で不潔感を感じるものとは、全く別の物に思えた。
「美しい...」
つい、無意識にラントは言ってしまった。
これ程美しいものを、手放したくは無い。
ラントは決心した。
ハルに自分のガウンを着せ掛けると、呼び鈴で当直の侍従を呼ぶ。
幸い今晩の当直は、まだ若いがラントが信頼する侍従だった。
「大袈裟にするな。
全て余が責任を持つ。
誰も処罰などしてはならん!」
と言った上で簡単に事情を話し、やはり信頼出来る女官を呼ばせた。
女官に対しても、
「余が責任を負うから、この少女を余の身の回りの世話をする係の一員とせよ。」
と申し渡した。
女官は、国王が結婚を嫌がってる理由が分かったような気がした。
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