春は珠算が得意なだけに、数字を暗記する能力に優れていた。
密偵の首領は、春に対して難しい戦略戦術等は教えず、大砲、機関銃、歩兵、タンク、燃料等の簡単な単語と、それに関する数字のみ組織に伝えるように命令していた。
伝達方法も無線等ではなく、春が覚えていた内容を、ハーレーが寝いてる間にメモしてゴミ箱に入れ、それを翌朝組織に雇われた現地人が回収すると言う原始的な方法だったが、かえって上手くいった。
春からの情報は、組織から軍の上部に伝えれ、どこに何人の兵員が送られてるか、どこの砲台にどれだけ砲弾が蓄積されているか等の分析から、シンガポールだけでなくマレー半島全体の防衛態勢まで推測することが出来た。
組織の無線担当が首領に報告した。
「最近、イギリスの諜報組織が出す暗号電波に、HARUと言う固有名詞と思われる単語が、よく出てきます。」
首領は、敵諜報部が春に疑いを持っているのを確信した。
春の母親の救出と、春の脱出を実行しなければならない。
計画自体は単純だった。
ハーレーは司令官の副官として、基地内の管理関係の責任者だ。
当然、罪人収容施設の責任者も兼ねている。
まず、春がハーレーが官舎に持ち帰った書類の一部をゴミ箱経由で組織に送り、春はその後基地から逃走する。
組織はそのことをハーレーに告げ、上司に知られたくなければ、スパイ容疑で有罪になった沢田ミツを秘密裏に釈放しろ、交換に書類は返す、と嚇かす。
引き渡し場所は、直ぐに海上に逃げられる海岸を指定し、釈放されたのが本当に春の母親なら、そこから直ちに雇った現地人の漁船でシンガポールを脱出する。
その準備は直ぐに行われ、ハーレーが重要書類を持ち帰ったら、その二日後に決行と決まった。
その機会は、直ぐにきた。
官舎に帰ったハーレーは、持って帰ったカバンから取り出した書類を春に見せ、明後日までに数字計算の確認をしておくように言いつけた。
「また、このような重要なお仕事のお手伝いを、させていただけるのですね。
マスター、ありがとうございます。」
嬉しげに微笑む春に、ハーレーは、
「仕事をするのは、明日の昼間でも良い。
今日は、また今から可愛がってやろう。」
と言って、その身体を引き寄せた。
まだ外が明るいのに、春は官舎の応接間で裸に剥かれ、後ろから犯された。
狭い春の膣で射精し、気持ちがゆったりなったハーレーは、自分の両足の間に踞って、一物をお湯で濡らした布で拭き清めている春の頭を撫でながら、
「金が貯まったら、中国人のコックを雇い、日本人を嫁に貰え、と言われてるが、本当に俺は幸せだよ。」
と呟いた。
「そんな..。
私、マスターのお嫁さんになれません。
身分が違いすぎます。」
確かにその通りだ。
成り上がりでも、ハーレーはイギリス軍の将校だから、現地人のメイドと結婚するなど出来はしない。
「それに、マスターは、まだまだ出世されるのでしょう?
戦争が近いと皆言っていますけど..」
「ああ、間違いなく日本軍は来るだろう。
そして、我が軍に破れて、東京に敗退することになる。」
その時になって、ハーレーは春が日本人だったのを、改めて思い出した。
「マスターが日本を占領したら、私も日本に呼んでくださいますか?」
ハーレーは、春が両親から売られた母国、日本の敗北を望んでいるのだと単純に信じてしまった。
「ああ、もちろんだ。
東京を占領したら、俺ももっと大きな家をもらい、日本人の女を10人くらい雇い入れよう。
お前は、メイド頭として、威張っていれば良い。」
すると春が、珍しくちょっと拗ねた様な顔になった。
「そんなの、嫌です..。
マスターが何人のメイドを雇っても、その中で何人の女の子を可愛がっても結構です。
でも、マスターの身の回りのお世話は、ずっと私にさせてください..。」
殺し文句だった。
ハーレーは蕩けそうな顔になった。
春は、こんな事言うのはとても恥ずかしい、と言う顔をして、
「それと..、一週間に一度、いえ、1ヶ月に一度で良いです。
私を...、可愛がって..。
縛って、鞭で叩いて...、マスターの大きなので...。」
そこまで聞かされて、ハーレーは春をガバッと抱き上げると、そのまま寝室に連れて入った。
その夜、ハーレーは春を三度犯した。
もちろん一度犯しては、酒を飲み、鞭を使い、張り形や肥後のずいきと呼ばれる日本の淫具も使って春を弄び、一物が勃起したら再び犯すのを繰り返した。
そして、前後不覚に酔いつぶれて熟睡した。
翌朝、春が淹れてくれた濃いコーヒーを飲みながら、ハーレーは、昨夜渡した書類は、非常に重要な物であるから、紛失など絶対しないように、と言い残して出勤して行った。
春は組織から指令されたとおりの行動を起こした。
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