人夫達は驚いた。
土と汗で真っ黒になっている自分達の中に、顔や手足こそ日焼けしているが、着物に覆われた部分は真っ白な女童が腰巻き一枚で入ってきたのだ。
20人の人夫から取り囲まれて、春はその真ん中で腰巻きを取った。
まだ下腹の陰りはない。
真っ白な下腹に、くっきりと黒い縦線が入っている。
この子を、どうするんだ?
皆が戸惑う中で、春は組頭の方を向いて言った。
「痩せて具合は良くないと思うけど、皆さんで私とまぐわって。」
組頭は村に妻子を残していた。
こんなまだ女童を皆で苛むには、まだ良心が残っていた。
「お春さん。
あんた、男と女のまぐわいなんて、全く知らないんだろ。
とてもあんたのような子供に耐えられることじゃないんだよ。」
助役の男も、
「おぼこ娘が初めての時は、痛んだぜ。
あそこが裂けちまうんだからな。
嫁の貰い手がなくなるぜ。」
と言った。
これで春が怯えて引き返してくれればと思ったのだが、春は引き下がらなかった。
「私、四日後には人身御供になるんです。
裂けたって構わないし、お嫁なんか行かないから関係ないです。」
この会話は、周りで聞いていた人夫達には、刺激が強すぎた。
長く女から遠ざかっていたせいか、ほとんどの男は汚れた褌の前を大きくしてしまった。
皆から「やりたい..」「子供でも良い..、抱きたい..」「あの小娘..犯したいよ..」と小さな呟きが聞こえてくる。
さすがに組頭は何とか皆の欲求を吐き出させないとまずいと思ったが、それでも皆で春を回すことは避けたかった。
この娘は、もうすぐ死なねばならない。
それなら、この世の名残に、今だけでも男と夫婦にしてやるか。
「米吉、来い。」
それは、まだ16歳の見習い人夫だった。
両親が亡くなり、引き取り手がいないまま、組頭が雑用等で使ってやっていた。
組頭は素直な米吉を可愛がっていた。
身元保証もなく、これから先も今みたいな人夫仕事にしか就けないだろう。
もちろん結婚なんて叶わない。
それなら、今..。
「米吉。
お前、今からこのお春さんと夫婦になれ。」
そう言われても、米吉は何のことかとぽかんとしている。
「お前、このお春さんと、ここでまぐわえ。
一度だけだ。
ただし、皆が見てるぞ。」
そう言うと、皆にその場にむしろを何枚も重ねて新床を作るように命じた。
「さあ、お春さん。
ここに座ってください。」
組頭は春と米吉を並べて座らせると、ことの成り行きに呆然となっている尼さんを呼んだ。
「尼様、ご覧のとおりだ。
これから二人の盃事をしてあげたいが、ありがたいお経の一つも唱えてくださらんか。」
尼さんは、これならこれで良い、と思った。
人身御供にされる前に、悪い坊主や神主や大庄屋達に散々辱しめられるのなら、その前にほんの半刻でも人並みに人妻になった方が春のためにもなるのでは、と思ったのだった。
春と米吉は、盃を交わし、それから皆から見守られながら、むしろの上で床入りとなった。
二人とも急な話であり、盃を交わしても、夫婦になると言う実感は湧かなかったが、その肌を合わせた時、相手の肌の暖かさ、柔らかさ、女らしさ、逞しさ、頼もしさ、男らしさを感じ、なぜ皆が結婚してまぐわいするのか、その一部でも分かった気がした。
春は股間に押し付けられる米吉の硬い強ばりを、大きく足を拡げて受け入れた。
痛みから自然に逃れようとすると、米吉の逞しい腕や腰で押さえられ、やがて身体が裂かれるような痛みを感じた。
痛みは一瞬ではなく、米吉が身体を動かしている間続いた。
春の耳に、尼さんが唱えるお経が聞こえる。
仏様の慈悲を思うと、この痛みも功徳を積むための修行のようにも感じたし、この痛みで夫になった米吉が喜んでくれるのも、また嬉しいことだと思えるようだった。
組頭を初めとして、人夫達は、二人を取り巻いて見守った。
最初、米吉が入れる場所が分からないらしく、腰の位置をあれこれ動かしている時は、皆もヤキモキしたし、米吉が、
「ここか!」
と叫んで、腰をぐいっと進め、春が
「ああっ!」
と可愛く悲鳴を上げた時は、皆が喜んだ。
ほとんどの者は、二人を見ながら自分の一物を手でしごいた。
やがて米吉の腰の動きがピンっと伸びた後に止まり、その身体をぐったりと春の覆い被せた時、下に敷かれた春は、その両腕でそっと夫である米吉の背中に回した。
とってもありがたい事だわ。
人身御供になる前に、こんな素晴らしいことを教えてもらって良かった..。
まだ性の快感は感じてなく、処女を失った痛みは激しかったにも関わらず、春は満ち足りていた。
起き上がると、自分の太股の付け根に、真っ赤な血が流れていることに気がついたが、それより自分の手を握って、
「春..。春..。おいらの嫁..」
と名前を呼んでくれる米吉と、もう離れなくてはならないことが辛かった。
春は髪に差していた櫛を米吉に渡した。
「私は四日後、人身御供になって神様の所に行きます。
米吉さん、好きな女の人が出来て、お嫁さんにする時は、この櫛を贈ってあげて..。」
それだけ言うと、春は尼さんから促されて、急いで宿舎である尼寺に戻っていった。
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