ビオン全域は内乱状態となった。
民衆派の政府に軍部を掌握した貴族連合が反乱を起こし、民衆派は非常に不利な状況となった。
リオは民実戦指揮の経験は全くないにも関わらず、民衆派の首領に祭り上げられたが、既に首都ビオンシティは貴族軍に陥され、リオは民衆派の指令部と共にあちこちをさ迷うことになった。
ハルは今まで通りリオの身の回りの世話、護衛の仕事の他に、リオを取り巻く10人程のスタッフ達の食事等の世話をした。
集団のただ一人の少女であり、リオに対して献身的なだけでなくスタッフ全員にも親切だから、チルであることが知れても皆から可愛がられた。
しかしある日、細い道路を封鎖する作戦を実行中、民衆軍の指令部に貴族軍の砲撃が直撃してリオ、ハルをはじめスタッフは全員負傷。
特にリオは頭部にも重傷を負い意識不明で、貴族軍の包囲の中を軽傷のスタッフから担がれて脱出することになった。
問題は、誰が追跡してくる貴族軍をここで食い止めて時間を稼ぐかだ。
軽傷のハルは自分で志願した。
チルの本能は、ご主人様の身を離れずに介抱してさしあげるべき、と訴えていた。
しかし、この二年間リオから教育を受けたハルは、それよりリオをはじめスタッフがこの場を離れ、やがて民衆軍を建て直し民衆を解放する方がよりご主人様の意志に添う行為だと判断した。
他の人の反対に対して、「私の身分は、ご主人の奴隷であって、軍人じゃないから命令には従いかねます。」と無表情に正論を言ったが、その直ぐ後には、「ご主人様を運ぶの、私じゃ役に立たないの!早く皆さん、ご主人様を安全なところへ運んで!」と泣きながら訴えた。
もう時間がない。
砲撃で屋根が崩れたトーチカに、軽機関銃1丁と銃身の長いモーゼル式拳銃を持って一人で立て籠り、接近する貴族軍を足止めした。
迫撃砲弾が落下して機関銃が壊れた。
修理する時間がない。
モーゼル拳銃で射撃を続けようとしたが、死角から接近した勇敢な敵兵が屋根の穴から手榴弾を投げ込み、その爆発でハルは意識を失った。
ハルは貴族軍に捕らえられ、即時銃殺になるところを、貴族軍の情報士官から一旦救われた。
ハルがリオの召使いだったことから、有益な情報が取れるかもしれないと考えたのだ。
チルは倫理観や義務観は乏しいはず。
拷問に掛けるぞ、と脅せば簡単には喋る筈だったのが、ハルには通用しなかった。
ハルは拷問を含む尋問の専門家に身柄を渡された。
施設は高い壁に囲まれ、あちこちから悲鳴や苦痛の呻き声が聞こえる。
砲弾と手榴弾で全身に擦過傷と火傷を負ったハルは、護送車から下ろされると、治療も受けさせられずに全裸にされて消毒薬のシャワーを浴びさせられた。
強い薬が全身に滲みて、激しい痛みが襲った。
それから身分確認を兼ねた登録をされる。
「名前は?」
「ハル」
「姓名を言え!」
「奴隷です。姓はありません。」
「年齢」
「13」
「どうして賊軍にいた?」
「ご主人様について行きました。」
「ご主人様?それは誰か?」
「テラン連合使節、ビオン民衆軍指揮官、リオ=サカモト」
答えた途端に、鞭で顔を横殴りにされ、ハルは床に倒れた。
「立て!」
頭がくらくらして立つのが遅れたら、今度は背中を打たれた。
打たれるのは我慢できるが、その敵士官が
「民衆どもが兵隊さんゴッコをしても、この様だ。」と言ったのはハルも意地になった。
ハルはリオが遊びで教えてくれた軍人の姿勢、動きを覚えている。
きびきびしてきれいな動き..。
こいつらにご主人様の兵隊さんをバカにされたくない!
ハルは勢いよく立ち上がって気をつけの姿勢をとった。
「なんだ?お前も兵隊さんゴッコか?」
士官はハルの腹を膝で蹴った。
苦しくて身体を折って座り込みそうになったが、意地で座らなかった。
士官は手に持った資料に目を通すと
「なんだ、お前、チルか?
ご主人様に、ここでサービスしたのか?」
と手に持った鞭をハルの股間に差し込むと、乱暴にしごいた。
ハルが苦痛の表情を出すまいと耐えているのを見て士官は鞭を引き抜き、「まあ、時間はたっぷりある。俺はこれでお前を可愛がってやってもいいぞ。」と薄笑いを浮かべて後ろを向いた。
ハルはちょっと気を抜いたが、それが拷問の専門家の手口だった。
士官は急に振り返りざま、ハルの薄い乳房を激しく鞭打った。
一撃で白い肌が裂け、右の乳首の上から左の乳首の下に掛けて、赤く線状の傷が着いた。
ハルは叫びかけたが、歯を食いしばって悲鳴を飲み込んだ。
士官はちょっと感心した様子で「ほうほう、これは楽しみな..」と言うと、後を下士官に任せて一度退室していった。
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